米国配当株投資

ポーカーチャンピオン から投資家が学べること

数年前、ある男性に出会いました。

彼は400以上の銘柄を保有していると話していました。

「それは多すぎます」と私は率直に指摘しました。

「どうやってそれを管理するんですか?」

彼はその質問を軽く受け流し、今年は大きな損失を出していると話しました。

驚きはありませんでした。

400ものポジションを積極的に管理することは誰にもできません

それは完全に無計画なアプローチであり、確実に損をする方法と言えるかもしれません。

もちろん私は、分散投資をお勧めしています。
異なる業界、地域、企業規模の株式を持つべきです。

それは数を増やせばいいというものではありません。
何百もの株式やオプションを持っていると、ポートフォリオを管理するのが不可能になります。

加えて、その中には多くの価値のない銘柄が含まれてしまうはずです。

 

ポーカーの教訓


経済学者 アリソン・シュレーガーの著書「An Economist Walks Into a Brothel」には、ポーカーのチャンピオン、フィル・ヘルムートについての章があります。

「ポーカーブラット(Poker Brat)」と呼ばれる彼は、負けたときに爆発的に怒ることで有名です。

ここでポーカーの基本的なルールを簡単におさらいしておきましょう。

ポーカーは手札と場札を組み合わせて最も強い「役」を作り、他のプレイヤーからチップを集めるゲームです。

複数の賭けラウンドを通じて勝者が決まり、最終的に強い役を作るか他プレイヤーを降ろすことで勝利します。

さて、先ほどの本の中で、ヘルムートは自身が「手札のわずか12%しかプレイしないようにしている」と明かしています。

多くのプレイヤーが25%から50%の手札をプレイするのに比べてかなり少ない数字です。

そして、このような「規律」こそが彼をチャンピオンに導いてきたのです。

さて、多くの投資家は規律を持たず、一攫千金のようなものを目指しがちです。

もちろん時にはうまくいくこともあります。

大当たりする株式やオプションを選び、大きな利益を得ることもあります。

しかし、こうした成功の裏には必ずいくつもの失敗がついてきます。

逆に規律を保ち、損失を小さく抑え、利益を大きくすることができれば、成功が近づいてきます。

そして、多くの投資家にとって規律とは、質の高い投資を選び、それを市場の動向や金利、政権交代に左右されずに放置することを意味するのです。

さて、フィル・ヘルムートのような規律あるプレイヤーは、エース2枚、キング2枚、エースとキングのような強い手札を主にプレイします。

また、ポジションが後半(他のプレイヤーの動きを見てから賭けることができる位置)にある場合は、弱い手札でもプレイすることがあります。

もちろん、すべての良いポーカープレイヤーは時折ブラフも使います。

そんなポーカーのテクニックをポートフォリオに応用する方法は次の通りです。
 

1. 強い手札をプレイする


ポートフォリオの大部分は、エース2枚を持っているのと同じように、永久増配株を保有するべきです。
永久増配株とは、その名の通り増配をし続けている配当銘柄のこと。

エース2枚を持っているからといって必ず勝つわけではありませんが、勝つ可能性を大幅に高めます。

同様に、配当利回りが高く、毎年配当を増加させる銘柄を持つことは、市場全体を上回る長期的なリターンをもたらします。

 

2. 有利な状況を活用する


良いポーカープレイヤーは、有利な位置にいるときに弱い手札でもプレイすることがあります。
例えば、同じスートの9と8のような手札です。

これを投資に例えると、条件が有利な業界の株式を購入することです。

例えば、ロシア、ウクライナ、中東での不安定な状況によりエネルギー価格が上昇する場合、石油関連株は業界全体が上昇するため、トップ銘柄でなくても利益を得られるでしょう。

 

3. 引き際を知る


ポーカーでのブラフは、弱い手札(例えば10と6)を強い手札のように見せかけることです。

良いプレイヤーは、相手を降参させるか、自分のカードを下ろして損失を最小限に抑えるべきかを判断します

投資の世界では、小型株やオプションなどでチャンスを狙うことに相当します。

成功すれば大きな利益を得られますが、失敗した場合は早めに損切りをする規律が必要です。

損失が大きくなる前にカードを捨て、次のチャンスに備えましょう。

ポーカープレイヤーと同じように、規律のない投資家は時折幸運をつかむことがありますが、長期的には損をします。

一方で、規律を持った投資家は長期的にほぼ確実に利益を上げます。

取引がうまくいかないときは、フィル・ヘルムートのように怒りを爆発させても構いません。

しかし、彼のように賢い決断を下せば、そもそも怒る必要がほとんどなくなるでしょう。
 

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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