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投資情報 | バブルは終わったのか?それとも…


ささやかれる”もう一つのバブル”


「バブルはもうはじけたのか?」

最近、トレーディングデスクや匿名掲示板「レディット」
そしてアナリストたちの間で、こんな疑問がささやかれています。

ただし——

ここで言われているのは、AIのことではありません。

AIブームは依然として力強く、
少なくとも現時点で、数年以内に失速する兆しは見えていません。

では、何のバブルなのか。

それは、もっと身近な市場——
金や銀といった「貴金属」です。

ではなぜ、バブルがはじけたとささやかれているのでしょうか?

それは、記録的な急騰を見せてきた金と銀が、
直近で大きく売られ始めているからです。


パニック売りの正体


2026年が始まると同時に、
銀はまるで1980年代の狂乱を思わせる値動きを見せました。

価格は60%以上も急騰し、史上最高値を更新。

さらに、史上初めて3桁の水準を突破しました。

しかしその直後、価格は崖から落ちるように急落します。

出所:TradingView

 

その結果、銀はわずか数日で約40%も下落しました。

しかもこれは、数週間や数か月ではありません。

わずか数日で起こった出来事なのです。

これは、明らかなパニック売りでした。

ただし、ここで押さえておくべき重要な点があります。

それは、2026年の最安値はまだ更新されていないのです。

年初来で見ると、銀は16%以上上昇しています。

そして金もまた、同じように下落しました。

金価格は、心理的な節目とされる5,000ドルの水準を下回ったのです。

出所:TradingView

 

しかし、悲観論者のように「終わった」と決めつけるのはまだ早いでしょう。

なぜなら2月初旬に付けた4,400ドル付近の安値から、
現在の価格は1,000ドル近くの高値をつけているからです。

つまり、この流れはまだ終わっていません。

むしろ、ここからが本番とも言えるでしょう。

では、今は買い増すべきタイミングなのでしょうか?

何が起きているのかを正しく理解するために、
まずは余計なノイズを取り除いて整理してみましょう。

最初に悪い話から見ていきましょう。

米ドルが持ち直してきています。

ここ数か月、米ドルは売られ続けてきましたが、
ようやく反発の兆しを見せ始めました。

これにより、ドル強気の動きが勢いづいています。

ただし、この動きは今回が初めてではありません。

出所:TradingView

 

実際、過去1年間で同じような反発は既に4回起きています。

ドルは、同じサポート水準で何度も反発し、そのたびに上昇してきました。

今後、ドルが100付近で上昇を続けるのか、
それとも再び失速するのか。

その行方次第で、
貴金属市場がどこまで耐えられるかが決まります。

少なくとも現時点では、ドルが主導権を握っており、
それが金と銀の重しとなっているのです。一方で、良いニュースもあります。

世界の貴金属需要を支える中国とインドは、
市場から撤退したわけではありません。

買い方が「より慎重になっている」だけなのです。

【インドの動向】

  • 1月だけで120億ドル分の金を購入(同国史上3番目の月間購入額)
  • さらに20億ドル分の銀も購入
  • インドは世界最大の銀消費国で、宝飾品や伝統行事だけでなく、産業用途と投資需要が急増を後押し
  • 昨年の銀輸入額は前年比129%増、数量でも56%増

世界最大の買い手が、 これほど積極的に買い続けているということは、 チャンスから逃げているわけではないということを示しています。

【中国の動向】

一方、中国の動きは少し複雑で、
しかも非常に戦略的です。

表面上、2025年の金輸入量は41%減少しました。

一見すると、弱気に見えます。

しかし実際には、中国の投資家は金ETFに静かに資金を移しているのです。

  • 1月だけで62億ドルが金ETFに流入(過去2番目に大きな月間流入額)
  • 金ETFの運用資産残高は過去最高の286トンに到達
  • 中国人民銀行は15か月連続で金準備を増加中

 

出所:Reuters

 

つまり、中央銀行も投資家も、
金に対する見方を変えてはいないということです。


市場に残るのは誰か


ウォール街の大手金融機関も、
依然として金に強気の姿勢を崩していません。

  • ゴールドマン・サックス (NYSE: GS):2026年末の金価格予想を1オンス4,900ドルから5,400ドルへ引き上げ。しかも、その水準を現時点ですでに超えている(3月2日時点)。
  • ドイツ銀行 (NYSE: DB):目標価格を6,000ドルに設定。今年の上昇ペースを考えれば、決して非現実的とは言えない。
  • JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー (NYSE: JPM):8,500ドルという強気なシナリオを提示。現在の価格はその水準より37%低い(3月2日時点)。

 

この視点に立てば、今年の下落は「崩壊」ではなく、
単に割安な水準へ戻っただけとも解釈できます。


【まとめ】真の問いは何か


では、バブルは本当にはじけたのでしょうか?

報道やニュースだけを見れば、そう見えるかもしれません。

しかし実際に起きたのは、「調整」です。

弱気な投資家が振るい落とされ、
価格変動に耐えられない資金が抜けていき、
見出しに惑わされない投資家へ資産が移っていく過程なのです。

忘れてはいけません。

投資で本当に利益を生むのは、
高値で買い、安値で売ることではありません。

その逆です。

問題は、金と銀が再び上昇するかどうかでも、
それが「いつ」起きるのかでもありません。

上昇が始まったとき、まだ市場に残っているのは誰か。

それこそが真の問いなのです。

 

マシュー・カー

〜編集部〜

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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