OxfordClubマガジン投資情報米国株入門米国配当株投資配当株投資金融リテラシー

米国配当株投資 | この“愛される”企業の配当は 本当に安全なのか?

今日はゼネラル・ミルズ (NYSE: GIS) の配当の安全性について見ていきましょう。

同社は1866年に製粉会社として創業し、チェリオス、ハーゲンダッツなど、米国を代表するブランドを数多く展開しています。

最近では利益率の高いペットフード事業にも進出し、事業の多角化を進めています。

ただ、ここ2年間の業績はあまり好調とは言えません。

株価が下落する一方で、配当金は増加しており、現在の配当利回りは約5%と高水準になっています。

投資家にとっては目を引く数字ですが、果たしてこの配当は信頼できるもの”なのでしょうか?


減少するキャッシュフロー


同社は2025年度(2024年6月 – 2025年5月期)決算をすでに発表しており、売上高・利益ともに前年を下回る結果でした。

企業が自由に使える資金であるフリー・キャッシュフローは、過去3年間で27億5,000万ドルから22億9,000万ドルへと急減。

さらに、2026年度には21億6,000万ドルまで減少すると予想されています。

キャッシュフローが減るたびに、企業の「配当の安全性」は低下します。

この点は注意が必要です。


現在の配当状況はどうか?


ゼネラル・ミルズ(NYSE: GIS)の配当状況

  • 現在の配当水準
    四半期配当は1株あたり$0.61。年間配当利回りは約4.9%
  • 2024年度の実績
    年間の配当支払総額は$13億、FCFベースの配当性向は58%
  • 安全性の見立て
    私の基準では配当性向75%以下は安全圏。ただしキャッシュフローが今後も減少する場合、同割合は危険水域に接近するおそれ
  • 来年度の見通し
    FCFベースの配当性向は62%へ上昇見込み

配当性向が上昇し、フリーキャッシュフローは減少する傾向が続けば、「配当を維持するための余裕」は年々縮小されることになります。


配当の実績は長いが、油断は禁物


同社は127年間連続で配当を支払い、過去36年間一度も減配していません。

この歴史だけを見れば、非常に信頼できる企業のように思えます。

しかし、過去の実績は未来を保証しません。

業績の鈍化やコストの上昇が続けば、いずれ経営陣は「配当を守るか、再投資を優先するか」という難しい選択を迫られる可能性があります。


【まとめ】数字の裏に“傾向”を見る


投資でよくやってしまうのが、「いまの数字」だけで判断してしまうことです。

配当利回りが高い、配当性向が健全──確かにそれだけを見ると安心感があります。

でも、本当に見るべきなのは「数字の流れ」です。

フリー・キャッシュフローが3年連続で減っている、利益率が少しずつ下がっている──

そうした「じわじわと悪化している傾向」は、企業が表面上の数字ではまだ問題なく見える段階で、すでに“兆候”を示していることがあります。

ゼネラル・ミルズは今まさにその段階かもしれません。

高配当・長期実績という魅力の裏で、 静かに変化している数字の流れに注目することが、長期投資で後悔しないための第一歩です。

 

P.S.

今回の記事はいかがでしたか?

あなたの資産形成に少しでもお役立ていただければ幸いです。

Oxford クラブでは、このような記事を33万人のメールマガジン会員様に毎日無料でお届けしております。

公式サイトからでも1週間にお届けする7つの記事のうち4つはお読みいただけますが、3つはメールマガジン会員様に宛てたものとなっております。

毎日2分メールをお読みになるだけで、少しずつ米国株による資産形成のコツを身に付けていただけるでしょう。

『米国Oxford クラブのNo.1ストラテジストアレックス・グリーンが教える人生を変えるたった一つの銘柄』

20年前にアップル、アマゾン、エヌビディアを見つけ出したアレックスが選ぶ 7つの銘柄
次のマグニフィセント・セブン

→メルマガ登録で無料プレゼント

Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button