米国配当株投資

8.6% 高利回り銘柄に 潜む落とし穴

配当企業は世界にたくさんありますが、

その中でも海運会社は

✔︎ 高い利回り

✔ ︎不安定な配当金を出す

という2つの点で知られています。

例えば、DHT ホールディングス(NYSE: DHT)。

この企業 は、バミューダ諸島を拠点とし、石油を運ぶ会社として有名です。

建造中の 4 隻を除いて、 24 隻の船隊を保有しています。

2023年8月から2024年現在までの過去 4 四半期、

DHT は 1 株あたり合計 1.05 ドル(日本円にしておよそ157円)の配当金を支払いました。
※1ドル=150円で換算

四半期ごとの配当金は 0.19 ドルから 0.35 ドルの範囲です。現在の株価は約 12 ドルで、配当利回りは 9% を超えています。

この企業の方針は、純利益の100%を株主に配当することです。
そのため、配当金は四半期ごとに変動します。

企業が手元に残った最終的な利益の 100% を

配当に当てるのは投資家にとっては良いことのように思えるでしょう。

ただ、企業が利益を出しているからといって油断をしてはいけません。

なぜなら、企業が出す配当金の原資は利益ではなく、フリーキャッシュフローだからです。

これは企業が自由に使える現金のことをいいます。

そして、フリーキャッシュフローは利益が増えたからといって、必ずしも増えるわけではないのです。

例えば、ある企業が他の企業へ製品やサービスを販売すると、売上がたち、そこから利益が生まれます。

ただ、製品を販売した企業のもとへすぐに現金が入ってこない場合があるのです。

例えば、企業間の取引では、「製品を販売した1ヶ月後に代金を支払いを行う」といった取引をすることがあります。

この場合、利益は出ているけどまだ現金が入ってきていない、ということ。

つまり利益の発生と現金の発生にズレが生じているのです。

そのため、「この企業が配当金を出すことができるか?」を知るためには、

利益だけではなく、フリーキャッシュフローがしっかりあるかどうか?

も見る必要があります。

 

では、実際昨年のDHTのフリーキャッシュフローを見てみましょう。

DHTは1億2,300万ドルのフリーキャッシュフローを生み出しました。

しかし、そのフリーキャッシュフローを大きく超える配当金1億8,670万ドル株主を株主に支払っていました。

この追加の6,300万ドルは、同社の銀行預金、負債、または他のどこかから調達しなければならなかったはずです。

今年のフリーキャッシュフローは上がると予想されているので、

それに伴い配当性向は昨年よりも下がるでしょう。

※配当性向=純利益の中から配当金をどのくらい支払っているかを%で表したもの

それでも、この企業の配当性向は私には高すぎると思います。

配当性向は 75% 以下が望ましいです。

そうすれば、仮に会社のキャッシュ フローが落ち込んでも配当金を支払うことができるからです。

DHT ホールディングスの配当金とフリー キャッシュ フローは増加すると予想されています。

しかし、フリー キャッシュフローが必ずしも配当金をカバーできるわけではありません。

また、1 株あたりの配当金もばらつきがあるため、

DHT の配当金がいつまでもこの水準に留まることができるとは考えられません。

もしあなたが投資する配当企業を探すときには、利益や利回りだけでなく、

フリーキャッシュフローや配当性向にも着目するといいでしょう。

 

~編集部コメント~

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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