投資情報 | アンソロピックが、スペースXに年間2兆円払うワケ

アンソロピックが、スペースXに払う巨額の対価
企業が国に出す書類は、
一見すると、とてもつまらないものです。
ですが、その中のたった1行が、
莫大な利益を得るチャンスを、
教えてくれることがあります。
スペースX (Nasdaq: SPCX) が、まさにそうでした。
この企業がIPO(新規株式上場)の前に出した書類には、
多くの投資家が気付いていない、
その取引相手は、今、
シリコンバレーで最も高く評価されているAI企業、
そのアンソロピックが、スペースXに、
毎月12億5,000万ドル(約1,875億円)

1年に1回ではありません。毎月です。
1年での総額は、およそ150億ドル(約2兆2,500億円)
その莫大な資金を支払うことで、
アンソロピックは、米国テネシー州メンフィスにあるスペースXの巨大なAI施設※、「コロッサス1」

しかし、重要なポイントは、ここからです。
スペースXが2025年に、
AIの設備へ使った資金は、全部で127億ドル(約1.9兆円)
さらに、2023年から2026年の3月までを合計すると、
つまり、アンソロピック1社だけで、
その3年以上にわたる投資金額の、
半分以上を肩がわりしているということです。
しかも、これは毎年くり返される、
とても大きな契約です。
ここから、
AIをめぐる競争の本当の姿が見えてきます。
AI競争は「賢さ」から「安さ」へ
まず、コアウィーブ (Nasdaq: CRWV) ※という企業を見てみましょう。
この企業は現在、
50か所のデータセンターで、
およそ1ギガワットの電力を動かしています。
さらに年末までに、1.7ギガワットまで増やす計画です。
そして5月7日、2026年の売上見込みを、
「120億〜130億ドル(約1.8兆〜2.0兆円)」
ところが、アンソロピックがスペースXに払うお金だけで、
AIインフラ※に関わる企業の値段が、
まるで昔の「宇宙開発競争」のように、はね上がっています。
その理由は、ただ
「どの企業のチャットボットが一番優れているか」
を競っているからではありません。
「AIの計算能力」を、
つまり、スペースXが示しているのは、AIをめぐる競争が、
「だれが最も賢いAIをつくるか」から、
「だれが一番安く、一番速く、一番大きいAI工場を持つか」
へと移りつつある、ということです。
しかも、その舞台はもう、
地球の上ですらないのかもしれません。
スペースXは、
- オープンAI
- アルファベット※
- アンソロピック
※グーグルの親会社、アルファベット (Nasdaq: GOOGL)
と戦うために、
大きく力を入れています。
しかし、この企業が力を入れているのは、
AIそのものではありません。
「AIインフラ」です。
スペースXは、自分たちこそ世界で一番速く、
一番安く、AIインフラをつくれると考えているのです。
これは、イーロン・マスク氏が、
おおげさに言っているわけではありません。
実際「コロッサス1」は、
何もないところから、たった122日でつくられました。
「コロッサス2」も、
最初の施設が動き出すまで、91日しかかかっていません。
これは、ほかの多くの企業が、
同じ大きさの施設をつくるのにかかる時間の半分以下です。
しかもスペースXは、書類の中で、自分たちの建設費は、「
この重要性を、
多くの投資家は、まだよく理解できていません。
AIの世界で、本当の武器になるのは、
かっこいいブランド名でも、派手な発表でもありません。
「トークン※1個あたりにかかるお金」なのです。
- 検索
- プログラムの提案
- AIがつくる文章や画像
その全ては、最後には、
「トークン1個あたりの計算にかかるお金」にたどり着きます。
そしてその数字を、
一番安くできる企業が、
市場のシェアを広げていくのです。
スペースXは、
データセンターを安くつくれることが、
そのまま「トークン1個あたりにかかるお金」
の安さにつながると考えています。
実際に書類の中では、
このように説明しています。
「AIの未来は、電力や半導体、
データセンターといった設備を、誰が支配するかで決まる。」
さらに、スペースXの計画は、
地上にデータセンターを建てるだけでは終わりません。
すでに「宇宙空間でAIを動かす」ことについて、
太陽光をエネルギーとして使い、
宇宙という空間そのものを「冷やす装置」として使う。
そんな「宇宙に浮かぶAIデータセンター」です。
そして、早ければ来年にも、
大型宇宙船「スターシップ」※

