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史上最悪の投資方法

以前私がウォール街で働いていた時、ある同僚から「投資家の中には救いようがない人もいる。彼らは真面目に計画を実行しようとしないんだ」と言われたことがあります。

この会話を思い出したのは、先日、私のアドバイスを受けている方たちから届いた手紙を読んでいる時でした。

私はあるアドバイスの中で、「モメンタム」が強い銘柄に投資することについてお伝えしていました。「モメンタム」とは相場の勢いを示す表現ですが、これが強いというのは、市場で最も急成長していて、パフォーマンスが良い銘柄だということです。

これらを特定し、株価の上昇にあやかることで大きな利益を狙っていくのです。

私はこのようなモメンタム銘柄を「ステロイドを使った成長株」と呼んでいます。

このグループの動きは活発なので、変化も激しくなります。しかし2021年では、株式市場が史上最高値を更新する中、10%あるいは100%以上の利益を何度ももたらしてきました。

もちろん、その軌道に乗らなかった銘柄もいくつかありました。しかし、私がアドバイスをしてきた多くの銘柄は含み益がある状態でしたし、さらに上昇する可能性があるということを彼らには伝えてきました。

ですが、ある男性はこのことが気に入らなかったようです。

 

「含み益があるのは“あなたの”ポジションであって、“私の”ポジションではない。推奨された銘柄で利益が出ているというのは、“あなた”が保有し続けたからであって、“私”は保有し続けていなかった」と言うのです。

実は彼はその銘柄が上がったのを確認すると、まだ早い段階で利益を確定してしまっていたようでした。

アドバイスを受けた他のメンバーは、推奨銘柄が数週間から数か月かけて上昇し、利益を得ていたのに対し、彼は多くの場合数日でポジションを決済していたのです。

しかも彼は、株価が下がっている銘柄は絶対に売却しませんでした。

つまり、「利益が出ている銘柄を早々に売却して、損失が出ている銘柄をずっと保有し続ける」という投資をしていたのです。

これは私の哲学に反しています。許容できないほどの損失は絶対に避けるべきです。

しかし彼はそうは思わなかったのです。

「売却しなければ“含み損”でしかない。でも売却してしまえば損失が確定してしまう。なぜそんなことをしなければいけないのか?それなら株価が回復するのを待っていたい」と。

彼は、私がアドバイスしていた売却ルールを守っていないことが明らかでした。現在、彼はそのことを後悔しています。たしかに彼には確定した損失はありませんでしたが、含み損は増加していました。

他のメンバーが大金を稼いでいる中、彼自身は自分のやっていることの方が理にかなっていると主張していたのです。

 

彼のように合理化や正当化はいくらでもできます。しかし世界の歴史から見ても、“勝っている株”を早くに切り捨てて、“負けている株”を保有し続けるような投資で成功した人は一人もいません。

たしかに彼の言うように、小さな損失を出しても、後で株価が反発する可能性もあるでしょう。しかし賢い投資家はそのような可能性に賭けるよりも、もっと見込みのあることに投資をします。

ビジネスが順調であれば、ポジティブサプライズ*が続く限り、その株価は上昇トレンドを維持する可能性が高くなります。
*予想外の相場の上昇に影響するような好材料のこと。

ですが、苦戦を強いられている企業は、何か変化のきっかけがない限り、ずっと苦戦を強いられ続けます。そして、そのきっかけは一生訪れないかもしれません。

「損失が出ている株は小さな範囲で損切りをして、利益が出ている株を保有し続けよう」というのは安易な言葉に聞こえるかもしれません。

しかし、もしあなたが逆のことをして成功しようと考えているなら、時間とお金を無駄にしないためにお伝えします。短期的にどう感じようと「利益が出ている株を早くに切り捨てて、損失が出ている株を保有し続ける」戦略ではうまくいきません。

それは長期的に見れば、史上最悪の投資方法だと言えるのです。

アレックス

P.S.
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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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