投資情報

業界トレンドを投資に生かす(その1)

先週は大手ハイテク企業の決算が続々と発表されましたね。

あなたはその情報、どのように読み解きましたか?

事前予想より良かった、悪かった
決算を受けて株価が上がった、下がった

これだけで終わらせていたらもったいない。

決算を読み解くと様々なトレンドが見えてきます。

前回のメルマガでは、広告収入が多いスナップという企業にフォーカスして広告業界のトレンドについて見てみました。
(前回のメルマガはこちらからご覧いただけます。)

今回は、前回の内容を踏まえて大手ハイテク企業の決算から、

スナップから確認したトレンドは業界全体のものなのか
そのような環境下でも相対的に強い企業はどこなのか

を見ていきたいと思います。

 

まずは前回の振り返りから。
広告業界は次の3つの要因から逆風環境にあるとお伝えしましたね。

【逆風要因】

  • マクロ環境の悪化による顧客の広告費予算の削減
  • アップルによるプライバシー保護規制の強化
    (これにより広告主の投資に対するリターンの実証が困難に)
  • 中国発の動画アプリTikTokとの競争激化

そして、そのような環境下で特に重視すべきポイントが次の2つ。

【確認ポイント】

  • 広告の中でも消費行動を促すような広告の割合
  • ネット広告以外の景気に左右されにくい事業の構成比

では早速、大手ハイテク企業の決算を確認していきましょう。

少し長くなるので、今回と次回のメルマガ2回に分けてお届けします。
今回はFacebook、Instagramの親会社であるメタとGoogleの親会社であるアルファベットを見ていきます。

 

1.メタ



(出所:メタHP)

Facebook、Instagramの親会社であるメタの7 – 9月期決算は、前年同期比減収減益となりました。

広告による売上高は、前年同期比4%減の272億3,700万ドル。

その要因について、次のように述べています。

  • マクロ環境の悪化による顧客の広告費予算の削減
    …特に電子商取引(EC)やゲーム、金融などの分野で弱含んでいる
  • 中国発の動画アプリTikTokとの競争激化
  • アップルによるプライバシー保護規制の強化

メタは売上高の98%が広告による収入です。
そのため、トレンドとしてみていた3つの影響が大きく出ています。

ただ、もっと気にしなければいけないポイントは、減益率が大きいこと。

1株当たり純利益(EPS)は前年同期比49%減の1.64ドルとなっています。

同社の営業利益率はわずか20%と、新規株式公開(IPO)コストが響いて赤字となった2012年4 – 6月期以来の低さ。


(出所:メタHP

この利益率の低下は、メタバースへの巨額投資が一因ですが、広告収入の利益率も縮小しているのが気になる点です。

広告収入の利益率は2020年10 -12月期が54%であったのに対し、2022年7 – 9月期は34%にまで低下しています。

これは、さまざまなSNSが誕生し、競争が激化したことによって、ユーザーの獲得や利用時間を伸ばすためのマーケティング費用が増加したことが要因です。

メタバースの収益化が見えないなか多額の投資をおこなっているメタにとって、中核事業である広告収入の利益率低下は致命的です。

 

2.アルファベット



(出所:Google HP)

Googleの親会社であるアルファベットの7 – 9月期決算は、前年同期比増収減益となりました。

広告による売上高は前四半期(4 – 6月期)と比較して20億ドル近くの減少。

その理由について、

  • マクロ環境の悪化により一部の分野で広告費が減少した
  • 一部の分野とは、保険、ローン、住宅ローン、仮想通貨といった金融サービスとオンラインゲーム

と述べています。

またYouTubeの広告収入が減少していることから、TikTokのショート動画プラットフォームとの競争が激化していることが窺えます。

同社は売上高の80%前後が広告による収入です。

一方、成長分野であるGoogleクラウド部門の増収率は、前年同期比38%増。
一見、順調な成長を見せているようですが、前年同期の増収率45%を大きく下回ったことから、クラウドコンピューティングにも陰りが見え始めています。

クラウドコンピューティングはコスト削減を目的として導入する企業が多いため、景気に左右されにくい事業とされています。
よって、この分野の伸びの鈍化は、厳しさを増す事業環境下で企業が厳格なコスト管理をおこなっていることを物語っていることになります。

 

メタとアルファベットの決算から、スナップの決算から読み取れたトレンドによる影響が大きいことが改めて読み取れましたね。

加えて見えてきたのは、

  • 保険、ローン、住宅ローン、仮想通貨といった金融サービスやオンラインゲームが特に厳しい環境に置かれている
  • 成長分野であるクラウドコンピューティングも鈍化傾向にある

ということ。

これらから、上記に関わる企業の決算も厳しい内容が予想されます。

 

このようにさまざまな業界を顧客としてもつ広告業界を見てみると
その業界のみならず、幅広い分野のトレンドを掴むことができます。

個別企業の分析も大事ですが、投資においては業界トレンドを抑えることも重要です。

 

次回はアマゾン、マイクロソフトを見ていきたいと思います。

この2社からも同じようなトレンドが見えてくるのか、はたまたちょっと違ったトレンドが見えてくるのか。

ぜひ楽しみにしていてください(^^)

小島璃子

 

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小島 璃子

金融業界歴12年。大学卒業後、メガバンクに約12年間勤務。中小企業~大企業(自動車セクター担当)まで、営業として幅広く担当。メガバンク系証券会社に出向し、投資銀行部門にてM&Aや資本調達などを経験。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会へ出向し、大会開催サポートを経験。メガバンクに戻り、ESG関連のリサーチ・コンサルティング業務に従事。2021年12月Oxford Clubシニア・ストラテジストに就任。 著者の記事一覧≫

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