米国配当株投資

投資のプロの 「バイアス」対策とは?

2週間前の週末、私が妻と共に友人夫妻と食事をした時のこと。

ベンチャー企業に勤める友人は「大手企業へ転職したい」と話しました。

そして、彼の妻も「今の経済状況を考えると安定した仕事がいい」とそれに同調しています。

「今の経済状況?」

私はそこに引っかかってしまいました。

確かに安定した収入は必要です。

しかし、現在の経済状況は悪いのでしょうか?

最近、飛行機に乗った時、隣が空席だったことはありません。

ホテルは割引をしているわけでもないのに混んでいます。

さらに、ほとんどの都市の人気レストランは、近年の物価高に関わらず盛況です。

実際、2月のレストラン売上は前年比6.3%増でした。

他にも、友人と会った週末

私はイベントのためにフロリダ州ハリウッドのハードロック・ホテル&カジノに行きました。

ここはいつも混雑しているのですが、今回は過去一の混み具合でした。

どのバーも、レストランも、クラブもそのほとんどが超高級店であるにも関わらず、

大混雑でどこもかしこも行列ができているほど。

カジノのどこを探しても、空いているマシンやテーブルの席はほとんどありませんでした。

雇用はどうでしょうか?

現在、失業率が史上最低に近い水準で推移していることを考えれば、

雇用は堅調と言えるでしょう。

また、S&P500種株価指数のリターンは2023年には2%増加しましたが、

今年は10%、2025年には13%急増すると予測されています。

多くの人々にとって、食費、光熱費、特に住宅費の上昇は本当に苦しいものです。

しかし、多くの人々は物価が上がっても消費を続けており、それが企業の成長と雇用の堅調さを支えているのです。

一方で米国で暮らす人々の中には、友人夫妻のように経済の好調さを実感できていない人もいます。

その理由について、私はアンカリング・バイアス、つまり過去の情報に対する心理的バイアスが関係していると考えています。

例えば、ある政治家の発言を聞いて、その政治家を嫌いになったとします。

すると今後、その政治家がどんな良い政策を取ったとしても、その政治家に悪いイメージを持ち続けるといったものです。

アンカリングは錨を打ち込むという意味でこの最初の情報に囚われてしまう様子を、錨をおろした船に例えています。

そして、これは金融市場ではよく起こります。

例えば、ある株を50ドルで買ったとして、その会社の事業が悪化したために株価が25ドルまで下落したとします。

その時、その投資家はその株には25ドル程度の価値しかないという明確な根拠があったとしても、50ドルの価値があると信じ続けてしまうのです。

そして今、インフレや金利といった経済に関することにもアンカリング・バイアスがかかっています。

10年以上もの間、金利は低く、インフレはほとんど起こりませんでした。

そのため、私たちは3%の住宅ローンとあまり動かない物価に慣れきっていました。

しかし突然インフレ率が2桁近くまで急上昇し、私たちの生活のあらゆるものがより高価になり、家計を圧迫しました。

その後、インフレ率は3.2%まで低下し、長期平均の3.3%をわずかに下回っています。

その中でも、国民の多くはアンカリング・バイアスのせいで、物価を制御しきれていないかのように感じています。

つまり私たちは、お気に入りのレストランのハンバーガーは今の16ドルではなく、まだ12ドルであるべきだと思い込んでしまっているのです。

また、インフレ率の低下は物価が下がることを意味しないことも思い出すべきでしょう。

それはただ物価上昇が緩やかになっているだけです。

とはいえ、行動経済学やテクニカル分析の講義でアンカリング・バイアスについて学んできた私でも、未だにこのバイアスに陥ることがあります。

だからこそ、このバイアスに気づき、克服するための方法をいくつか身につけてきました。

それを今日いくつかご紹介しましょう。

 

1. バイアスを認める

問題を解決する最善の方法は、問題があることを認めることです。

自分にバイアスがかかっている可能性を認めると、物事をより明確に見ることができるようになります。

 

2. 不快感を受け入れる

自分の考えに反する情報が提示されると、誰でもいい気分にはなりません。

政治家の例に戻りましょう。

あなたが、特定の政策について自分なりの考えを持っていたとします。

そして、ある政治家がその政策について、自分の考えとは真逆の発信をしていたらどう感じるでしょうか?

まず最初にその情報は嘘ではないかと疑ってしまうはずです。

結局のところ、誰もが自分の間違いを認めたくないのです。

しかし、私たちはより多くの情報を取り込み、それについて批判的に考えることで賢くなるのです。

私が自分の深く凝り固まった意見を完全に変えなければならなくなったとき

脳内で新しいシナプスが形成されることを感じたものです。

だから私は、自分とは異なる視点を積極的に求めています。

もしそれを受け入れることがなかったとしても、反対意見自体を理解するのに役立ちます。

そして時には自分の考えを変え、成長させてくれる何かになってくれるかもしれません。

これは投資に関しても非常に有効な作業です。

買うか、ホールドするか、売るかを決めるのに役立つ新しい情報を常に積極的に取り入れるべきなのです。

このたった1つの方法によって、私の人生は劇的に向上しました。

「自分が同意できないことを無視しない」

という考え方によって、私の人間関係を改善され、

問題解決能力を研ぎ澄まされ、より優れたアナリストになれたと思っています。

 

3. アンカリングの活用

これは「克服法」とは少し異なりますが、

交渉の一般的なノウハウの中に、最初に「本命の条件」を提示してはいけないというものがあります。

例えば、家を買うときは、表示価格から値下げ交渉をします。

その家が50万ドルで提示されていたとしましょう。

もし45万ドルの価値しかないと思っていたとしても、

「表示価格より10%安い価格は流石に通らないだろう」と思うかもしれません。

そこで、多少控えめな46万ドルで交渉してしまうのです。

このような時、売り手はそもそも450,000ドルの価値しかないことをわかっていながら、

アンカリングを狙ってわざと高い価格を提示しているのです。

つまり、最初の価格が仮に高値であったとしても、それはあなたが提示する金額を決めるためのアンカーとなります。

==

これらのバイアスの克服法は、あなたをより良い投資家にし、経済についてより現実的な視点を与えてくれることは間違いありません。

アンカリング・バイアスを意識し、それが自分の感情や意思決定にどのような影響を与えるかを知りましょう。過去にとらわれず、目の前で起きていることを考えましょう。

いつまでも過去の状況に囚われていては、

良い投資機会を逃すことに繋がりかねません。

 

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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