数年前、私の娘が参加している
地元のサッカーチームの試合を観戦していた時のこと。
これは娘が13歳以下のサッカーチームに参加して、
3年目くらいだったと思います。
ほとんどの親たちは娘たちが試合で勝つことや活躍することを願っていますが、
だからと言って、審判が間違った判定をしたとしても声を荒げることはしません。
本当に素晴らしい人たちです。
なので彼らとは親しくさせてもらっています。
そしてその中でも、特に「投資」について見識のある人がいました。
彼は私より少し若く、大学を卒業していて小さな会社を経営しています。
彼の話を聞いていると、とても勤勉で、家族と優雅な暮らしをしているようでした。
そして、話題が自然と株式市場のことになった時、
彼はこう言ったのです。
「株価がこのまま下がり続けてもらいたいね。毎月投資しているけど、もし株価が下がれば、もっと株が買えるし、もっと配当金をもらえて再投資できるからね。」
私は感激して泣きそうになりました。
これまで私がプライベートで会った人の多くは
「投資に対する向き合い方」を理解していませんでしたが、
彼は理解していたのです。
投資に対する最良の向き合い方とは？
私は株式市場のアナリストであり、
配当投資の専門家です。
ですので、ほとんどの人は私の職業を知ると、
「自分たちが保有している株をどう思うか？」
「自分の持っている株を売るべきか？買い足すべきか？」
といったことを聞いてきます。
しかし、彼はそのようなことは聞いてきませんでした。
そもそも、彼は私の著書である『「年100回配当」投資術』 を読んでいなかったようですし、
私が配当投資の専門家であることを知っていたかどうかはわかりません。
ただ、私が多くの人へアドバイスする内容を、
彼はすでに実践していました。
それは、長期的に投資をし、配当金を手に入れるために毎月株を買い、
その配当金を再投資して、資産を増やすこと。
市場が好調であろうが、低迷していようが関係なく、
定期的に決まったやり方で投資をしているのです。
そして株価が下落すれば、その分買える銘柄数が増えます。
そうすれば配当金も多くもらえるようになるので、
彼は株価の下落を期待していたのです。
投資には1つの決まった正解があるわけではありません。
資産を安全に増やすことを目指すためにも
いくつかのアプローチがあるでしょう。
ただ、彼のように市場の状況に関わらず、
いくつか好みの銘柄を見つけ購入し、
定期的に買い足すのが間違いなく正解の1つだと思います。
しかし、もしかしたらあなたは
「高値で購入してしまうのは怖い…」
と思われるかもしれません。
しかし下のチャートを見てください。
(出所：Trading Viewのチャートを元にOxford クラブ作成）
これはS＆P500種株価指数の直近20年間を表していますが、
リーマンショックやコロナショック前のピーク時に株を買ったとしても、
今ではそれを上回っています。
そしてこれはこれからも続くと私は考えています。
また、
「決めたとおりに自動的に投資するのは怖い…」
と思われるかもしれません。
しかし、毎回の購入額を同じにすることには大きな利点があります。
それは価格の変動による影響の軽減を狙えることです。
例えば、毎月10万円分、ある銘柄を買うと決めた場合。
その銘柄が1株5,000円でしたら、20株買うことになります。
では、この銘柄が2倍の1万円にまで上昇した場合を考えてみましょう。
もしこれが一時的な上昇なら、5,000円の時のように
20株買うのは勿体無い気がしますよね。
しかし、10万円の範囲内で買うと決めていれば、買うのは10株に抑えられます。
逆に元の半分の2,500円に下落した場合。
これが一時的な下落なら、5,000円の時と同じ20株だけを買うのは、
買い増しのチャンスを逃しているように思えます。
しかし、投資額を10万円と決めていれば、40株買うことになり、
株価が安いうちに持ち株数を増やすことができます。
このように購入額を一定に保っていると、
- 株価が高くなった時は買う銘柄数が減る
- 株価が低くなった時は買う銘柄数が増える
と自動的に投資のペースを調整できるのです。
それによって、毎月コツコツと一定額を貯金するように、
投資を進めていくことができます。
もちろん私はあなたに
「投資している銘柄のことを何も考える必要はない」
と言っているわけではありません。
当然、投資をしている企業の財務状況などの
変化に注意を払ったほうが良いでしょう。
しかし、一般的に言えば、
その企業の先行きが著しく悪いわけではなければ、
そのまま株を手放すことなく放置して安値の時に買い増しをすること。
これが、長い年月をかけて資産を構築する最善の方法と言えます。
私がサッカーの試合で出会った彼は、
これまでに出会った中で、最も賢明な投資家の1人です。
彼とは違い、多くの個人投資家たちは、
市場の様子を見て投資のタイミングを見計ろうとしたり、
市場が不況に陥った時に恐怖に苛まされたりしながら、
投資をしています。
これでは、市場が気になりすぎて、穏やかな生活を送るのは難しいでしょうし、
何よりも投資の失敗に繋がりかねません。
しかし、彼が実践している、
「長期的に投資をし、配当金を手に入れるために毎月株を買い、
その配当金を再投資して、資産を増やす」。
この方法なら、
そのような心配をすることなく、資産を増やすことを期待できるでしょう。
これが自身を裕福にし、家族と将来にわたって
穏やかに暮らしていくことに繋がるのです。
ぜひ、あなたも彼の投資方法を参考にしてみてください。
P.S.
～編集部～
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