トレンド投資

投資家にとって12月が最高の月になる理由

The trend is your friend (トレンドには逆らわずに、乗っかった方が良い)」
これは、ウォール街で語り継がれる格言です。あまりにも長い間繰り返し言われ続けてきたため、誰が言い始めた言葉なのか、その起源は不明ですが、投資をする上での1番のルールだと思っています。というのも、トレンドは、新しいものであれ、繰り返し起こるものであれ、我々の味方になるからです。10年以上の間、私は投資家たちに市場の季節性に関する専門知識を伝えてきました

では、なぜ12月が間違いなく市場にとって一年で最も大切な月なのかということをお話しましょう。

 

勝率64%


この時期、大半の投資家は冬の祝祭ごとに伴う市場の動きに注目しています。

そのため、12月は株式市場にとっては、クセのある月となることもあり、個人的にはデリケートな雰囲気が漂っていると思っています。

多くの小売業者にとって、ホリデーシーズンの消費は、相場を動かすきっかけとなる重要なカタリストであり、この時期には、消費を急かすような、派手な見出しが出ることがあります。加えて今年は、インフレとサプライチェーンの問題も同じように取り上げられるでしょう。

12月25日のクリスマス前には、小売業の株価は軟調な動きをすることがあります。

しかし、最終的な売上高の集計は、通常、予想されたほど悪くなく、その後、安心した投資家が買いを入れて、株価も上昇することが多いのです。

12月単月で見ると、1996年以来、ダウ工業株30種平均(ダウ指数)が損失で取引を終えたことは9回しかありません。

12月に見るダウ工業株30種平均のパフォーマンス推移

つまり、過去25年間で64%の勝率ということになります。言い換えれば、12月に巨額損失が起こるのはかなり稀だということです。

12月にダウ指数が記録した下落率の大半は、1%未満でした。

クリスマス前に起こった悲劇(クリスマスショック)としては、2002年の6.3%の下落と、最悪のクリスマスイブ市場として記憶に残る2018年の9.5%の下落がありました。

ですが総合すると、ダウ指数における過去四半世紀の12月上昇率の平均値は約0.95%を記録しているのです。

12月は歴史的に見ても、最もパフォーマンスの高い月の上位に位置しています。株式が非常に好調な四半期を締めくくることが多く、以前にも10月から好調な市場が3か月続くとお話した最終月でもあります。

また、毎年冬の時期になると、ホリデーシーズンの楽しげな雰囲気も手伝って、投資家たちが将来に対しても楽観的な見方をするようになるため、10月から始まる傾向が強い上げ相場は、大抵年末まで続きます。

このグラフから2021年10月1日からダウ指数は約3%、ナスダック総合指数は約7.2%、S&P500種株価指数は約8.5%上昇していることがわかります。

2021年10月1日以降の米国株式市場のパフォーマンス推移

驚くべきことに、これらの数値はブラックフライデーに我々を震え上がらせた新型コロナウイルスの変異種であるオミクロン株流行のニュースの後のものです。

ダウ指数は、10月に5.5%以上の上昇を見せ、11月は史上最高値を記録しましたが、新型コロナウイルス感染症の新たな懸念から横ばいとなり、最終的には瞬く間に暴落しました。

ですが、この時期のボラティリティは珍しくないということも心に留めておいてください。

通常、クリスマス市場は希望に満ちて上昇しますが、不確実性もあり、利益を損なってしまう可能性も含んでいます。

2018年に米国と中国の貿易戦争が沸点に達し、市場が崩壊した時が、その一例です。その年は1931年以来最悪の12月となり、市場にとって2008年のリーマンショック来の苦い年末となりました。

今年のようにサプライチェーンに懸念があると、それが連鎖的な影響を引き起こす可能性もあります。

それでも、これまでの四半世紀で見てきたように、ダウ指数や米国の主要な株価指数は、12月になっても頭打ちにはならないことが多いのです。

2021年は、残すところあと半月となりました。

歴史的に見ても、12月最後の数週間は、投資家にとっては最高な月となっています。

インフレやサプライチェーン、そして政府による都市封鎖の可能性についても話題が出るでしょう。これらは、短期ボラティリティのトリガー(引き金)にもなり得ます。

しかし、これまで何度も見てきているように、12月の市場は盛況で終わることが期待できます。

つまり、新型コロナウイルスの新変異種に関わらず、年末に向けてさらに盛り上がるための燃料はまだ十分に残っていて、銘柄によれば高値更新の可能性さえあるのです。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button