楽観的な市場は12月も継続か
11月は株式にとって記録的な月でした。
ダウ平均株価、ナスダック、S&P 500が史上最高値を更新したのです。また、米国では感謝祭の祝日があり、取引できる日が少なかった11月最終週にも大きく上昇しました。過去1ヶ月で急騰したのは、米国株式インデックスだけではありません。
iシェアーズMSCIワールドETF (NYSE : URTH )は11月に13%近くの利益をあげました。
これは、月に20%以上も持ち直したフランスの代表的な株式指数であるCAC 40指数と、25%近く急増したイタリアのFTSE MIB指数による、非常に力強いパフォーマンスが牽引したものです。
米国大統領選挙とCOVID-19ワクチンの一連のニュースに続き、11月は世界中の株式にとって大きな値動きがありました。
この状況はいつまで続くのでしょうか?
ウォール街のフォーチュンクッキー
ウォール街には、お菓子のおまけのようにあまり価値のないことに例えられる、フォーチュンクッキーの知恵だと言われている言葉があります。「トレンドは友達」です。
昔から繰り返し言われてきたので、元々誰が言い出したのかは分かりませんが、それが投資においてのNo. 1のルールなのです。
私たちは、四六時中トレンドのことばかり考えているので、時々まるで親友のように感じることもあります。
9月にも「市場にとって、1年の中で最も強力な3ヶ月に突入した」と強調していましたが、過去2ヶ月にわたり、選挙がある年の市場ではありがちな混乱、10月の売却、それに続く11月の強い反発ついて忠告してきました。
その大きさは予想を上回りました。
10月は選挙前ボラティリティにも関わらず、個人消費が急増し始めました。クリスマスツリーの下に置かれる子供や孫たちへのプレゼントはタダではないのですからね。米国のセレブは通常、年収の1%以上をホリデーギフトに使うそうです。
今年を強力な年として締めくくるには、ロケット燃料の備蓄が必要です。
ハロウィンが終わり、さっと片付けたら、次は庭先やお店の通路がクリスマス装飾で彩られ、いよいよ市場は上昇し始めます。このトレンドはすっかり定着していて、2012年以来、11月のダウ平均が月初よりも下回ったまま月末を迎えたことはありません。つまり8年間増収を継続しているのです。
過去30年間で、4月は株式市場にとって最もパフォーマンスが良い月というだけでなく、ダウ平均は2005年以来、下降したまま月末を迎えたことはありません。
そして3番手には12月が続きます。投資家はそのことを忘れないようにしましょう。
ファイナル・カウントダウン
時に12月は、株式市場にとって油断できない月になることもあります。
12月25日の最後の数時間は、小売業はやや緩くなりますが、その後急反騰がみられ、最終集計では、予想ほど悪くない結果となる傾向にあります。
ですが、一般的に12月には大規模なメルトダウンは起こりません。
最近の出来事でいうと、2018年は1931年以来の最悪の12月でした。今までで最低のクリスマス・イブ取引セッションでもあり、2008年のリーマンショック以来の、株式市場にとっての最低の年の苦い締めくくりとなってしまいました。
昔の話のようにも感じますが、その後米中貿易戦争が本格化し、景気の減速のトリガーとなったのです。
しかし実際には、12月のこのようなパフォーマンスは稀です。
1985年以来、ダウ平均は9回、1年の最終月を赤字で終えましたのは、たった25.7%。その内、4回のみ1%未満の反落が起こりました。
- 2018: -9.51%
- 2002: -6.30%
- 2015: -1.66%
- 1996: -1.11%
ここでは「トレンドは友達」です。ベアマーケットは12月には始まりません。数ヶ月前、もしくは数ヶ月後、第4四半期の結果が開示された時がベアマーケットの開始時なのです。
予想通り、ホリデーシーズンの店頭販売は閑散としている状況です。驚くことではありませんよね。ただ、ネット販売は市場最高値を更新しました。人々はコロナ禍にあっても、消費者としてホリデーショッピングを続けるのです。
酷い見出しが叫ばれていても、私たちはまだ上昇傾向にあると思います。
16日…2020年にはあとそれだけしか残されていません。
それで終わりです。
将来、振り返ったときに大変な年だったと感じるかもしれない2020年は、足早に終わりを迎えようとしています。
ですが、歴史的にみれば、1年の最後の週は投資家にとってはベストな日々なのです。
それはパンデミックであろうとなかろうと、更なる歓喜にあふれるホリデーシーズンには十分な燃料がタンクに残っているのですから。
ハイリターンを願って。
マシュー・カー