「 Get Rich with Dividends 」(邦題 :「年100回配当」投資術)をおよそ10年前に出版したとき、そして、Oxford インカム・レターを8年前に開始したときも、そして今でも、私は配当成長に焦点を当ててきました。
なぜ配当成長に焦点を当ててきたのか?
その理由はとてもシンプルで、米国で年々上がっていく物価に対応するために、読者の購買力を高める手助けをしたいというものでした。
この「配当成長に焦点を当てて投資する」という戦略は、わずか数週間で1,000%のリターンを得るといったようなことを目的にしたものではありません。しかし、過去数年間で何百%も上昇した銘柄も決して少なくはないのです。
これらの銘柄が大きなリターンをもたらしてくれるのは、株価の上昇につながるようなキャッシュフローを増やしている、非常に健全な企業だからです。
とは言え、私の目的は投資家が毎年、前の年よりもさらに多くの利益を得られるようにすることです。
それは歳をとるにつれて、そして年々、生活にかかるお金は高くなっていきます。医療費やその他の費用など、あらゆる種類の費用が上がっていくからです。
だから私たちは、少なくともその高くなる支出に収入が追いつくようにしなければいけません。
本を出版して9年、Oxford インカム・レターを始めてから7年となりましたが、人々は、インフレにそれほど悩まされることなく、米国のインフレ率は2%以下で、低水準が続いてきました。
もしかしたら、ものによっては物価が高くなっていると気付いていた人もいるかもしれませんが、声を上げて訴えるような人は誰もいませんでした。
とはいえ、少しでもインフレが起きているということは、昨日支払った金額よりも今日支払っている金額が多いということです。つまり、昨日よりも今日のほうが多くの現金が必要になるわけです。
そして今、インフレが人々の関心事になってきています。この1年間で、インフレ率は5.4%上昇し、ここ数十年間で最も高い水準を記録しているのです。
7月だけで、ステーキ、リブや豚ロースの価格が過去数ヶ月よりも4.4%値上がりしています。
ガソリンは去年の今頃に比べ41%、女性用衣類は過去1年間で19%も上昇しました。
例えば、私が過去に推奨したある銘柄を保有していた場合、過去10年間で、配当金が年平均46%増えていくことを体験できたでしょう。
想像してみてください。
あなたのお給料が10年間、毎年46%ずつ増えていったとしたら…
30万円なら次の年には43万円、その次の年には62万円になっているのです。
すごいことですよね。
他にも、ケネディ大統領の頃から58年間も増配し続けているイリノイ・ツール・ワークス(NYSE: ITW)を例に挙げると、過去10年間で、株主への配当金の支払いは年平均13%近く引き上げられています。
インフレ率が低かった時代に、毎年13%や46%の昇給があったとしたら…
購買力は間違いなく大幅にアップしているでしょう。
今日多くの商品において、価格が高騰しています。これまで以上にインフレに対応するため、自身の購買力は自身で守らなければいけません。
低インフレの時代であろうと、1980年以降の急速に物価が上昇したバブル期であろうと、配当成長株は、あなたの購買力を守って、そして成長させてくれます。
これと同じような投資先はほとんどありません。
良い投資を。
マーク
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