私には、こんなお金持ちの友人がいます。
彼は相場が揺らぐ度に、持っている株を売却したほうがいいのか私に尋ねてくるのです。
私は「それは、あなたがどれぐらいのリスクを許容できるか次第だ」と説明します。
そして、彼がこのまま市場に残り続けることに抵抗がないかどうかを判断するために、一連の質問をします。
少し前の株式市場は常に最高値を更新していました。投資家の強気ムードは、不況や本格的な弱気相場へ対応する準備ができていないのではないかと思わせるものでした。下落に転じる市場をどう乗り切るかを忘れてしまったのではないかと心配になるほどです。
この3つの質問は、新しい弱気相場にどう対応すべきか、そして現在目の当たりにしているような不況に冷静でいるためのヒントになるでしょう。
1.投資しているお金は、いつ必要になりますか?
もし、あなたが投資している資金を今後10年間は使う予定がないのであれば、弱気相場やさらに悪い状況になったとしても、それほど気にする必要はないでしょう。決して楽しくはないでしょうが、株式市場は10年経つとほとんどの場合上昇しています。
事実、10年経過する中で損をしてしまうケースは、大恐慌や大不況の真っ只中に売却してしまった場合のみでしょう。
たとえ、2008年の金融危機前の2007年の最も市場が高かった時に購入していたとしても、10年持ち続けていれば利益を得ることができているでしょう。
しかし、次の3年以内に投資しているお金を使う必要があるなら、今すぐすべて取り出しておくのがいいかもしれません。
なぜなら、短期的なリスクにさらされると対応できないからです。
今後3年間の市場で何が起こるか分かりません。また、市場が下落しているときに、学費の請求などの重要な期限が迫っていることを知ると、パニックになってしまいます。そのような時ほど冷静さを失い、底値で売ってしまうことになりかねません。
ですから、3年以内に資金が必要であるならば、あなたが保持しているすべての株式を売却するといいでしょう。
2.トレーリングストップは設定していますか?
トレーリングストップは、仮に市場でうまくいかなった時でも、あなたの利益や資金を守ってくれます。
トレーリングストップの優れた点は、売却の判断から感情を取り払ってくれることです。
市場が暴落したときに、自分の決めたルールを無視することはとても簡単です。
「株価は、ちょうど50ドルだった。今、47ドルになってしまった。50ドルに戻ったら、売ろう」とルールを決めて自分に言い聞かせます。
しかし、47ドルは、45ドルになり、さらには、40ドルになっていくのです。
株式投資において感情的になることは危険です。そして、大きな損失をしてしまいます。
そこで私は、購入価格の25%下にトレーリングストップを設定することを推奨します。例えば、ある株式を100ドルで購入した場合は、ストップ価格は75ドルになります。仮に、その株式が110ドルに値上がりした場合には、ストップ価格は82.5ドルに設定し直します。
ストップは、強気相場では利益を守り、調整局面や弱気相場では損失を小さく抑えることができます。重要なのは、株価がストップ高に近づき始めても、ストップを外さずに守ることです。
トレーリングストップを活用することで、事態が悪化し始めたときに市場から抜け出し、準備ができたときに市場に戻るための資金を十分に確保することができます。
3.不況がきた時、精神的に耐えられますか?
この質問には正直に答えてください。「市場の急落は怖い…」という回答は決して間違っていませんよ。
もし、最初の2つの質問に対するアドバイスで不安を解消できないようであれば、今すぐ利益を得て、債券や譲渡性預金など、もっと安全なものに投資してください。
長期的に見ると、株式市場とほぼ同じリターンは得られませんが、あなたのストレスは軽減されます。
しかし、それが重要なのです。
お金に関するストレスは、結婚生活を破綻させ、健康問題を引き起こし、惨めな生活を送ることになります。誰しもが経験することです。
もし、あなたが最初の2つのアドバイスをわかっていても、冷静さを保てないのであれば、その市場やストレスに自分自身をさらさないようにしましょう。
この弱気相場へ備えて計画を立てることで、きっと乗り越えることが楽になるでしょう。
良い投資を。
マーク
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