投資情報

業界トレンドを投資に生かす(その2)

前回は、動画共有アプリ「スナップチャット」運営企業のスナップから確認した広告業界のトレンドが、大手ハイテク企業からも見られるのかを
Facebookの親会社であるメタ、Googleの親会社であるアルファベットの
7 – 9月期決算を通して見ていきました。

今回はその後編として、アマゾン、マイクロソフトを見ていきます。

今回見ていく2社ですが、前回見た2社とはちょっと違うポイントが見えてきます。

スナップの記事はこちら
1.メタ、2.アルファベットの記事はこちら

 

3. アマゾン



(出所:アマゾンHP)

アマゾンの7 – 9月期決算は、前年同期比増収減益となりました。

広告による売上高は好調で、前年同期比25%増の95億4,800万ドル。

なぜ、メタ、アルファベット、スナップが広告で苦戦している一方で、アマゾンは好調さを維持できたのか。

その理由は、アマゾンが「リテールメディア」と呼ばれる広告の手法をとっているからです。

リテールメディアとは、アマゾンのような小売企業のECサイト上、もしくはモバイルアプリ内でブランドの広告を表示させるスペースを提供する手法を指します。

要は、アマゾンのサイトにブランドや企業のための広告枠を設けて、その枠を販売するということ。

アマゾンのウェブサイトではこのような感じで、検索した商品に関連する広告が表示されます。


(出所:アマゾン)

前々回のメルマガでお伝えしましたが、事業環境が厳しくなると、広告主は売上に直結する即効性のある広告を重視する傾向が出てきます。

アマゾンのサイトには、そもそもお得な情報を求め、そしてお金を使おうしている消費者がアクセスするため、即効性のある広告となりやすいのです。

今回の7 – 9月期決算では、そのような広告の違いが明暗をわける要因になったと考えられます。

一方、クラウドコンピューティング「AWS」の売上高は、前年同期比27%増の205億3,800万ドル。
初めて200億ドルを超えたものの、伸び率は市場予想を下回りました。

同社はクラウドコンピューティングの伸び率の鈍化について、

  • マクロ経済の不透明感を受け、支出を抑えたい顧客が増加している
  • 特に、金融や住宅ローン業界などの需要が弱まっている
  • ドル高も逆風となっている

と述べています。

 

4. マイクロソフト



出所:マイクロソフトHP)

マイクロソフトの7 – 9月期決算は、前年同期比、増収減益となりました。

増収率は5年ぶりの低水準となり、景気低迷によるパソコンメーカー向けの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ(Windows)」販売の落ち込みやドル高の影響が決算に影響しました。

同社はさまざまな事業を展開しているため広告による収入はあまり大きくはないのですが、最近はかなり力を入れて取り組みを進めていて、検索広告とニュース広告の売上高は、前年同期比16%増となっています。

マイクロソフトの広告はあまりイメージがつかないかもしれませんが、

その理由について、

  • Bingの検索結果ページ
  • MSN
  • Microsoft Edgeのスタートページ・タブページ
  • Microsoft Outlook

などといったマイクロソフトが提供するブラウザやサービスに表示されます。

MSNはこのような感じです。


(出所:MSN HP

同社は近年、広告にも関連する事業の買収を積極的に行っています。

これにより、検索エンジン、ウェブサイト、ソーシャルメディア、アプリ、動画、コネクテッドTV、ゲームなど、さまざまなプロパティへの広告配信が可能となり、収益強化につなげられていると考えられます。

また、同じ広告といった観点では、同社はネットフリックスと提携を結び、広告付きプランの導入サポートを広告テクノロジー・営業のグローバルパートナーとして行うことになっています。

さらに同社は、Microsoft 広告の管理画面で、Microsoft 広告だけでなく、Google、Facebook、Instagramなど他のプラットフォームの広告配信を管理できるマルチプラットフォーム機能を発表しました。(現在は米国限定)

マルチプラットフォーム機能を使うと、

  • Microsoft 広告だけでなく、GoogleやFacebookなどのプラットフォームの広告キャンペーンをまとめて管理
  • パフォーマンスがよいキャンペーンに人工知能(AI)で広告予算を自動的に寄せる
  • 複数のソーシャルページを一箇所で管理

といったことが可能になります。

同社にとって広告はまだ成長途上にあるため、業績を見る際にはパソコン販売の不振やドル高などがフォーカスされがちですが、着実に成長を遂げている分野であると捉えることができます。

ちなみに、クラウド部門「アジュール」の増収率は35%と、前年同期の50%を下回り、アマゾンやグーグルと同様、クラウドコンピューティングに陰りが見え始めています。

同社はクラウドコンピューティングの成長鈍化について、

  • 4月から減速が始まり、現在も続いている
  • 欧州における減速の影響が大きい

と述べています。

 
では、最後に今まで見てきた企業を広告事業に絞って振り返ります。


(出所:Oxford クラブ作成)

スナップで見た大きな業界トレンドは、大なり小なりどの企業でも見られました。しかし、同じ広告でも、取っている戦略によって結果は大きく異なるものに。

広告だけで見ると、アマゾン、マイクロソフトの2社が、広告主のニーズに合った手法やサービス拡充を行うことによって、苦しい事業環境の中でも事業を伸ばすことができています。

オンライン広告の市場規模は今後も拡大することが想定されているため、マイクロソフトで触れたネットフリックスもそうですが、ディズニーやUberも本格参入する予定です。

オンライン広告業界のなかでこれほどの大企業がしのぎを削った結果、どのような結果になるのか、非常に楽しみでもありますし、その結果によっては投資先への判断が変わってくるかもしれません。

 

たとえ安定した収益が見込まれそうな大企業であっても、常に新たな情報を取り入れておかないと、誤った投資判断を行なってしまうこともあります。

常に新しい情報を取り入れられるよう、普段触れている新聞や雑誌などをこのタイミングで見直してもいいかもしれませんね。

私も気づきのある情報をお届けできるよう、頑張ります(^^)

 

小島璃子

 

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小島 璃子

金融業界歴12年。大学卒業後、メガバンクに約12年間勤務。中小企業~大企業(自動車セクター担当)まで、営業として幅広く担当。メガバンク系証券会社に出向し、投資銀行部門にてM&Aや資本調達などを経験。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会へ出向し、大会開催サポートを経験。メガバンクに戻り、ESG関連のリサーチ・コンサルティング業務に従事。2021年12月Oxford Clubシニア・ストラテジストに就任。 著者の記事一覧≫

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