投資情報

投資情報 | 配当投資家が知っておきたい「変動配当」の注意点とは

金関連株というと、一般的に「高配当株」というイメージはあまり強くないかもしれません。しかし現在、金価格の上昇を背景に、比較的高い配当利回りを示している銘柄も見られるようになってきました。

はたして、この高配当は本物なのでしょうか?それとも、まやかしに近いものなのでしょうか?

今回は、アングロゴールド・アシャンティ (NYSE: AU) を例に、金鉱株の配当の実態を読み解いていきます。


配当は何によって支えられている?


アングロゴールド・アシャンティの現在の配当利回りは、ここ1年で3.8%、直近の配当に基づくと7%という驚異的な水準を誇っています。

同社はギニア、アルゼンチン、米国を含む10か国で鉱山開発プロジェクトを展開。2025年には300万オンス以上の金370万オンスの銀を産出しています。それでもなお、同社が所有する鉱山には3,650万オンス以上の金が埋蔵されているとされているほどです。

ここ数年、金価格が急騰していることを考えると、同社のフリー・キャッシュフローが急増し、今後も上昇が続くと予測されるのは当然のことと言えるでしょう。


フリー・キャッシュフローが支える高い株主還元


フリー・キャッシュフローとは、企業が事業で稼いだお金から、必要経費や設備投資などの支出を差し引いた「自由に使える余剰資金」のことです。

昨年、同社のフリー・キャッシュフローは2024年の9億8,500万ドルから34億ドル以上に増加。2026年は52億ドル2027年には67億ドルにまで増加する見込みです。

2025年に支払った配当は19億ドルで、配当性向は55%を記録しています。今年予想されている配当額は29億ドルですが、配当性向55%は維持される見込みです。

配当性向とは、企業が得た利益のうち、どれだけを配当金として株主に還元したかを示す指標です。私は、配当性向75%以下が望ましいと考えています。たとえフリー・キャッシュフローが減少した場合でも、現行の配当を維持する余裕がある水準だからです。現在の55%は、その基準を十分に満たしていると言えるでしょう。

金鉱株の配当に影響する主な要因:

  • 金価格
    金価格の上昇・下落が業績やキャッシュフローに直接影響する
  • 採掘コスト
    エネルギー価格や人件費など、操業コストの変動が利益率を左右
  • 地政学リスク
    鉱山が所在する国の政治情勢や規制変更が事業継続性に影響を及ぼす
  • 為替
    金は米ドル建てで取引されるため、各国通貨との為替変動は収益に反映される

【まとめ】高利回りの裏側を読む:金鉱株投資の視点


一方、ここで注意しておきたい点もあります。金鉱株の配当は、景気や市況に連動しやすい傾向にあることです。業績やキャッシュフローに大きな変動があるため、それに応じて増減する「変動配当」を採用している企業も少なくありません。

つまり、現在の高い配当利回りだけを見て「今後も同じ水準で配当が続く」と考えるのは注意が必要です。

だからこそ、資源関連株を見る際には、現在の利回りだけでなく、以下の点まで確認しておくことが大切です。

・その配当が何によって支えられているのか
・景気や商品価格にどれだけ左右されるのか
・配当方針は固定型か変動型か

このように、配当の仕組みまでを理解することが、長期的な富の形成を成功させる要素の一つなのです。

マーク

P.S.

マークが執筆するOxford インカム・レターでは、
日本ではあまり知られていない米国の優良配当株をご紹介しています。

インカム・レターに参加すると、
毎月マークが分析した米国配当株の情報が
あなたのもとに届きます。

Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button