弱気相場では、いつ売ればいいのか?
昨年の投資サミットで、ある参加者がこんなことを言っていました(おそらくあなたも感じたことがあるかもしれません)。
*株価がある時点まで下落した場合に、自動的に売却をすること
これは強気相場ではよく言われることです。
しかし、深刻な調整局面、あるいは今年のような厳しい弱気相場では、ほとんどそのような声は聞こえてきません。
テレビを見れば、弱気相場はいつ終わるのかということについて、知識が豊富で自信満々な顔をした人たちが議論しています。
しかし、残念ながら彼らは何にも分かっていないのです。
ウォーレン・バフェット氏も、キャシー・ウッド氏も、ジェローム・パウエル氏でさえも分かりません。
未来の株式市場の動きは、未来のニュースによってしか決まりません。
しかもそれは、再利上げといった誰もが予想するような高確率の展開ではなく、ありそうもない、あるいは想像もつかないようなニュースに左右されるのです。
例えば、米国同時多発テロ、住宅バブルとその崩壊、ベアー・スターンズやリーマン・ブラザーズの突然の破綻、新型コロナウイルスによるパンデミックの台頭、ロシアのウクライナ侵攻などを考えてみてください。
もちろん、これらはひどいニュースの例に過ぎません。
一方、貧困の減少、生活水準の向上、技術の向上、新薬や医療機器の登場、収入や家計等純資産額の記録更新など、良いニュースはあまり取り上げられません。
良いニュースと悪いニュースの間に常に緊張感があるため、経験豊富なトレーダーはしばしばトレーリングストップを設定しておくのです。
数株の株式を購入することは誰だってできます。
しかし、投資の極意は、いつ撤退すべきかを知っておくことです。
もちろん、過去を振り返る時にならなければ、ポジションを手仕舞う理想的なタイミングは分かりません。過ぎてから見てみると、いつ参入すべきか、いつ撤退すべきかは一目瞭然です。
ですが、未来のことは白紙も同然です。何も分かりません。
トレーリングストップは、このような不確実性に対処するためのもので、良い時には利益を、悪い時には元本を守ってくれるということです。
例を挙げてみましょう。
ある銘柄を20ドルで購入し、25%のトレーリングストップを使用する場合、「15ドルで売り注文を出す」ということになります。
この時点で、下落リスクは25%ですが、上昇リスクは無制限です(株価は無制限に上昇する可能性がありますからね)。
ここで決して株価が下がっても、指値(つまり15ドルという価格)を下げてはいけません。それはせっかく厳格に決めた売却ルールを放棄することになってしまうからです。
しかし、株価が上がればその指値を上げていきます。株価が30ドルに上昇した場合は、25%であれば22.50ドルになります。20ドルで購入していて22.5ドルですから、12.5%の利益が保証されるということです。
株価が40ドルに上昇した場合、25%のストップ高は30ドルになり、50%の利益が保証されます。
当然、どの銘柄にも良い日と悪い日がありますが、上昇中の銘柄を決して売ってはいけません。その代わり、その株価の上昇トレンドが崩れるのを待ってから売りましょう。
これは強気相場の時や、弱気相場の中で上昇中のセクターや企業の場合に有効です。
たしかにトレーリングストップに抵触した銘柄でも、その後に高くなることもあります。しかし成長には当然ながら限界があります。
あなたが投資初心者であっても、どんな強気相場もいずれは終わってしまうということを今年学んだのではないでしょうか?
弱気相場の始めでは、トレーリングストップが利益を守ってくれます。そして弱気相場の時には、トレーリングストップが元本を守ってくれるのです。
損失を出すことは決して良い気分ではありません。しかしうまくいかない取引があるのは避けられないことです。
特に弱気相場ではそうです(ただし、6月中旬~7月下旬のような、途中の大きな反発を利用するチャンスはあります)。
損切りをしようとしない投資家は、自分自身を窮地に追い込むことになります。
ある取引で25%の損失を出した場合、再投資した資金で33%稼げば元が取れますが、損失を50%に拡大させた場合、次の取引で100%の利益を得なければ収支が合いません。
そして損失が75%に達したら、次の取引で300%のリターンが必要になります。
歴史が示すように、33%の利益を得るのはそれほど難しいことではありませんが、300%の利益を得るには、もっと多くの時間と忍耐が必要です。
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