トレンド投資

経済的自立を脅かす2つの新記録

年末に向けて「記録更新」があるかもしれません。

ビットコインや米国株式市場の主要指数のことを言っているのではありません。それらは、すでに今年何度も最高値を更新しています。

もっと身近なところで、年末までに記録的な数字を叩き出すであろうものが、他にも2つあります。

今、先を見据えて、お金の使い方を考え直さなければ、経済的自由を阻む結果に直面してしまうかもしれません。

 

1.物価上昇


1年以上、親しい人と会えない状況が続いていたため、アメリカ人は、外出して、みんなで集まろうと必死になっています。そのため、冬のホリデーシーズンには、家族や友人と一緒に食事をする人も多いと思います。

しかし、今年は、久しぶりに会う親戚たちの体形や近況の変化もさることながら、物の値段が高くなっていることにも驚かされるでしょう。

実際、今年のサンクスギビングの食事は、過去のホリデーシーズンの中で最も高価なものになりそうです。

七面鳥やおばあちゃんが作ったピーカンパイ(編集部注:サンクスギビングでも食される、アメリカの伝統的なデザート。)を運ぶためのアルミホイルなどの消耗品を含め、あらゆる商品の価格が高騰しています。

サプライチェーンの混乱により、食料品の価格にも次々と影響を及ぼしているのです。

ネスレ (OTC: NSRGY)、プロクター・アンド・ギャンブル (NYSE: PG) 、そして食料品店を運営するクローガー (NYSE: KR) などの企業が、年内に製品の価格を値上げすると消費者に警告しています。

しかし、消費者への影響はこれにとどまりません。

まだホリデーシーズン向けの買い物を始めていない人は、そろそろ始めたほうが良いかもしれません。

全米小売業協会(The National Retail Federation)は、今年のホリデーシーズンの売上高が10.5%ほど増加し、8,590億ドルになると予測しています。

ホリデーシーズンの売上高

これはホリデーシーズンの支出として、5年間の平均増加率である4.4%の2倍以上であるだけでなく、記録的な増加率であった2020年の8.2%をも上回っています。

買い控えていた反動により消費者の需要が高まる一方、サプライチェーンに起因するインフレ圧力が起こり、売上高を過去最高に押し上げる主な要因となっています。

また、今シーズンは、おもちゃやお酒、さらにはクリスマスツリーまでもが品薄になると何度も警告がありました。

 

2. エネルギー価格高騰


さらに、火に油を注ぐように、エネルギー価格がここ数年で最も高くなっています。

米国の原油と天然ガスの価格変動の比較

今年、天然ガスの価格は既に倍以上になり、原油の価格は75%も高騰し、部屋の暖房代や車の燃料の価格が割高になっています。

多くの物が値上がりする状況下、最も出費がかさむホリデーシーズンになりそうです。この点は、日お伝えしたように、株式にとっては良いニュースですが、今年は今まで以上に、個々の収入と支出の流れに気を付けることが重要になることでもあります。

 

油断せずに、慎重に・・・


予算を立てて、それを守ってください。

そうしなければ、自分が何にお金を使ったのか、どれだけ予算をオーバーしたのかを把握することが難しくなってしまいます。

プレゼントを贈っても、経済面で影響を出さず、いつも通りの生活が送れるように、ホリデーシーズンの予算は、年収の1%を少し上回るくらいで設定してください。

現在、平均的なアメリカ人は、ホリデーシーズンに1,000ドル以上をプレゼントに費やしています。また、米国の世帯収入の中央値は6万8,703ドルです。

つまり、年収の約1.46%をホリデーシーズンのプレゼントに費やしていることになります。

さらに問題なのは、69%のアメリカ人が銀行口座に1,000ドル未満しか持っていないことです。これは毎月ぎりぎりの生活をしている結果とも言えるでしょう。クリスマスプレゼントに1,000ドルから2,000ドル費やしてしまったら、この状況は変わりません。

その上、経済的負担が大きいため、61%のアメリカ人はホリデーシーズンを恐れています。さらに、4分の1の人は、買い物のために借金をしてしまう可能性すらあります。

だからこそ、予算を立てて、それに沿って家計を守ることが重要なのです…特に今年は。

先ほどもお伝えしたように、ホリデーシーズンの買い物はできるだけ早く準備をすることをお勧めします。

大切な人への思いやりを持つことは、私たちのDNAに組み込まれています。しかし、自分の生活を困窮させてまで贈り物をするなんてことはしたくないものですよね。

ホリデーシーズンは、家族や友人と過ごすためのものであって、経済的に破綻するためのものではありません。

ハイリターンを願って。

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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