西欧諸国の想定外で起こったウクライナ情勢ですが、事態の打破に向けて難航しています。
各国首脳や民間第三者による働きかけが不調に終わる中、橋渡しのキーマンとして、中国の習近平主席が最右翼であるというのが、安全保障に関する欧米の主要シンクタンクの認識です。
中国の王毅外相は全国人民代表大会(全人代)に合わせて記者会見を開き、欧米メディアからの質問にも答えています。膨大な内容量だったようで、日本の主要メディアではあまり詳しくは報じられていない(大分切り取って報じられている)ようですが。
当会見は、中国内で通常開かれる官製の記者会見とは異なり、中国政府にとっては不快な質問も混じっていたようで、政治局内で行われた議論をベースにギリギリの結果を反映した対外政策スタンスであったというのが専門家の見方です。
今回のロシアの暴走によって、微妙な立場に追い込まれた中国による、発展的な解決の橋渡しが進むといいですね。
状況が長引いたり、悪化して、悲劇が重ねられるのは本当に心が痛いです。
もちろん僕は、今回のウクライナ情勢については個人投資家をサポートする視点で捉え、投資家の資産形成について有益を考える情報をお届けすることを主軸に考えて対応しています。
今回の地政学リスクへの対応については、特に、プロの投資家と個人投資家で対応スタンスが異なる点が確認されていますが、興味深いと感じる方も多いかもしれないので改めてご紹介します。
大手投資銀行バンク・オブ・アメリカが顧客調査をもとに今週発表した内容によると、足元、個人投資家は9週間連続で株式市場に資金をつぎ込んでいる一方で、同行のヘッジファンド顧客は先週過去最大の40億ドルの株式を売却したというニュースが出ています。
また、大手投資銀行モルガン・スタンレーでも同様に、個人投資家が買いを入れる一方で、プロの投資家が売りを入れていることが確認されているとのこと。
運用期間や投資対象の外部的な制約が無く、迅速・自由に意思決定できる個人投資家の強みが発揮されているという見方が出来ます。
どちらが良い結果になるのかは、将来にならないと確定しませんが、長期を前提に投資に臨む以上は、個人投資家の行動には歴史に裏打ちされたものがあるということだと理解しています。
相場の格言「Sell the rumour, Buy the fact」(噂で売って事実で買う。逆にBuy the rumour, Sell the fact – 噂で買って事実で売る – とも言います。)については先週お伝えした通りですが、他にも「遠くの戦争は買い」という言葉があります。
今回のウクライナ情勢によって、結果的に、米国の原油・天然ガスやミサイル防衛システムを多くの国が買うことになる(米国からしたら、いらっしゃいませの状態になる)でしょうし、トウモロコシや小麦などの穀物についても同様です(輸出大国です)。
また、今回の情勢を受けて、米国バイデン大統領は、デジタルドルの導入を本格検討する大統領令を出しました。
中国の動きや経済制裁回避に対する対抗策を見据えた動きの一環という見方ができます。
各国が原油・天然ガスの確保を急ぐなか、クリーンエネルギーの議論は一旦棚上げされる側面がありますし、米国におけるビルド・バック・ベター法案なども忘れ去られる感じになってきました。
株式市場自体も、引き続き変動幅の大きな展開が続いています。
戦局は不透明で、4月にはさらに戦闘が激化するシナリオを踏まえての動きと考えられますが、長期投資家としては、さらにその先を見据え、「木を見て森を見ず」となるのではなく、森を見るなかで、資産形成の原理原則、例えば分散投資の概念や銘柄抽出の考え方などを貫くことをベースとして臨まれると良いのではないでしょうか?
Oxford クラブでは、引き続き資産形成ピラミッドの概念や4%ルールを維持しつつ優良・割安な銘柄を発掘し投資されることをオススメしていく方針です。
志村 暢彦
追伸
Oxfordクラブでは、配当投資にフォーカスしたインカム・レターと、成長株にフォーカスしたキャピタル・レターをご用意して、それぞれ長期目線での投資アイデアをご案内しています。マクロファンダメンタルズの状況を見据え、『米国の今』について経験豊富なストラテジストが分析した内容も掲載しています。
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