米国配当株投資

詐欺を“見抜けない”脳の仕組み

2019年。

家族の中で病人が出ました。

彼女は身体的な体調不良だけではなく、精神状態も明らかに悪化。

私は彼女の家に出入りしている介護士を見て「詐欺に遭いやすくなるのではないか?」と、つい心配になりました。

というのも、今では健康な高齢者でさえも、どんどんと巧妙になる詐欺の犠牲者になっているからです。

 

なぜ、若者よりも知識と経験豊富な高齢者が詐欺の対象になるのか?

これには生理学的な理由があることが明らかになっています。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究によると、高齢者は「直感」を司る脳の動きが低下しているというのです。

「この人、なんだか信頼できなさそう」
「何か隠し事や嘘を吐いているような気がする」

このような危険信号を出してくれるのが、直感の役割。

しかし歳を取るにつれて、一種の危険察知能力であるこの直感が衰えていき、ポジティブな思考や記憶が強化されるようになります。その結果、誰かを助けたり、身近な事柄を信じたりするようになるのです。

実際に、米国では高齢者をターゲットにした詐欺が絶えません。

そして多くの場合、被害者は起こっていることを黙っておくように言いくるめられます。その結果、パートナー、子供、友人などに相談ができず独りで抱え込むようになるのです。
 

高齢者の場合、「賢い=詐欺にかからない」という等式は成り立ちません。

認知症やアルツハイマーのきらいが強くなれば、本来賢い人であっても詐欺を見抜くのは困難になるでしょう。

また、米国内科学会発行の医学雑誌『アナルズ・オブ・インターナル・メディシン』は、「高齢者の詐欺認知の感度は、将来のアルツハイマー型認知症や軽度認知障害を引き起こすリスクと関連性がある」と報告しています。

ですから、賢いかどうかが問題ではありません。人は加齢による脳の変化で他人をより信頼するようになっていくのです。

これを覚えておくことで、甘言に警戒心や疑問を持つことができるようになるかもしれません。

あなた自身や愛する家族が詐欺の被害者になるのを防ぐためにできることは何か、考えてみてください。

良い投資を。

マーク

P.S.
今回は資産を守るために留意していただきたいポイントをお伝えしました。しかし、私たちは資産を増やしつつ、守る必要があります。

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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