ニュースに惑わされていませんか？

最近、米国の読者からある質問が届きました。

それは

「メールマガジンで個別銘柄に関する記事が少ないのは、経済が悪化しているからでしょうか？」

「新しい大統領が就任するまでは景気は低迷するということでしょうか？」

というものです。

まず気になったのが、この読者が「経済が悪化している」と考えている点です。

私が思うに、現在の米国経済を見て、「経済の悪化」を感じてしまうのは、偏ったメディアからの情報を過剰に消費しているためです。

確かに、物価は高い水準にあります。

しかし、賃金の上昇はそれを補っています。

実際、賃金上昇率は1年半にわたってインフレ率を上回っているのです。

また、失業率は依然として非常に低い水準で、2021年5月以降は求人数が失業者数を上回っています。

今年の独立記念日に飛行機を利用した米国人の数は、過去最高になるだろうとの予測もありました。

これらのことは、経済が悪化している状況では起こらないことです。

その一方で、「経済の全てが好調だ」と考えてしまっている場合も、物事を肯定する方向に偏ったメディアからの情報を消費しすぎているかもしれません。

例えば、食料品の価格は過去4年間で約22％上昇しています。

これは過去の平均インフレ率の約2倍に相当します。

住宅価格も高く、多くの米国人にとって手が出せない水準ですし、

保険料も異常なほど高額です。

ガソリン価格は1年前よりわずかに下がったものの、2019年以降は1ガロン当たり約1ドル上昇しています。

このように、最近の米国では普通に生活をするだけでも、非常にお金がかかります。

しかし、新しい大統領が就任すれば全てが変わると考えているなら、あなたは経済、ウォール街、ワシントンの仕組みを理解していないことになります。

では結局、経済はどうなるのでしょうか？

その答えは市場にあります。

直近の市場は史上最高値からは下落しました。

しかし、それでも高い水準にあることは間違いありません。

経済が衰退していれば、株価は上昇しないはずです。

また、私は大統領選挙の影響で市況が悪化するとは考えていません。

例えば、ネガティブなことばかり報じるメディアは誰が大統領になってもネガティブなことを言い続けます。

実のところ、市場はどの政党が政権を獲得するかを気にしてはいません。

民主党大統領でも共和党大統領でも結果はほぼ同じです。

1957年以来、民主党大統領の下でのS&P500種株価指数の年平均成長率（CAGR）は9.8%でした。

そして共和党大統領の下では6%です。

しかし、年間増加率の中央値は 民主党は8.9%、共和党は10.2% となっています。

つまりこの 67 年間、あらゆるニュースに惑わされずに市場に留まるだけで、理論上は7.4%のCAGRを達成できたということです。

過去には

「バラク・オバマが市場と経済を崩壊させる」
「ドナルド・トランプが世界を破壊する」

といった発言がメディアではよく聞かれましたが、どれも現実にはなっていません。

覚えておいてください、ニュースはあなたを怖がらせるためにあります。

次のようなニュースに誰が関心を向けるでしょうか?

・速報：今夜、私たちの街では殺人事件は発生しませんでした。
・休憩の後、今日米国で離陸した飛行機全てが安全に着陸、機械的な問題も発生しませんでした。
・今朝、夫と3人の子供を残して仕事に出かけ、夕方早めに何事もなく帰宅した若い母親がいます。

このような報道をしても視聴率は全く上がらないでしょう。

しかし、これがこの世界のほとんどの場所で起きている「日常」なのです。

それが世界で何が起ころうとも、長期的に市場が上昇する理由の 1 つです。

実際、2021 年 1 月以降、S&P500は47% 上昇しており、

これは食料品やガソリン価格の上昇率を大幅に上回っています。

ですから、例えネガティブなニュースを受け取ったとしても、

米国、そして世界の経済を悲観するべきではないでしょう。

メディアの報道に決断を左右されることなく、経済や市場に向き合うことが

長期の投資を成功に導くと私は思っています。

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