米国配当株投資

「売る」タイミング

昨年、私は「災害からいかに生き残るか」について書かれた本を読みました。

冷静さを保つというのは、口で言うことは簡単ですが、実際はなかなかできません。

その著者が生き残るために最も重要な事項の一つとして挙げたのは、飛行機やホテルなどにおいて「出口を知っておく」という単純な行為でした。

客室乗務員がシートベルトの閉め方や酸素マスクの着用方法を説明している間、読書をしたり、タブレットでネットフリックスを見ていたりすることに罪悪感を感じますが、私はその時、周りを見回して出口の場所はどこかということを必ず把握しておきます。そしてホテルの部屋に入った時も同じことをします。

私が必ずこれをするようになったのは、実際に友人が出口を確認しておいたことでホテルの火災から生き延びたからです。

このようなことは、株式投資においても同じことが言えます。

私は悪い事態になった時や感情が高ぶった時に、売るタイミングを考えるようなことはしません。

買い注文を終えた瞬間に、売るタイミングを把握しているのです。

私は特に短期取引においてはテクニカル分析を利用します。

その時、支持線(サポートライン)と抵抗線(レジスタンスライン)(株価がそれ以上に上昇することが見込めなくなってくる水準)に注目します。

 

例として、ベストバイ (NYSE: BBY) のグラフを見てみましょう。

バストバイの株価がサポートラインの上で推移
出所:ストックチャーツ

6月以降、株価が毎回106ドル近くまで下落してもすぐに跳ね返っていることが分かります。これをサポートラインといいます。

もし株価が106ドルを割り込むような時は、大きな変化が起きる可能性があるので、株価はさらに下落していくと予測します。

なので、もし私が短期取引でこの株を保有していたら、サポートラインを3%割り込んだ103ドル辺りまで下落した時に売ろうと考えるでしょう。

さらに別の戦略としてトレーリングストップを利用します。

これは、ストップ注文といい、株価がある水準まで下がった時に、株を自動的に売るように設定することです。株を買ったらすぐにストップ注文を設定すべきでしょう。

編集部注Oxford クラブでは原則として、ストップ価格の抵触は日次の株価の引け値で判断しており、引け値がストップ価格を下回った場合のみ、ニュースレターやアラートで当該銘柄の売却のご案内をしております。ご利用の証券会社にもよりますが、ストップ価格設定については、日次の引け値ではなく、ザラバ(日中)でのみ可能な場合が多いようです。Oxford クラブからの情報を判断材料の1つとし、最終的には投資家の皆さまに売買の判断をして頂くことを基本としております。)

こうすることによって、あなたは感情的になっていない時に売り注文をすることができるのです。株価がストップ価格に抵触した時、あなたはシンプルにその株を売却することができるので、なぜ自分がこの株を保有し続けるのかという理由を考える必要もなくなるのです。

Oxfordクラブでは、多くの株取引でトレーリングストップを利用しています。そして、戦略によっては、利益を守るために株価が上昇する度にストップ価格を引き上げることもあります。

感情は、トレーダーや投資家にとって最大の敵であり、ストップ注文を設定することで、売る決断をする時に感情を排除することができます。

あなたが純粋にその企業の事業内容が気に入っているなどで株に投資しているのでしたら、事業の変動があった時に、なぜ株を売るべきかという基準を持っておくべきです。

例えば、あなたがある銘柄を増配を見込んで買っていたとしましょう。その増配率は毎年10%増加しているキャッシュフローで支えられているかもしれません。

そんな時、どんな基準を持てばいいでしょうか?

・キャッシュフローの成長率が2年連続で横ばいになった
・もしくは2年連続で減少した

そんな時にこの銘柄を売るという基準もいいかもしれません。

その時には、あなたは企業の決算報告に注目し続けるべきですし、もしキャッシュフローが減少した場合、あなたは株を売り、より良いチャンスに目を向けるべきでしょう。

大切なことは、あなたが株を買った時に売る条件を決めておくことです。そうすることで、あなたは株が暴落しても恐怖心にとらわれることはないのです。

株価が下落していても、何かと理由をつけて保有し続けることは簡単なことです。

しかし、あなたが数週間、数ヶ月もしくは数年前から売るタイミングについて、感情的になっていない合理的な時に判断していれば、市場が崩壊したとしても生き残れる可能性は高くなるでしょう。

良い投資を!

マーク

Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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