米国配当株投資

最もシンプルな投資法?

(※本メールマガジンは、米国における現状についてのマーク氏の見解であり、日本の保険に関する商品と異なる場合がございます。)

これまでのOxford インカム・レターで、仕組債について取り上げたことがあります。

仕組債とは、一般的な債券にはみられないような「仕組み」であるスワップやデリバティブの利用を通して、商品によっては損失を抑えながら収益を得ることができる金融商品です。

謎に包まれた複雑な商品で、その利便性とリスクの最小化のためには、当然のことながらコストがかかります。

仕組債の場合、手数料は通常かかりません。ですが、仕組債を支えている金融機関は慈善事業をしているわけではないので、あなたのお金を使って稼ぎ、あなたへの返済額を少しずつ減らしているのです。

これと同じことが、年金保険や終身保険などの他の商品にもあてはまります。

これらの商品の中には複雑になるよう意図的に設計されていることがあります。

そうするとどうなるでしょうか?

あなたの理解が追いつかなくなって質問が少なくなっていきます。つまり、お金を払って「専門家」に任せてしまう可能性が高くなるのです。

私はそういったやり方が嫌いです。

私は、情報が多ければ多いほど、金融機関の幹部ではなく、あなたの資産を守るためのより良い選択ができるはずだと信じています。

年金保険と終身保険は似ています。

特に年金保険は複雑な金融商品で、年金保険の営業マンの100人中99人は、実際どのような仕組みなのかを説明できないと言われています。

また、昨今の低金利下では、投資家、特に収入を求めるリタイア世代は、数%の利回りのためならどんなことでも我慢してしまいます。

私は年金保険が嫌いで、ファイナンシャル・リテラシー協会が選ぶ2019年の「投資および退職計画ブック・オブ・ザ・イヤー 」に選ばれた拙著『You Don’t Have to Drive an Uber in Retirement 』では、「The Worst Investment You Can Make(訳:最悪の投資とは)」という章を執筆し、年金保険について触れています。

終身保険の契約も必要以上に複雑です。

もし生命保険が必要なら、定期生命保険が最も安くてシンプルな方法です。

老後のために貯蓄や投資をする必要があるなら、そのために貯蓄や投資をすればいいだけであって、それを保険と結びつける必要はないでしょう。

あなたはその利便性のためにお金を払っているのです。

終身保険に加入すると…

保険料の一部:保険料や投資
保険料の大部分:営業マンが受け取る高額な手数料

このように使われるのです。

保険代理店は通常、初年度の保険料の最大100%を手数料として受け取ります。そして保険契約期間中は、保険料の15%から25%を受け取ります。

これらのお金は、あなたのために働いてくれません。

考えてみてください。

提案された終身保険の保険料の20%を長期的に市場で運用したら、どれだけお金が増えるでしょうか?

さらに、保険料の支払いが滞ってしまうと、さまざまな影響が出てきます。保険を失う可能性もありますし、契約が失効になったり、グレードを変更するために手数料を請求されたりする可能性もあります。また、早くお金を引き出したいと思っても、さらに手数料を請求されることがあります。

逆に、安価な定期保険と定期的な買い付けを行う口座を持っていれば、終身保険の10分の1もしくはそれ以下の保険料を払い続ける限り保険を維持することができることもあります。

例えば、50歳で50万ドルの終身保険に加入したとします。年間最低9,432ドルの保険料を支払うのに対し、20年の定期保険ではわずか842ドルです。

保険料に対する20%の手数料に話を戻すと、もしあなたが年間9,432ドルを支払っていて、保険の営業マンが20%の収入を得ているとすれば、あなたは彼らに年間およそ1,886ドル、20年間で3万7,228ドルを支払っていることになります。

もし、そのお金を市場で運用して年率8%の複利で稼ぐとすれば、20年後には10万2,083ドルのプラスになります。

これらの数字は最も安い保険の場合で、時にはもっと高い金額になる可能性もあるのです。

もちろん、終身保険は保険料を払っている限り、一生涯にわたって死亡保険金が支払われます。

しかし生命保険とは、相続人に利益をもたらすためのものではなく、失われた収入を補うために使われるべきもので、ほとんどの人は70代、80代、90代になれば充実した内容の生命保険は必要ないでしょう。

このような豪華な金融商品が世の中に溢れている中で、効果的な投資方法というのは、実は最もシンプルで安価なものであり、そしてより多くの利益が期待できるのです。

それは、優良企業に長期的に投資し、配当を再投資するという方法です。

現在、手数料の安い、または手数料ゼロの証券会社がありますので、長期的な投資を行うための費用はほとんどかかりません。

正しい方法で投資することは難しいことではありません。

ご自身の投資の知識を増やし、投資資金を有効に活用するアイデアは毎月Oxford インカム・レターでお届けしています。

良い投資を!

マーク

Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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