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今持っておくべき暗号資産は…

最近私は、友人に「投資家は暗号資産をどれくらい持つべきか」と聞かれました。

私は正直に「そんなものはない」と答えました。

彼はショックを受けているようだったので、「もちろん、投機家なら話は別だが」と付け加えたのですが、それを聞いた彼は安心したように「投機家であれば、暗号資産をどのくらい持っていれば良いのか?」と尋ねてきたのです。

私はこのように答えました。

「ラスベガスで週末に負けても良いくらいの額だ。おそらくはそういう結末になるだろうから」

私はずいぶん前から暗号資産について読者に警告しています。なぜなら、暗号資産は価値を付けることが不可能だということが大きな問題だからです。

もちろん、どんなものでも誰かが喜んでお金を払うことで、そこには「価値」が生まれます。

しかしビットコインをはじめとする暗号資産が、数時間のうちにその価値の4分の1以上を失った時に投機家は、急速に変化する可能性があるということを学んだはずです。

賢い投資とは、ある投資対象がどの程度の価値があるのかを計算し、市場価格を確認して、割安かどうかを判断することです。

例えば株式投資家は、企業の現在と将来の売上高、業績、配当金に基づいて独自の評価額を導き出します。社債の投資家は、発行体の資産、負債、キャッシュフロー、事業の見通しなどを見て、価値とリスクを評価します。不動産の投資家は、見込み賃料、および修繕費、固定資産税、保険料などのコストを見て、家やアパートの価値を判断します。

では、暗号資産の価値を独自に計算するにはどうすればいいのかと言えば、それは正直言って不可能です。
 
何の役にも立たない暗号資産であるドージコインを見てください(もちろん、価格が上がるか下がるかに賭けることは別です)。
昨年の5月、ドージコインの時価総額は900億ドルに達し、133か国に7,500以上の施設を持つ世界有数のホテル会社、マリオット・インターナショナル (Nasdaq: MAR) の2倍以上の価値がありました。
 
ドージコインの時価総額グラフ

(出典:coindesk)

それはバブル以外の何ものでもありません。

先ほども言ったように、暗号資産には具体的な価値はありません。暗号資産は、それを所有する人々の信用以外には何の裏付けもありません。

よく言われるのが、暗号資産は取引を簡単にするというものです。

しかし、答えは「ノー」です。ビットコインの取引には約10分かかり、平均的な取引手数料は20ドルかかります。

では、信頼できる通貨になるでしょうか?とんでもありません。価値の変動が激しいため、支払い手段としては信頼できません。

強気な人は、不換紙幣と違って暗号資産は発行が厳しく制限されていると指摘します。しかし暗号資産自体が無制限であるため、その利点は損なわれているのです。

ビットコインが暗号資産の始まりでしたが、現在では1万を超える暗号資産が存在しています(新しい暗号資産の多くは、より高い安全性、より速い取引処理、より高度な技術的特徴を備えています)。

暗号資産が匿名性を提供するというのは事実です。

誰にも見られたくないものを売買する人にとってはプラスになりますが、自由主義がますます進む現代では、そのような需要は少数です。

確かにデジタル通貨とその背後にある分散型台帳技術(DLT)、ブロックチェーンは、長い間存在し続けるでしょう。

しかしこれらは、支持している人たちが主張するような驚くべき革新ではありません。信じられないようなイノベーションは、人々が抱える問題を解決してくれるものです。
 
Venmo(ベンモ)は、お金の共有と送金を容易にしましたし、Zoomは多人数でのテレビ会議を簡単にしました。mRNA(メッセンジャーRNA)の技術は、安全で効果的な新しいワクチンを記録的な速さで作ることを可能にしました。

暗号資産はむしろ犯罪行為を促進させてしまう可能性もあるのです。テロ組織、重火器商、麻薬カルテル、人身売買業者にとって、ビットコインは天の恵みです。

ランサムウェアの被害者を支援するサイバーセキュリティー企業Covewareの報告によると、身代金の100%が暗号資産で要求されるそうです。

そしてサイバー犯罪者による攻撃は大幅に増加しています。

暗号セキュリティ企業のチェイナリシスによると、昨年のランサムウェアの支払いは4倍の3億4,800万ドルに達しました。

このことは、国内外の政府もほとんど気づいていません。新たな規制や全面的な禁止によって、この事態に踏み切るのは時間の問題なのです。

もしそうなれば近年の暗号資産の大きな売り越しが、小さな下げでしかなかったと見えるようになるでしょう。

もちろん非合理的な行動がいつ終わるかを合理的に予測することはできません。

しかしそれはいつもそうであるように、結果、後で後悔するような結末を迎えることになるのです。

ドットコムバブルの時、私は投資家に撤退するよう警告しました。2000年代の住宅バブルの時も、ミーム株(GameStop)バブルの時も、投資家に撤退を警告しました。

今日もまた、暗号資産の投資家たちに、買いたくなるのを我慢して、今すぐ撤退するように警告します。

投資家として間違いを犯すのは良いことですし、それは避けられません。しかし、振り返って「私はバカだった」と言いたくなるようなことはするべきではないのです。

そして今がその時なのです。

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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