トレンド投資

中国小売市場における電子商取引の大躍進

2020年、多くのアメリカ人が、オンラインショッピングを使いこなせるようになりました。

そうならざるを得なかったのです。外出自粛により、小売店舗やレストランが軒並み休業したためです。

米国では、電子商取引の売上が急増しました。2020年の電子商取引売上高は、前年比32.4%増の7,917億ドルとなりました。米国国勢調査局の調査によると、電子商取引が、2020年度の小売業売上高の14%を占めています。

もちろん、これは米国に限ったことではありません。

2020年、電子商取引は世界中で「王様」となりました。そして、その「王冠」はしばらく手放されそうにありません。

そして、2021年には、大きな節目を迎えようとしています。その歴史的な瞬間の中心にいるのは、ほんのひと握りの企業だけです。

6兆4,000億ドルの機会

前述のように、2020年は様々な理由で大混乱状態でした。

世界的な自然災害、経済崩壊、失業率の激増、政情不安、そして暴動…。言うまでもなく、これらのほとんどが、あの世界的なパンデミックにより引き起こされたものです。

しかし、明るい側面とマイルストーンもありました。

その1つが電子商取引です。

世界的に見ると、オンライン小売業販売額は、前年比27.6%増の4兆2,800億ドルに達しました。これは、近い将来の世界経済を形づくるトレンドの波といえましょう。

世界の電子商取引売上高は、2023年までに5兆9,000億ドルに達する見込みです。これは、2020年対比37.8%増の金額です。そして、2024年までには6兆4,000億ドルに到達すると予想されています。

さて、ここからが本題です。

この市場のほとんどが、わずか6社によって牛耳られているのです。

世界的なオンラインショッピングと言えば、アマゾン  (Nasdaq: AMZN) を思い浮かべるでしょう。しかし、それは謝った認識です。アマゾンも、アメリカ企業も、電子商取引の世界では、ナンバーワンには程遠い位置にいます。

オンライン小売業界の主役は、アメリカや、その他の地域が追い付くのに何十年掛かるか分からないほど、はるか先を行っています。

中国の人口は、14億人以上にもなります。

地球上で最も人口の多い中国は、成長を推し進める比類なきパワーを持っています。

中国は、世界で最も急成長を成し遂げている主要経済国であり、米国に次ぐ世界第2位の経済大国です。このアジアの大国では、他国の追随を許さぬ「何か」が起こっているようです。

2021年、中国はある歴史を作ると見込まれています。オンライン売上が、小売業販売額の半分以上になると予想されているのです。

想像してみてください。史上初めて、国の小売業販売のほとんどが、電子商取引に担われるようになるのです。

地球上、どこの経済圏も到達できない数字になります。

中国を射程圏内に捉えているのは、韓国とイギリスだけです。オンライン売上は、両国ともに総売上の28%を占めています。

中国における電子商取引の急成長ぶりとその規模は、実に興味深く、一投資家として興奮させられます。

例えば、2019年、中国のオンライン売上高は、小売業販売額全体の34%に相当する1兆8,000億ドルに到達しました。2020年の米国における電子商取引の売上高は、小売販売額全体の14%で7,920億ドルですから、中国にはまるで及びません。

2021年、中国のオンライン売上高は、総売上高の52.1%で2兆8,000億ドルを占めると予測されています。2024年までに、売上高は3兆5,650億ドルに達し、総売上高の58%を占める見込みです。

中国のこの数字は、きわめて重要です。世界のオンライン売上高は、2020年には4兆2,800億ドル、そして前述のように、2024年には6兆4,000億ドルに迫ります。つまり、世界の電子商取引の半分以上を中国が占める、ということになります。

現在、わずか6社が全世界の電子商取引の大部分を支配しています。そのうち世界トップ2を含む4社が、中国企業です。

アリババ (NYSE: BABA) が所有する中国のオンラインモール、タオバオ(淘宝網)は、世界の電子商取引の約15%を占めています。

それを追うように、同じく中国企業で、アリババの子会社であるTモール(天猫)が続きます。

次にアマゾン、中国の JDドットコム (Nasdaq: JD) 、ピンドゥオドゥオ (Nasdaq: PDD) が続き、ようやく イーベイ (Nasdaq: EBAY) です。

その他5%のシェアに含まれる企業は、日本の 楽天 (OTC: RKUNY) 、中国の スニン・コム(蘇寧)と ビップショップ・ホールディングス (NYSE: VIPS) 、シンガポールのシー (NYSE: SE) のショッピー、ウォルマート (NYSE: WMT) 及び Apple (Nasdaq: AAPL) です。

ここで大いに注目すべき点は、電子商取引の世界において、中国が圧倒的な力を持つ、ということです。また、アジア全体が、世界で最もオンライン販売の盛んな地域であることです。

アジアの消費者市場は世界でも類を見ないものです。

アリババ、JDドットコム、 シー、ビップショップ・ホールディングス、ビリビリ (Nasdaq: BILI) など、私のお気に入りの中国・東南アジアの電子商取引企業を何年も前から推奨しているのはそのためです。

2021年、中国経済は、売上高の半分以上をインターネットが占めるという比類ない節目を迎えます。これらのオンライン業者は、これからしばらくの間、投資家に利益をもたらすでしょう。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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