トレンド投資

株価の動きを予測する重要なサイン

ある日、投資に対する私の見方が大きく変わる出来事がありました。

それは、私がまだ20代だった頃の話です。

当時はここまで私自身に大きな影響を与えるなんて思ってもいませんでした。

しかし、たしかに私の人生の軌道はそこで変わったのです。

当時の株式市場は少し先の予測をすることすら難しく、波乱に満ちていました。

そんな時、ついに株価は暴落したのです。

私は当時の上司である人物に、半ばパニック状態でこう尋ねました。

「お客様に売却するよう伝えましょうか?もう市場から抜け出してもらうべきでしょうか?」

彼は冷静に立ち上がり、私のデスクまで来てこう言いました。

「S&P500種株価指数の過去のチャートを出しなさい」

S&P500種株価指数推移

続けて、彼は私に問いかけました。

「大恐慌はチャート上のどの時?」
「ブラックマンデー(1987年に起きた世界的な株価大暴落)は?」
「ブラックチューズデー(1929年に起きたアメリカ株の大暴落)は?」
「過去の市場の中で、最も不況だった時期は?」

私はどれも正確に回答できませんでした。
なぜなら、これらはグラフの上ではほんの小さな急落だったからです。

そして、彼は言いました。

「もちろん暴落が起きた時、それはいつまで続くかわからない。数日、数週間、数ヶ月もしくは数年間続くかもしれない。しかし、最終的に市場は「上昇」の一方向にしか動かない」

「これさえ覚えておけば、市場でどんな大変な事態が起こっても、常に他の誰よりも有利な立場で市場を見ることができる」

上司のこの言葉は、私の人生を変えました。私の運命を変え、未来を変えたのです。

実際、株価の急落や恐慌といった、多くの投資家が恐れるものに対する見方が変わりました。

それ以来、私はこういった事態を恐れることがなくなったのです。それどころか、私はそれを「チャンス」と捉えるようになりました。

投資をしていると、「世界の終わりだ…」と思ってしまうような日々もあるでしょう。
しかし、そのような時こそ、チャンスを見極める必要があるのです。

 

小型株が出す警告サイン


2022年、多くの投資家のポートフォリオのパフォーマンスが悪化していると思います。

しかし、実は2021年11月からそのサインはありました。

次のチャートを見てください。
ダウ工業株30種平均(ダウ指数)、ナスダック総合指数、S&P500種株価指数、そしてラッセル 2000 株価指数の推移を表しています。

株式及び金市場の価格推移

ここにとても重要で、注目すべきサインがあります。将来同じようなことが起こった時のために頭に入れておくといいでしょう。

それは、

「小型株指数のラッセル2000株価指数が、2021年11月に入ってすぐに下落している」

ということです。

どういうことか説明しましょう。

小型株は、よく先行指標として活用されます。

企業規模が小さいため、中型株、大型株、超大型株よりも株価が上昇しやすい傾向があるからです。

これは同時に、下落しやすく投資のリスクが高いとも言えます。

例えば、株価が5ドルから100ドルまで上昇したら、
投資額が20倍になるわけですから、それだけで人生が変わってしまうかもしれません。

しかし、小型株は一般に100ドルよりも0ドルに近づきやすいです。このことは、投資が持つリスクを浮き彫りにしています。

市場が楽観的な時は、小型株は先行指標となり良い動きをする傾向にあります。

そういう時、投資家は市場平均を上回るリターンの可能性を感じて、さらにリスクを取りにいきます。

一方で、投資家の間に不確実性と警戒感が浸透した時、最初にそれを察知するのも小型株です。

先ほどのチャートでも、まずラッセル 2000 株価指数が先行して、2021年末に急落し始めていました。
そして、それを追いかけるようにその他の主要3指数が下落しています。

2021年12月20日までに小型株は10%の調整局面に入り、その後上昇に転じて年を越しました。

ラッセル 2000 株価指数は、2022年の年始から再度下落し始めています。

チャートから分かるように、後を追いかけるようにナスダック総合指数も同じ動きをし、S&P500種株価指数とダウ指数もそれに続いていきました。

そして2022年2月。

小型株に上昇傾向が見られるようになりました。

これはどういうことだと思いますか?

そうですね。市場の「下落傾向が去ったサイン」である可能性があるということです。

 

今後、小型株は上昇するか?


2022年1月27日のラッセル 2000 株価指数は、1,931.29ポイントで取引を終えました。

これは、ラッセル 2000 株価指数が2021年11月8日に付けた終値の最高値より20.9%低いものです。

2020年12月14日以降、小型株指数がこれほどまで低いレベルで終えたことはありませんでした。

つまり、「小型株は弱気相場に突入した」ということです。

そして、弱気相場に突入した後、市場は反転しました。

ラッセル 2000 株価指数、ナスダック総合指数、S&P500種株価指数、そしてダウ指数は、上昇し始めたのです。

それは、売り圧力、つまり市場での売り注文の量の変化が一巡したと考えられます。
(一般に、売り圧力が強いと相場は下落し、弱いと相場は上昇する傾向があり、これは時間と共に変化します。

小型株は、市場感情の変化に対する先行指標となります。

そして、ラッセル 2000 株価指数が底を叩いたということは、「リスクオン」ムード、つまり、「好景気が予測されるため、リスクの高い投資を増やしていこう」という風潮が再び広がっていることを意味するでしょう。

私は、弱気相場は数日、時には数ヶ月続くものだと考えています。つまり、短期的な市場現象です。

一方、強気相場は、数年、もしくは十年単位で続くものだと考えています。

もちろん弱気相場が去ったとは断言できません。しかし、株価の跳ね返りはもう始まっています。

また、急落にはたくさんのチャンスがあります。投資家としては、そこを狙って利益を取りにいく必要があるでしょう。

あなたの投資期間は、数時間や数日ではないことを覚えておいてください。

たとえ、あなたがデイトレーダーであったとしても、投資は全てあなたの未来の資産のためなのです。
そして、その未来とは5年、10年、50年先のことを意味します。

世界が終わりそうだと感じるような時は、一息つきましょう。
そして、現在購入ができそうな、株価が大きく下がっている企業リストを作成してみましょう。

市場は、最終的には平均にまで戻ります。
そして、最終的には一方向にだけ動きます。それは、上方向です。

20代でこの見方を学んだことが、私の人生を変えました。

それから、私は数え切れないほどの急落を見てきました。

もちろんその中には、世界中に大きな影響を及ぼしたものもありました。

しかし、そういった状況になっても、分散投資さえしていれば、損失を最小限に抑えられます。
そして、多くの急落は割安となった株を購入する「チャンス」となっていました。

この考えが、あなたの投資に役立てば幸いです。

ハイリターンを願って。

~編集部コメント~

株価が急落してもあなたの資産を守る方法。

それが「分散投資」です。

しかしただ単にいろんな銘柄に分散するだけでは
あなたの資産は守られないでしょう…

→具体的な方法はこちら

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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