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金融リテラシー | インフレを加速させる『見えない犯人』


「マイクロ・ルーティング」という言い換え


数週間前、ジア・トレンティーノ、ハサン・パイカー、そしてナジャ・スピーゲルマンが、ポッドキャストのスタジオで、万引きの倫理について語り合っていました。

しかし、彼らはそれを「盗み」とは呼びませんでした。

代わりに、かわいらしい新語を使いました。

それは、「マイクロ・ルーティング(小さな略奪)」です。

しかも彼らは、それを悪事ではなく、「彼らなりの正義」だと説明していました。

では彼らは食べ物を買えないほど貧しいのでしょうか?

全くそんなことはありません。

トレンティーノは、ブルックリンのクリントンヒル地区にある220万ドルの高級住宅に住み、さらに郊外にも別荘を所有しています。

ポッドキャスターのハサン・パイカーもまた億万長者です。

3人は皆、自分たちを「社会主義者」だと公言しており、万引きをまるで“正しい行動”のように語っていました。


資本主義は「搾取」なの


消費者や労働者は貪欲で利己的な資本主義に搾取されておりそれに抵抗している、と主張しているのです。

しかし、これは明らかな誤解です。

まず「貪欲さ」について考えてみましょう。

世界一貪欲な人間であっても、他人がお金を払いたいと思う商品やサービスを提供しない限り、一銭も得ることはできません。

つまり、貪欲さそのものは役に立たないのです。

では「利己主義」はどうでしょうか?

人は自分のことばかり考えていてお金持ちになるわけではありません。

他人のニーズを考えることで豊かになるのです。

資本主義とは、「他人が欲しいものを十分に提供すれば、自分も欲しいものを手に入れられる」と約束する仕組みです。

では「搾取」はどうでしょうか?

ある会社で働きたくなければ働かなければよいのです。

会社に売りたくなければ売らなければよい。

買いたくなければ買わなければよいですし、株を持ちたくなければ持たなくてもよいのです。

そこに、いったいどんな搾取があるというのでしょうか?

資本主義は、一方が勝って一方が負けるようなものではありません。

双方が利益を得る「ウィン・ウィン」の仕組みなのです。


企業もまた人間によって動いている


政府とは違い、ビジネスは強制ではなく、自由と個人の選択に基づいています。

短期的利益だけを追求する企業は長続きしません。

▼短期的利益を追求すると…

  • 品質を落とせば顧客は離れます
  • 仕入先を過度に値切れば、相手は取引してくれなくなります
  • 優秀な従業員を正当に評価しなければ、彼らは別の場所へ去っていきます

つまり、経営者にとっては、従業員・仕入先・顧客・地域社会といったすべての利害関係者を満足させることが、自分自身の利益につながっているのです。

さて、ここで一つあることをお伝えしましょう。

ビジネスを運営しているのは、完璧ではない『人間』たちです。

時にはミスを犯し、契約を破り、判断を誤り、人に害を与えたり、環境を傷つけたりすることもあります。

そうした場合には、責任者は罰せられるべきです。

しかし、それは資本主義そのものが間違っていることを意味しません。

冷蔵庫の中から札束が見つかった議員がいたからといって、民主主義そのものが間違っているわけではないのと同じです。

さらに言えば、大企業を所有しているのはジェフ・ベゾスやビル・ゲイツのような富豪だけではありません。

教師や警察官、消防士、軍人、そして何百万もの個人投資家たちなど、多くの普通の人も株式市場を通じて企業の“持ち主”になっているのです。


【まとめ】万引きの正当化は「正義」なのか


確かに、商品が数点なくなっても、企業側は気づかないかもしれません。

しかし問題はもっと大きいのです。

National Association for Shoplifting Prevention (1977年に設立された、アメリカの万引き防止対策を牽引する非営利団体)によれば、アメリカでは毎年約450億ドル相当の商品が万引きされています。

その結果、私たち全員がより高い価格を支払わされているのです。

それでも、「万引き」を正当化すること。

そして、資本主義が「不公平」だという主張は果たして正しいのでしょうか?

今日のアメリカ人の中には、「公平性」という問題に執着する人がいます。

しかし、資本主義の中心とも言える株式市場もまた公平だと言えるでしょう。

例えば、テスラの株を持っていれば、あなたの将来の利益率は、世界一の富豪であるイーロン・マスクとまったく同じです。

もちろん、彼はあなたよりはるかに多くの株を持っているでしょう。

しかし利益率そのものは同じなのです。

そして、会社の役割は、単に物を売ることだけではありません。

従業員を育てキャリアを築き、地域社会に貢献し、慈善活動を支え、株主たちに還元し、税金によって社会を動かすお金も生み出しています。

要するに、あのポッドキャスターたちは無知なのです。

はっきり言えば、彼らは腐っています。

彼らは自分たちの食料を簡単に買えますし、ホームレスのために食料を買ってあげることだってできます。

それなのに、食料を盗み、「金持ちはルールを守っていないのだから、自分たちがやっても構わない」と正当化することは果たして“正しい”のでしょうか?

もちろん人それぞれ自分の“正義”を持つことは自由ですが、「資本主義=悪」「株式市場は不平等」という主張を正当化するのはいかがなものかと私は考えています。

P.S.

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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