トレンド投資

3月の”スポーツサイクル”を投資で利用する方法

米国では毎年、視聴者をテレビの釘付けにするスポーツイベントが開催されます。

そして今、1年で最も忙しい時期の真っただ中にいると言えるでしょう。

スーパーボウルLVIIIが2月11日に開催。

NBAの試合はその1週間後に実施されました。

その数日後にはMLBのスプリングトレーニング*が始まり、開幕へのカウントダウンが始まります。

*日本のプロ野球でいうキャンプのこと

しかし、最も有名な大会のひとつが、その2週間ほど後に開催されます。

毎年恒例の大学バスケットボール・トーナメントが、3月19日から4月8日まで開催されるのです。

このトーナメントは、多くの若いアスリートたちの今後のキャリアにとって極めて重要な期間と言えるでしょう。

また、NCAA(全米大学体育協会)にとっては稼ぎ時でもあります。

そして、トーナメントを通して選手たちが流す血と汗と涙の結晶で、他の多くの企業が利益を得る態勢を整えているのです。

ただ、早とちりをしてはいけません。

というのも、“甘い利益”を得るか、ポートフォリオを破壊するような“大打撃”に見舞われるかの分かれ目となるからです…

 

アメリカが注目するトーナメント

カタリスト・トレーダー*として、私は常に株価を動かす重要なイベントを探しています。

*株価が動くある要因のこと。

それは決算であったり、政府からのデータ発表であったり、祝祭日であったり、あるいはシーズンの始まりであったり…

また、スポーツシーズンや、私が特定した独自の消費者シーズンもそうです。

さて、NCAAバスケットボール・トーナメントは数週間後に開幕されます。

そして金融メディアは、投資家がリターンを得る可能性について多くの記事を書き始めるでしょう。

それは理にかなっています。

試合の放映や広告収入だけでなく、何千万人ものアメリカ人がこのトーナメントに熱狂しているからです。

オフィスのSlackやTeamsのチャンネルでは、このトーナメントに関する「ギャンブル」の会話が飛び交っています。

2023年、アメリカ人はNCAAバスケットボール・トーナメントに155億ドル以上を賭けたと推定されています。

これは2022年の31億ドルから5倍の増加。

そして今年は、その数字がさらに大きくなる可能性があるのです。

何十年もの間、合法的なギャンブルはネバダ州(ラスベガス)やニュージャージー州(アトランティックシティ)など、一部の州に限られていました。

しかし2018年、最高裁が賭博を制限する法律を違憲と判断したことで、すべてが変わったのです。

そして門戸が開かれました。

現在、38の州が合法的なスポーツ賭博を認めており、そのうち30の州では合法的なモバイルスポーツベッティング(スマートフォン、タブレット、ラップトップなどからのベッティング)を認めています。

そして、今年のNCAAバスケットボール・トーナメントを主催するノースカロライナ州は、3月上旬にスポーツベッティングを合法化する予定。

米国ゲーミング協会(AGA)の報告によると、2023年は3年連続でゲーミング収入が過去最高を記録。

ゲーミング収入総額は10%増の665億ドルです。

しかし、増加の主役はスポーツベッティングで、44.5%増の109億2000万ドルに急増したのです。

しかし、2024年にはまったく新しいレベルに達することが期待されています。

 

第1四半期のホームラン

合法スポーツゲーミング業界にとって、米国の第1四半期は前例のないスタートを切ることになりました。

AGAは、米国人が2月に実施されたスーパーボウルLVIIIの結果に231億ドルを賭けたと推定しています。

ラスベガスにある182の実店舗型スポーツゲーミングサイトは、州内で1億8560万ドルの賭けが行われたことをすでに報告しているのです。

また、ニューヨークのスポーツブックは、スーパーボウルで1億6220万ドルの賭けが行われたと報告。

このような数値を見ると、ゲーミングとスポーツベッティング関連の銘柄にチャンスが訪れるように見えます。

しかし、注意が必要なのです。

私は2018年から2023年まで、3月から7月までのゲーミングとスポーツベッティング銘柄のリターンを調べました。

するとどうだったか?

この数ヶ月のスパンは、これらの企業の投資家にとっては悪夢の時期だったのです。

これを見てください。

これはゲーミングとスポーツベッティング企業が過去6年間、3月から7月まで出したリターンを表した図。

これを見ると、シーザーズ・エンターテインメント(Nasdaq: CZR)、MGMリゾーツ(NYSE: MGM)、ペン・エンターテインメント(Nasdaq: PENN)はそれぞれ、過去6年のこの期間に平均8%以上下落しているのです。

「パンデミックや2022年の弱気相場も含まれているんじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、これはずっと昔からある傾向です。

例えば、ペンの株価は過去10年のうち8回、過去6年連続を含めて3月が安値で終わっています。

また、ペンは過去5年のうち4回、で3月から7月の間に少なくとも20%下落しているのです。

そしてMGMの株価はこの同じ期間に2度、30%以上下落しています。

私はこの2つの株価が今後数カ月で上昇することを期待して、自分の稼いだお金を賭けるつもりはありません。

しかし、チャンスがないわけではありません。

先ほどお見せした図を見ると、モバイル・スポーツ・ベッティング・アプリのドラフト・キングス(NYSE: DKNG)は、可能性のある銘柄のように思えます。

過去6年間、株価は3月から7月まで平均21.27%上昇していたのです。

また、同社の株価は2024年にすでに急成長しており、年初来で15%以上上昇しています。

2月15日、同社は2023年の売上高が過去最高の36億7000万ドル(2022年比64%増)になったと発表。

そして2024年には、売上見込みを47億8000万ドルに引き上げたのです。

もちろん市場に絶対はありません。

しかし、カタリスト・トレンド・トレーディングではより深く数字を掘り下げ、チャンスを探ることができるのです。

数字を深掘りし企業をしっかり見極めることで、「やるべき取引」と「避けるべき取引」を判断していきたいですね。

 

 

マシュー・カー

 

P.S.

~編集部~

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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