トレンド投資

警備輸送会社の株で小売業の回復に協力しよう

パンデミックは私たちの日常生活から様々なものを奪っていきました。

外出自粛生活も一年を迎えようとしていますが、いまだに多くの人がリモートワークを継続しています。旅行はまだ遠い夢。 Eコマース(電子商取引)の普及が加速する一方で、店舗販売企業(B&M)にとっては厳しい状況が続いてます。私たちの身近なところでも壊滅的な状態は目に入ってきます。

カリフォルニア・ピザ・キッチン、チャッキーチーズ、ルビー・チューズデイ、シズラーなど、いくつもの全国的なレストランチェーンが破産を宣告しました。実際には、これらの企業の多くは、何年ものあいだ衰退に向かって転落し続けていました。新型コロナウイルスは彼らの崩壊を加速させただけに過ぎず、長くゆっくりとした最期にとどめを刺したのです。

ギター・センター、JCペニー、Jクルー、モデルズ・スポーティング・グッズ、ニーマン・マーカス、ピアーワン・インポーツ、トゥルー・リリジョン・アパレルといった、長期的な苦境を耐え忍んできた小売りチェーン店も破産申し立てを行いました。

さらに、何千という中小企業がパンデミックと外出自粛により倒産しました。

でも実は、今後の見通しを明るくする要素がたくさんあるのです。

まず、失業率の劇的な低下。

次に、最も重要なことですが、新型コロナウイルスの一連のワクチン投与が始まりました。

ワクチンの実用化は、今からお話しする企業に回復への道を着実に歩む最高のチャンスを与えたばかりでなく、2021年のアメリカ経済(全体)に非常に明るい展望をもたらしています。

小売のリターンを得る割引機会

ゴールドマン・サックス (NYSE: GS)はアメリカの2021年のGDPを5.3%成長 と予測しています。

これはFRBの2021年経済成長率4%予想のさらに上をいく強気な見通しです。

それどころか、失業率は5.3%まで劇的に好転するとの見通しです。米国全土でビジネスが再開されはじめ、日常生活が徐々に戻りつつあるため、雇用の加速が見込まれています。とはいえ、甘く考えるのは禁物です。円滑な復調とは程遠いのですから。

現在新型コロナウイルス感染者数は世界中で急増し続けています。

2021年中頃迄にはワクチン接種が広く可能となり、大規模な経済活動、特に外出を含む活動が活発となっていくでしょう。

パンデミックによりEコマース(電子商取引)の普及が加速しました。小売売上高の全体に対するオンラインビジネスの割合は過去ないほどに高まりました。私個人としては、Eコマースは今後も成長し続けると思っています。

とはいえ、Eコマースの成長は緩やかです。今後、毎年急ピッチで成長していく、とまではいかいないでしょう。

実際、今でも小売りの80%以上は店舗販売(B&M)です。

今後、個人消費の増加が見込まれるなか、企業の選択さえ間違わなければ絶好の投資チャンスなのです。

その筆頭がブリンクス (NYSE: BCO)です。

ブリンクスの歴史は、南北戦争時代にまで遡ります。(ブリンクスは南北戦争期に創業しました)

世界100か国で見かける、あの赤いトラックが目印の警備輸送会社です。

金融、宝石商、小売業から政府機関まで、実に幅広い顧客を抱えています。

一世紀以上に渡り、ブリンクスは現金、宝飾品をはじめとする貴重品の保管と輸送を行ってきました。貴重品の輸送は最も強く、収益性の高いビジネスです。もちろん「減速」することはあるでしょうが、減速もうまく利用することが出来ます。

未来を見据えるために振り返る

2020年(の新型コロナウイルスによるパンデミック)に匹敵する直近の危機といえば、 2008年の金融世界恐慌でしょう。

当時の脅威となったのは、今まさに私たちが直面しているような高い失業率と企業倒産でした。

当時は警備輸送業者の需要は枯渇するだろうと予測されていました。

実際、2008年9月1日から2009年末にかけ、ブリンクスの株価は当時の市場価格から65%も下落しました。

当時、幅広い業種において指標が 回復基調を見せるなか、ブリンクスの下落は特に際立って見えました。

しかしやがて回復の勢いはブリンクスにも波及、かつて24.50ドルまで落ち込んだ株価は97.12ドルまで大幅に持ち直しました。2010年1月から2019年末にかけて、ダウ平均株価、S&P 500より高値を付け、さらにはナスダックと並ぶ好調ぶりを見せたのです。ブリンクスは、その間ずっと堅実な配当を行ってきました。

昨年1月6日から5月11日までに、ブリンクスの株価は96.45ドルから61%下落の37.45ドルとなりました。しかし、新型コロナウイルスワクチン実用化のニュースが流れた10月末を機に急激に値を戻し、70ドル前後まで回復しました。しかしここが上げ止まりではなく、まだ続伸すると信じています。

現時点では、警備輸送業に対する需要は、投資家を焦らせるほど加速していくことはないでしょう。だが、通常の状態に戻っていく様子が伺えます。

全国的にビジネスが再開していけば、ブリンクスの収益も更に回復していくでしょう。

2021年、ブリンクス警備輸送業の収益は13.7%増えて41.5億ドルとなる見通しです。主要指標である、現在のブリンクスの時価総額は34.2億ドルです。私は将来の収益のために取引を割引する企業が大好きです。

2021年1月12日時点では、ブリンクス株価の目標価格のコンセンサスは81.67ドルです。これは現在の取引価格におよそ20%の上乗せされたものです。

割引株を探している投資家にとっては、警備輸送業は2021年小売業の回復という道を、防弾装備をまとって闊歩する装甲車でしょう。二桁成長を望むなら、ブリンクスは魅力的な銘柄です。そして、配当利回りは0.83%です。

ハイリターンを願って。
マシュー・カー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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