トレンド投資

【4月7日開催】 F1レースに隠れた投資チャンスとは?

「より速く、より速く、スピードのスリルが死の恐怖に打ち勝つまで」
– ハンター・S・トンプソン

あと数日でF1のレース日本グランプリが開幕します。

出所:Honda Mobilityland Corporation

今シーズンもまた、大きな盛り上がりが予想されるでしょう。

優勝のチャンスがますます遠ざかる、メルセデス。

一方、レッドブルのマックス・フェルスタッペン以外で過去20戦で優勝した唯一のドライバー、カルロス・サインツも登場します。

今週の日曜日、F1が鈴鹿サーキットに戻ってくることに興奮している人もいるでしょう。

あるいは、あまり興味を持っていない人もいるかもしれません。

ただ、そんな人でもF1に興味を持って欲しいと思っています。

なぜなら、そこには隠れた“投資チャンス”があるからです…

 

10億ドルの影響力

 
米国では、NASCAR *は長い間、F1レースのファンに選ばれてきた団体です。

*米国のモータースポーツ団体

しかし近年、劇的な変化が起きています。

その変化は「1つの会社」と「1つの番組」によるものです。

1962年、ABCがアメリカ初のF1レースを放映を開始。

残念ながら、米国の観客が関心を持つようになるまでには60年近くかかりました。

ファンがスポーツに夢中になるためには、そのスポーツを理解するだけでなく、応援したいと思えるヒーローと嫉妬すべき悪役を知る必要があると言えるでしょう。

さて、2019年3月8日、ネットフリックス(NFLX)はドキュメンタリー番組「ドライヴ・トゥ・サバイブ」を開始。

この番組は愛すべきカリスマ、ダニエル・リカルドを追うものでした。
 

出所:auto sport

 
彼はF1に必要なヒーローでした。

そして“悪役”は彼の生意気なチームメイト、フェルスタッペン。

番組では彼らの関係性を伝えることで、F1という異質なスポーツがどのように機能するかを観客に説明したのです。

そして、番組のシーズン2が2020年2月28日に配信されました。

これが本当の転機になったと言えるでしょう。

それから2週間も経たないうちに、新型コロナウィルスのパンデミックが発生。

人々は自宅待機と迫られる状況になりました。

これをきっかけに、「タイガー・キング」や「ドライヴ・トゥ・サバイブ」といったF1のドキュメンタリー番組をネットフリックスで夢中になって観た人も多かったでしょう。

その後、F1レースの全米視聴率はどうなったでしょうか?

2017年から2018年の間、「ドライヴ・トゥ・サバイブ」の平均視聴率は1.9%増とわずかで、55万人前後の視聴数を推移していました。

しかし、2019年シーズン直前に同番組がプレミア放送された後、視聴率は22.6%上昇したのです。

パンデミックによるレースシーズンが短縮されたこともあり、2020年には一時期、視聴率が低下したこともありました。

しかし、その後、2021年には平均視聴率が53.6%急上昇。

2022年にはさらに50%上昇。

そして、ネットフリックスで『ドライヴ・トゥ・サバイブ』が配信されて以来、F1の平均視聴者数は2倍以上になったのです。

ちなみに、ナショナルホッケーリーグの試合の平均視聴者数は現在373,000人。

NBAの試合の平均視聴者数は160万人。

そして、NASCARのそれを超えてここ数年で最大の300万人の平均視聴者数を叩き出しているのです。

F1の人気はほんの数年で爆発的に上昇しました。

ここからが本題です…
 
 

「生き残り」から「繁栄」へのシフト

 
ポートフォリオにF1関連の銘柄を加えたいと考えている投資家にとって、チャンスはたくさんあります。

その一つに、フォーミュラ・ワン・グループ (Nasdaq: FWONK)があります。

同社はF1レースの運営権と放映権を持つ企業。

2023年度のフォーミュラ・ワンの収益は25.2%増え、32億2,000万ドルでした。

レースの観客動員数は5%増の600万人。

そして、2023年には全世界で15億人の累積テレビ視聴者を獲得したのです。

フォーミュラ・ワン・グループだけではありません。

F1ビジネスチャンスは、自動車メーカーにもあります。

その一つが、メルセデス・ベンツ・グループ(OTC: MBGAF)

同社は8年連続でコンストラクター・チャンピオンシップを獲得。

自社チーム以外にも、アストンマーティン、マクラーレン、ウィリアムズと有名選手にパワーユニット*を提供しています。

*電動モーターやエンジンなどの動力を生じさせる装置のこと

株価は年初来で15.4%上昇しています。

そして、フェラーリN.V.(NYSE: RACE)もその内の一つでしょう。

16回のコンストラクター・チャンピオンシップの記録を持ち、2025年には7度のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンが加入予定です。

株価は年初来で28.8%上昇。

高級車の需要が急増し、2023年の売上高は59億7,000万ユーロに拡大。

2024年の決算発表ではウォール街の予想を上回りました。

フェラーリの株価は2019年のデビュー以来、とどまるところを知りません。

そして、本田技研工業(HMC) も注目したい企業でしょう。

同社はレッドブル・レーシングとその姉妹チームRBのパワーユニットを製造しています。

株価は年初来で20.5%以上上昇。

直近の四半期売上高は、堅調な米国と欧州の需要で21%急増しています。

最後に、コムキャスト (Nasdaq: CMSCA) 、ネットフリックス (Nasdaq: NFLX) 、ウォルト・ディズニー (NYSE: DIS) などの名前も見逃せません。

コムキャストはF1を放送するスカイスポーツを所有しています。

ネットフリックは先ほどご紹介した「ドライヴ・トゥ・サバイブ」を所有。

ディズニーはHuluとESPNを所有し、2025年までF1レースを放映する契約を結んでいます。

そして、ネットフリックスの株価は2024年に24.8%上昇し、ディズニーの株価は35.5%上昇しているのです。

F1は米国で地歩を固めつつあり、その視聴者は世界的に拡大し続けています。

これは、ファンを自動車の購入に向かわせ、メディア企業には広告収入の増加をもたらす可能性があると言えるでしょう。

ここでご紹介した企業は、今シーズンのポートフォリオのギアを「生き残り」から「繁栄」へとシフトさせるのに役立つでしょう。

マシュー・カー

 
P.S.
マシューも執筆の一部を担当するOxford インカム・レター。

インカム・レターの最新号では、

✔︎17年連続で増配を続ける配当利回り6.6%の「5G」株

✔︎「民主党」「共和党」どちらの政党がポートフォリオに最適か?
米国大統領選挙の「勝者」が市場に与える影響とは?

✔︎「FRB利下げはまだ先?」
インカム・レターの執筆者マークが考える金利の見通し

などをお伝えしています。

→インカム・レターの詳細を見る

Instagram更新中!

Oxford クラブ公式Instagramではネットや雑誌では知れない
投資のプロが分析・評価する米国株情報を日々配信しています。

■Oxford クラブ チーフ・ストラテジスト志村のインタビュー動画
■マーク・アレックスの投資哲学
■アメリカ現地の投資関連ニュース
こんな感じで、インスタで投資に
役立ちそうなヒントやつぶやきを投稿しています。

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button