海外投資

航空業界は2020年内に復活するのか?バフェット、ビル・ミラーの見解は?

所要時間: 4分.


この記事のポイント

  1. 旅客数は9割近く減少

  2. 有名投資家の間でも航空業界の復活に関しては意見が割れている

  3. 航空業界に拘らずとも他に投資すべき業界がある


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航空業界をデータで見る

航空業界から出てくるデータに目を疑います。  

例えば4月7日を見てみましょう。米国運輸保安局は、旅客数が過去最低の97,031人を記録したと発表しました。昨年の同日にはその数は209万人だったので、前年比95%以上の減少です。  

ビジネスが不調どころではなく、消え去ったと言えます。  

グラフ:搭乗者数比較(2019 & 2020年) 

日毎の旅客数は5月に入ってから徐々に増加していますが、本格的な回復には至っていません。  

この旅客数の減少により航空会社の収益が大きな打撃を受けたことは言うまでもないですが、これは市場にも影響を与えています。  

主要な航空会社の株価は、業界が直面する苦境を反映しています。  

グラフ:米国主要航空会社の株価推移  

しかし、多くの投資家が気にしていることといえばこうでしょう。「この大幅な株価の下落は絶好の買い時なのか?今こそ航空業界の回復に賭ける時なのか?」  

世界で最も有名な2名の投資家は、この疑問に対して全く異なる回答を持っています。  

ビル・ミラー:反発に賭ける  

ビル・ミラーのことをよく知らない方は、彼がS&P500に15年連勝した史上唯一のファンドマネージャーである と覚えておいてください。  

ミラーは資産運用グループ「レッグ・メイソン」で勤めていた1991年から2006年までの間、別名「ストリーク」(連勝)として知られる偉業を達成しました。それは信じられないほどの快挙でした。  

アリエル・インベストメンツが主催した最近の投資家懇談会において、ミラーは航空会社の株式が今日の大きな掘り出し物である理由を力説しました。  

彼のファンドであるミラー・オポチュニティ・トラストの保有状況を確認したところ、4月30日現在、彼のポートフォリオの10%が航空会社に投資されていることが確認出来ました。  

つまり彼は口だけではなく、言った通りに投資をしているということです。  

ミラーは、先の懇談会において、航空会社の株式を保有することへの関心を次のように説明しました。  

「人は空を飛ぶのが好きだ。ワクチンがあるからポリオや天然痘にかかることを心配する必要はない。航空会社の株式を所有していないのであれば、ワクチンができないと賭けているということになる。もし、飛行機に乗ることへの懸念を全て解決するワクチンがあれば、これらの株価は非常に早く回復するだろう。さらに、今の株価には全ての悪いニュースが既に反映されている。」  

これは非常に強気な例でしょう。  

ウォーレン・バフェット:敗北を認める  

ビル・ミラーは非常に熟練された投資家ですが、ウォーレン・バフェットは89歳でありながら最も熟練された投資家です。彼の市場観、個別銘柄観は他の誰よりも注目を浴びます。  

5月2日、バフェットはバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK-B)の年次株主総会を開催しました。今回のバークシャーの株主総会では、例年通りアリーナに詰めかける何万人もの常連客を集める代わりに、バフェットがオンラインビデオ会議で質問を受けたり、知恵を説いたりする形で開催されました。  

この会議で、バフェットは4月にバークシャーが保有していた航空会社の株式を完全に売却したことを明らかにしました。これらは数年前から行われていた投資でした。  

誤解のないように言っておくと、彼は航空会社の株価が暴落した後にこれらの株式を売却しています。  

この暴落による損失は、約30億ドルに及ぶと推定されています。  彼がすぐに嫌気がさしたのも無理はありません。 

 会議の中で、バフェットは、パンデミックの影響が長期化すると考えていることが、この大きな心変わりの原因だと述べています。 

また、「3、4年後に、人々の飛行距離が昨年と同じ水準に戻るとは思えない。つまり、飛行機の数が多すぎるということだ。」と説明しています。  

バフェットは、ワクチンが航空会社の問題に即効性がある解決法だと考えていないことは明白です。 

 バフェットとミラーのどちらが正しいのか?  

私は、今日の航空会社の株式が掘り出し物だとは思っていません。株価は下落しているのですが、収益はそれよりも一層下落しています。  

業績が確実に回復するのであれば、私はもっと関心を寄せているでしょう。しかし、当面の間は業績が回復するとは思えず、一株当たりの金額で考えても回復しないでしょう。  

ここ数週間でこれらの企業の株式数は増加しているため、1株当たりの金額で考えることが重要です。  

ユナイテッド航空(Nasdaq: UAL)を例に考えてみましょう。同社は1株あたり26.50ドルで4000万株以上を発行し、10億ドルの現金を調達しました。  

ユナイテッド航空が1株あたり100ドル近くで取引されていたことを考えると、この価格で4,000万株を発行し、総株式数を20%増やすと、株主にとっては株式価値が大きく希薄化することになります。  

もしも明日ユナイテッド航空の収益が2019年の水準に戻ったとしても、株式数が増加したことのみを見るのであれば、理論的には1株当たりの価格は下落します。  他の航空会社も底値の株価で株式を発行し、同様のことを行っています。また、運営の継続のために負債を更に増やしていますが、それが財務状況を悪化させています。  

さらに、新株引受権を含んだCARES(Coronavirus Aid, Relief and Economic Security)法に基づく連邦政府からの支援も希薄化を助長するでしょう。 

 私は、現金を調達することが間違っていると言っているのではありません。毎日のように現金を燃やしているのと同じこの困難な状況を乗り切るためには必要なことでしょう。しかし、この困難な状況を乗り切るにはまだ道のりは長く、株式価値の希薄化は今後も行われるでしょう。  

私は、航空会社よりも他に投資すべき良い場所があると思っています。それがどこなのかは別の機会にお伝えしましょう。  

乞うご期待。  

あなたの投資がうまくいくことを願って。  

ジョディ


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