もしこれが実現すれば、
「AIを動かすためのデータセンターが足りない」
という問題は、なくなるかもしれません。
なぜなら地上にある企業が、
電気や土地を取り合っている間に、
宇宙では、太陽の光と広い空間を、
AI競争の次の勝者
つぎに、もう一方の主役である、
アンソロピックを見てみましょう。
アンソロピックは5月28日、新たに、
650億ドル(約9.8兆円)の資金を集めました。
そして、企業全体の価値が、
9,650億ドル(約144.8兆円)になったと発表。

これは、オープンAIの企業価値である、
8,520億ドル(約127.8兆円)を上回っています。
しかし、2026年2月の時点では、
アンソロピックの企業価値は、
3,800億ドル(約57兆円)でした。
※全て1ドル=150円で計算
つまり、たった3か月で、
およそ2.5倍になったのです。
なぜ、これほど大きく増えたのでしょうか?
それは、アンソロピックの売上が、
ものすごい速さで伸びているからです。
もし、現在の売上ペースが1年間続けば、
1年間の売上は470億ドル(約7.1兆円)になります。
※1ドル=150円で計算
これは、今年のはじめの300億ドル(約4.5兆円)から、
去年の100億ドル(約1.5兆円)と比べると、
わずかな期間で何倍にも増えている計算になります。
※1ドル=150円で計算
売上が大きく伸びている原動力になっているのが、Claude Code※※です。
※※プログラムを書く作業を助けてくれるAIツール

このツールは、
「競争に乗り遅れたくない」
と考えるエンジニアや企業から、次々と注文を集めています。
では、ここまでの話を、
つなげて考えてみましょう。
すると、
いまAIと宇宙の世界で起きていることが、
はっきりと見えてきます。
数日前には、スペースXによる、
史上最大級のIPOが行なわれました。

ただ、そのトップの座は、
長く続かないかもしれません。
なぜなら、アンソロピックがオープンAIを急いで追いかけ、
アンソロピックは、わずか3か月ほどで、
企業価値1兆ドル(約150兆円)に近づいています。
では、さらに3か月後には、
どれほど大きくなっているのでしょうか。
想像もつきません。
【まとめ】次の主戦場は「計算能力」の争奪戦
だからこそ私は、
「AIバブルが終わる」
という意見は、的外れだと考えています。
この世界は、
今もものすごい勢いで成長を続けています。
実際に、この企業はわずか1年で、
売り上げが数百億ドルも増えました。
現在、
巨大なクラウド企業やAIを研究する機関は、
AIを動かすための計算能力を、
- より多く
- より速く
- より安く
手に入れようと、激しく争っています。
その一方で、この競争の裏では、
新たなビジネスの主役が生まれつつあります。
それが、
- これまで何年もかかっていた巨大施設を、わずか数か月で立ち上げられる企業
- 土地や電気、冷却にかかる費用を抑え、AIを動かすための計算能力を、安く大量に提供できる企業
こういった企業です。
さらに近い将来、
その施設そのものを、宇宙へ移そうとしています。
そして今、AIを使いたいという需要は、
提供できる計算能力を上回る勢いで増えています。
この需給のすき間を、
いち早く埋めた企業は、
ただ多くの契約を勝ち取ることができるだけではありません。
企業や資金、人材が次々と集まる、
AI業界の中心になる可能性があります。
アンソロピックがスペースXに払う、
年間150億ドル(約2兆2,500億円)。
これは、ただの契約ではありません。
AIをめぐる競争が、
優れたAIをつくることから、
AIを動かす巨大な設備を押さえることへ移った、
言い換えると、
AIのサービスが商品だとすれば、
それを動かす計算能力は、商品を生み出すための材料です。
そして、その計算能力を、
- 最も安く
- 最も速く
- 最も多く
生み出せる企業が、
これからのAI市場で大きな力を握ろうとしているのです。
マシュー
〜編集部〜
P.S.
今回の記事はいかがでしたか?
あなたの資産形成に少しでもお役立ていただければ幸いです。
2026年、世界を席巻する…
日本企業の”大逆襲”
なぜ今、これらの日本企業が再評価され始めたのか?
米国企業を圧倒する…とある「秘密の口座」とは!?




