米国配当株投資

投資信託の実態

私が投資をし始めたのは、投資信託からでした。

なぜ、投資信託から始めたのか?

それは、「投資信託の運用を行うファンドマネージャーは、株式市場のことを自分より知っている」

そう思っていたからです。

1990年代は投資信託の黄金時代で、ピーター・リンチのような伝説と言われるファンドマネージャーはロックスターのように扱われ、投資信託は『Money』や『Kiplinger』などの投資雑誌にも大きく取り上げられました。

しかし、現在では以前は知られていなかった秘密が暴かれて、投資信託は毎年市場平均を下回っています。

実はこんな衝撃的なデータがあります。

それは、アリアドネ・ウェルス・マネジメントが行った調査で、フィデリティ社の136種類の大型株の投資信託の中で、S&P500種株価指数の数字を上回ったものはなかったというものです。

あなたは、もしかしたら偶然1、2銘柄がS&P500種株価指数を上回るのではないかと思うかもしれませんが、全くないのです。ゼロです。

フィデリティ社のファンドマネージャーは、ウォートン大学やシカゴ大学など名門校のMBAを持っていて非常に有能な人たちです。

しかし、そのような人たちが運用しているにも関わらず、この調査はS&P500種株価指数などの指数を上回る成果を目指す「アクティブ運用」投資信託モデルが機能しないということを証明してしまったのです。

たしかに、ピーター・リンチのように優れたパフォーマンスをもたらすファンドマネージャーも中にはいるでしょう。しかし、そんな人を実際に見つけるのは難しいですし、継続的に利益を出し続ける人を見つけるのはほぼ不可能です。

これはフィデリティ社に限った話ではありません。

S&Pグローバル・レーティングはアクティブ運用されている88%もの投資信託は、S&P500種株価指数などのベンチマークの数字を下回っていると発表しています。

さらに、決算ごとに見直されて変動する投資信託の経費率(エクスペンスレシオ)は、S&P500種株価指数などの指数に連動する「パッシブ運用」の経費率より、0.6%も高くなっています。

そして、市場のパフォーマンスを下回る可能性が高い理由にはこんなものがあります。

・経費率が高い


先ほど言ったように、経費率は0.6%も高くなってしまうため、市場のパフォーマンスについていくためには、大きな利益を出さなくてはいけません。

しかし、それは簡単なことではありません。なぜなら…

・柔軟ではない


投資信託は忠実に運用しなければいけません。例えば、大型株のファンドであれば、小型株には投資できませんし、バリュー株(割安株)のファンドであれば、グロース株(成長株)を購入できません。

個人投資家の場合は、様々な時価総額や業種、戦略で多様なポートフォリオに分散することが可能です。

・大化けする株を買えない


個人投資家が投資信託よりも有利なのは大化けする可能性がある小型株を選べることです。

数百万ドル規模の投資信託は、高値が付かないと小型株に投資できませんし、大きく上昇しなければリターンにも影響するので小型株は無視します。

個人投資家であれば、そんなことを気にせずに小型株を購入できます。

さて、いかがだったでしょうか?

一方で、S&P500種株価指数などの指数に連動するインデックス(パッシブ)ファンドに投資することは、費用を抑えるだけでなく、過去のデータを見ても利益を狙っていける可能性があります。気になる方はチェックしてみてください。

良い投資を!

マーク

Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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