トレンド投資

日本が巻き返しを図る 9,000億ドルの巨大市場

 
2023年はAI関連株が好調な年だったと言えるでしょう。

エヌビディア (Nasdaq: NVDA) を筆頭に、メタ (Nasdaq: META) 、C3.ai (NYSE: AI)、ビッグベア.ai (NYSE: BBAI) など、軒並みAI関連企業の株価が上昇しました。

ただ、AI株のことは一度、脇においてください。

今日お話するのは、ある大きなトレンドについてです。

多くの投資家はこのトレンドから目を背けているのではないかと、私は考えています。

実際、ブルームバーグのワールド・インデックスで2023年にトップのパフォーマンスを出した企業は、多くの投資家に馴染みがないエコプロ (KS. 086520)でした。

この年、同社の株価525%以上上昇。
ピーク時には1,000%以上上昇したのです。

また、クムヤン (KQ. 086520) も2022年に376%上昇。

ここで注目すべきは、どちらも韓国企業だということ。

そして、両社とも電気自動車(EV)に参入している企業なのです。

2023年はAIや暗号資産の復活がニュースで取り上げられることが多く、EVの名前を聞くことはそう多くなかったかもしれません。

しかし、EVトレンドはこれから何年も先、大きなトレンドになり得る業界であることを忘れてはいけません。

 

テスラやBYDだけではない…
競合が続々参入するEV業界

EVと言えば、最初に頭に浮かぶ企業はテスラ(Nasdaq: TSLA)ではないでしょうか。

また、ウォーレンバフェット氏が多額の資金を投資をしている、中国のBYDもEVメーカーで有名な企業の一つです。

2022年、テスラは130万台を生産する米国最大のEVメーカーとなりました。

そして、BYDは世界最大のEVメーカーで、現在190万台のEVを生産しています。

世界のEV市場は、テスラとBYDの2強になると見られていました。

しかし、今、他の多くの自動車メーカーがこの争いに加わっています。

例えば、BMW、フィスカー、フォード、ゼネラルモーターズ、ホンダ、現代自動車、マツダ、メルセデス・ベンツ、三菱自動車、日産自動車、トヨタ自動車といった多数の企業たちです。

昨年、世界で販売されたEVは1,000万台を超えました。

2023年第3四半期にはテスラとBYDが市場の34%を占めていましたが、残りは先ほどあげた多くの競合他社によってもたらされたのです。

多数の競合がより積極的にEV市場に参入してくれば、テスラとBYDの市場シェアが奪われ可能性もあるでしょう。

実際、米国のEV市場におけるテスラのシェアは、過去最低レベルにまで落ち込んでいます。

この競争の激化はEV市場を益々拡大させており、2023年にはEVの市場規模は5,610億ドルに…

2028年には9,060億ドル以上になると予測されているのです。

 

2030年に向けたEV市場の火付け役とは?

2020年はEVにとって魅力的な年だったと言えるでしょう。

世界的に自動車総販売台数は14%減少しましたが、EVの世界販売台数は41%も急増しました。

それ以来、EVの販売台数は増加の一途をたどっています。

一体、何が起きたのでしょうか?

欧州連合(EU)は2020年、新たな排出ガス規制をスタートさせたのです。

これにより、乗用車の二酸化炭素排出量は1キロメートルあたり95グラムに制限されました。

EUでは2008年に二酸化炭素規制を開始し、それ以来規制が強化されるたびに、EVの販売は急増してきています。

実際、2020年、世界のEV販売台数が2019年比で15%減少した一方、欧州のEV販売台数は55%増加しました。

その後、EUは取り組みを強化し、2035年までに内燃機関(エンジン)車の販売を禁止することにしたのです。

これが引き金となり、欧州内でのEV販売は急増しています。

実際、2023年末にはEUの新車市場の21.4%をEVが占めると予測されており、これは2019年の3.3%から大幅に増加。

そして、2028年には欧州で販売される新車の半分以上をEVが占めるようになり、その数年後にはほとんど全ての車がEVになる可能性もあります。

そして、かつてEV市場に出遅れていると言われた日本でもEVの普及が進んでいるのです。

 

巻き返しを図る日本のEV市場

確かに日本ではEVの普及は遅れていますが、今、急速にEVが普及し始めています。

実際、ハイブリッドEVのトヨタ・プリウスの販売台数が2023年に225.8%急増しました。

現在、日本では累計販売台数第5位となっています。

また、日産のサクラは日本で最も売れているEVで、EV販売台数の半分を占めています。

そして、最も驚くべきことに、2022年の日本におけるバッテリーEVの販売台数は、2021年の2.7倍に増加しているのです。

2023年には、さらに増加することも期待できます。

日本はEVの普及で世界から遅れをとっているとはいえ、普及スピードは年々早くなっているのです。

また、政府の補助金は今後何年にもわたってEVへの関心を高め続けることになるでしょう。

このように、米国、欧州、中国だけはではなく…

出遅れていた日本でもEVが普及し始めているのです。

2023年はAI関連銘柄が注目を集めました。

ただ、その裏ではEV市場も着実に拡大しており、忘れてはいけない市場と言えるでしょう。

今後も引き続き、目を離さずEV業界をウォッチしていきたいと思っています。

マシュー・カー

 
P.S.

〜編集部〜

マーク・リクテンフェルドが執筆するOxford インカム・レターの最新号では、マークが注目するあるEVメーカーをご紹介しています。

彼が取り上げたのは、BYD、テスラ、トヨタといった大きな企業ではありませんが…

EV市場のシェアを伸ばし始めており、高い配当金を支払っている企業です。

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Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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