トレンド投資

価格が高騰する“卵市場”で恩恵を受ける企業

今週、投資家は消費者物価指数(CPI)の発表で、米国のインフレに関する最新の情報を得ることになります。

しかし、ガソリン、中古車、住宅の価格について一度忘れてください。

投資家が注目すべき数字の一つは、価格が急上昇している日用品、卵です。

卵は世界中で欠かせないものです。

目玉焼き、スクランブルエッグ、固ゆで、やわらかゆで、バターや生地に混ぜるなど、地球上の多くの人たちが卵を食しています。

そして、卵の主要生産国は中国です。


実際、中国は1年間に生産する卵の数は、卵生産量の上位7国の合計よりも多いのです。

そして、日本は国民一人当たりの卵消費量が最も多い国。

平均すると、一人あたりは年間320個の卵を食べていると言われています。

ただ、卵の価格が上がっていることに、ピンチを感じているのは中国人でもなく、日本人でもありません。

米国人なのです…

なぜなら、祝日のイースター(復活祭)に合わせて卵の価格が徐々に上昇していくからです。

また、ここ数か月を見ても、卵の価格は徐々に上昇しています。

2月には、卵1ダースが平均3ドルになりました。

これは、秋時点の価格から50%の上昇です。

なぜ、これほど価格が上昇しているのでしょうか?

その犯人は…

養鶏業界の恐るべき敵、鳥インフルエンザです。

先週、米国最大の鶏卵生産者であるカルメイン・フーズNasdaq: CALM)は、鳥インフルエンザの陽性反応が出たため、160万羽の鶏と33万7,000羽の若鶏を処分したことを発表しました。

これは同社の全鶏群の3.6%に相当する数です。

鳥インフルエンザは非常に感染力が強く、鳥の個体群、特に密集した工業的農業の個体群に壊滅的な打撃を与える可能性があります。

米国の鶏卵市場の20%を支配するカルメイン社は、テキサス州にある施設のひとつを一時閉鎖しました。

しかし、どれほど対策を打ったとしても、鳥インフルエンザを封じ込めるのは不可能に近いと言えるでしょう

過去、米国人がすでに学んだように…


卵のインフレに注目


過去2年間、米国ではインフレが進んできました。

多くの報道では、この原因がサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の上昇、半導体不足に焦点が当てられています。

しかし、忘れ去られたもう一つの原因があるのです。

それが、卵価格。

2022年12月、米国における卵1ダースの価格は、2021年12月と比較して137%上昇。

1.79ドルから4.25ドルへの驚異的な上昇です。

そして2023年1月、卵の価格は1ダースあたり4.83ドルを記録しました。



これは、2022年1月から鳥インフルエンザが急速に蔓延し、全米で5,800万羽以上の鶏と七面鳥が死亡したことが原因です。

鳥インフルエンザは、国内の産卵群数をおよそ5.8%減少させたのです。

現在、米国の鶏の数が回復し始めたため、卵の価格は徐々に戻りつつあると思いましたが…

卵の価格はまだ高止まりしており、再び上昇しています。

ただ、消費者が卵価格の高騰をピンチに感じても、カルメーン社のような企業は利益を得ているのです。

実際、同社の売上高は109%増の9億9750万ドルに跳ね上がりました。

2024年にまた卵の需要が減らない、もしくは増えれば、米国最大の鶏卵生産者である同社にとっては大きな利益となるかもしれません。

実際、過去に鳥インフルエンザが大流行した2022年、カルメーン社の株価は1月1日から12月23日までに75%上昇していました。

それだけではありません。

カルメーン社の株価は年初来で9.6%上昇し、S&P500種株価指数を上回っています。

また、米国の鶏卵価格が底を打った2023年7月の安値からは45%以上も上昇しているのです。

もし、投資家が“卵市場”を狙うのではあれば、同社から目を離せないと言えるでしょう。

マシュー・カー

P.S.
マシューも執筆の一部を担当するOxford インカム・レター。


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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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