米国配当株投資

配当を支払う企業と 支払わない企業の違い

なぜ、配当を支払う企業と支払わない企業があるのか知ってますか?

配当を支払う企業は利益の一部を株主に支払います。

一方、配当を支払わない企業は、その利益を事業に投資したり、他社を買収するのに使います。

私は、利益を事業に投資したり、他社を買収するということにあまり賛成できません。

今日はその理由と、なぜ私が配当株投資をお勧めしているのか?をお話ししましょう。

長期的な収益とキャッシュフローに貢献するのであれば、経営陣が成長のために事業に投資したり、他社を買収したりすることに反対はしません。

しかし、これらの投資や買収は時に失敗を招きます。

もちろん、どんなに検討を重ねても、失敗する可能性はゼロにはなりません。

特に、企業が資金を「貯め込んでいる」時は、その可能性が上がるのです。

私は拙著「『年100回配当』投資術」の中で、コミュニティ・バンク・システム (NYSE: CBU) の当時の最高財務責任者スコット・キングズレー氏と交わした議論を紹介しました。

彼は、企業が得た利益の一部を配当という形で株主に還元した方がいい理由を次のように説明してくれました。

「配当を支払わずに、社内に資金を『貯めて』おいて、それを買収や他の方法で再投資するという考えは、決して好ましい習慣につながらないと考えている。」

「なぜなら、通常、買収を行おうとする場合には資本市場で資金を調達する必要がありその取引に本当に意味があるのかどうかを綿密に検討せざるを得ない。

だが、配当を支払わずに貯め込んだ資金があったら、そのような検討がお粗末になって、買収が失敗する可能性が高くなるからだ。」

実際、過去には「ひどい買収」としか言えないようなものがありました

例えば、1994年、クエーカーオーツ社(現在はペプシ社の傘下)はスナップル社を17億ドルで買収しました。そのわずか3年後、その買収が適切でなかったと判断したのか、同社はスナップル社を3億ドルで売却し、投資額の82%を失ったのです。

同様に2007年、株主への利益還元に実績があるクロロックス (NYSE: CLX) は、バーツビーズ社を買収するために 9億2,500万ドルを支払いました。その4年後、同社は2億5,000万ドル(1株当たり2ドル)の減損損失を計上しました。

私が思うに、これらの企業の経営陣は「手元に資金があるから、とにかく何かに使おう」と思って買収を行った可能性が高いと思います。

例えばクロロックス社が企業買収の代わりに1株当たり2ドルの配当を支払っていたら、どうでしょうか?

最終的には同じ出費でも、市場からの期待感に大きな違いが生じることは言うまでもありません。

このように、企業は大きな買収を行うために、配当として株主に還元できるはずの資金を簡単に使ってしまうということがお分かりいただけるかと思います。

そういった点で、配当を支払う企業の方がいいと思っています。

 

また、私が配当投資にこだわっている理由は他にもあります。

実際に長年にわたって効果を発揮してきたからです。

例えば、歴史的にS&P500のトータルリターンの約40%は配当再投資によるものです。

また、配当は資産を守る緩衝材になります。例え、市場が15%下がっても、配当で5%稼いでいれば、その時点で実質10%の損失で済むことになります。

そして、配当投資の素晴らしい点は、収入を得られるだけでなく、その収入が毎年増えていくこと。

現在のようにインフレで物価が上がれば同じ金額で買えるものが減ってしまいます。ですが、配当収入の増加がインフレ率を上回っていれば、物価の上昇を気にせずに買い物ができるでしょう。

退職後に使える大きな資産があったとしても、インフレにより資産や貯金の価値は下がります。

ですから、資産を守りながら、できれば毎年増やしていく必要があります。そして、それが投資の目的です。

さらに配当収入が毎年増えれば、元々あった資産から引き出す分を少なくし、配当で増えた分を使って、生活することすらできるでしょう。

あなたもぜひ配当投資を始めてみてください。

 

~編集部コメント~

もちろん、配当を支払う企業ならどこにでもいいというわけではありません。

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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