米国配当株投資

テクニカル分析を学んだ方法

トレーダーたちが「注文をしろ」と叫んでいる中、文字や数字が私の前を飛び交っていました。

彼らは、画面に表示される一見ランダムな値動きをどのように理解していたのでしょうか?

トレーディングデスクの新米アシスタントだった私の仕事は、

  • トレーダーに代わって取引を実行したり、
  • 市場を監視したり、
  • トレンドを見つけたらトレーダーに知らせる

ことでした。

最初の2つの仕事は問題ありません。

しかし、画面に表示されている価格の動きを、どのように解釈すれば株の売買の判断につながるのか、なかなか理解できませんでした。

1年間、勉強と努力を重ねた結果、ようやく理解できたと言いたいところですが、そんなことはありませんでした。

実際は1年経っても初日の朝と同じように手探り状態が続きました

そんなある日、あるトレーダーが新しいデータを持ってデスクに現れました。

彼がキーボードの「3」を押すと、その銘柄のチャートが表示されたのです。

彼は日足チャート、1時間足チャート、5分足チャートを素早く切り替えてみせました。

私は夢中になり、彼にこう質問しました。

「これは何を意味するのですか?どうやって売買のタイミングを見極めるのですか?」

すると彼はチャートを見たまま、

「テクニカル分析を学んで、出直して来い」

と言いました。

テクニカル分析?

一体何を言っているのか、さっぱり分かりません。

当時はGoogleもなかったので、私はその週末、図書館にこもり、テクニカル分析(株価チャートやその他の金融商品のチャートを研究すること)に関するあらゆる情報を調べ上げました。

その後、地元の大学でテクニカル分析の授業を受け、私はその手法に夢中になりました。

そこでは、画面に表示されているランダムな数字を使ってチャートを作成すると、パターンやトレンド、さらには目標株価まで表示されるのです。

そして、さらに…

重要なのは、これらのチャートが人間の感情(欲や恐怖)を視覚的に表現したものだということです。そして、それらの感情はパターンを繰り返し、ある程度予測可能であることを知りました。

私は自分のスキルを高めることに夢中になりました。幸運なことに、私は世界で最も伝説的なテクニカルアナリストたちと接することができました。それはまるで、野球が好きになり、ベーブ・ルースと毎週のように話しているようなものでした。

最初は、大金持ちになれる水晶玉を見つけたのかと思いました。しかし、これらの伝説的人物が私に教えてくれたこと、そして私が何時間もかけて勉強したことは、「チャートは絶対的なものではない」ということでした。

チャートが得意とするのは、パターンを明らかにし、トレーダーが最大の利益と最小のリスクを得るポイントを見つけることです。

例えば、アリババ(NYSE: BABA)のチャートを見てみましょう。

2020年2-12月のアリババの株価

2020年3月下旬から株価が上昇しているのがわかります。同年6月に良いエントリーポイント(注文するポイント)を探していたとしましょう。

株価の安値を結んだ直線であるトレンドライン(相場のトレンドを判断するためにチャート上に記す線:青のライン)を引いてみると、過去にはその部分がサポート*になって跳ね返っているので、トレンドラインまで下がってきたときに、「買う」のがベストであることがわかります。

(サポートとは、投資家やトレーダーが株を買って「サポート」する価格水準のことです)。

最終的には、6月下旬に240ドルでこの株を買って利益を得ることができましたが、もし株価がトレンドラインまで下がるのを待ってから購入していたら、もっと良い結果になっていたでしょう。

210ドル前後で購入し、2020年11月になってもトレンドラインをブレイクアウト*しなかったので、数ヶ月間、高値で推移したことになります。

(ブレイクアウトとは、株価チャートの高値や安値を突破して、値上がり・値下がりすること)

そして、より大きなリターンを得られた可能性があるということに加えて、さらに重要なのは、あなたのリスクを下げることができたということです。

その理由は以下の通りです。

株価がトレンドラインやその他のサポートをブレイクアウトするということは、その株を取り巻く心理が変化したことを意味します。

何らかの理由で、以前はトレンドラインまで下がってきたときに、買い手が飛び込んできました。それがトレンドラインをブレイクアウト(つまり、安値を突き抜ける)してしまうと、もう買い手がつかないというサインになります。

それが企業の売上高が下がったからなのか、CEOが逮捕されたからなのか、それとも新しい競争相手が現れたからなのかは、必ずしもわかりませんし、正直それはどうでもいいことです。

ただ、投資家の心理が変化していることはわかっているので、そこから抜け出すことを考えなければなりません。

例えば、昨年10月にアリババに興味を持っていたとしましょう。310ドルで買って、250ドルまで下落するのを見ているうちに、かなりの損失を出したかもしれません。

もし株価がトレンドラインまで下がるのを待っていたら、270ドルで買っていたことになります。

その後は、トレンドラインをブレイクアウトしたので、3月からの上昇トレンドが終わったことを示しました。

これが売るべきタイミングとなりましたが、もし270ドルで買っていれば、大きな損失ではなく小さな損失で済んだのです。

非常に単純な例ですが、テクニカル分析には様々な方法があります。

チャートとテクニカル分析を使えば、利益の可能性と規模が増し、損失の可能性と規模は減少します。

22年前、私は「テクニカル分析を学んで来い」と言われましたが、今でも毎日勉強しています。それはテクニカル分析なしでトレードを勧めることは考えられないからです。

良い投資を。

マーク

Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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