FRBのストレステスト後の増配に期待
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この記事のポイント
- 大手銀行が暗号資産に興味を示している
- FRBによる配当制限が解除されたら増配されるのか?
- 11年連続増配の可能性を検証
多くの人が暗号資産(仮想通貨)に興味を持っています。大手金融機関でさえ、それは例外ではありません。
シティグループ (NYSE: C) は、暗号資産関連サービスの提供を検討していることが報じられました。JPモルガン・チェース (NYSE: JPM)は、暗号資産市場へ投資できる商品の提供を検討しているとの報道もあります。
ただし現段階では、暗号資産はこれら巨大銀行に目立った変化をもたらしていません。彼らは投資銀行としての事業、資金運用、融資や、その他事業から何十億ドルという利益を得ています。
大きな利益の結果として、彼らは株主へ配当を支払います。もうすぐ、その配当が増やされるかもしれません。
連邦準備制度理事会(FRB)は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以来、銀行が支払う配当と自社株買いを制限しています。 しかし、FRBは2021年3月に、銀行がFRBのストレステスト(健全性審査)において自己資本が規制で定める最低基準を引き続き満たすことが証明できれば、(おそらく6月末以降に)この制限を解除する方針であることを明らかにしました。
これは、年配当利回りが2.2%(株価161ドル付近)となっているJPモルガン・チェースのような金融銘柄の株主にとっては、増配となる可能性があることを意味します。
ですが、増配の制限が解除されたからといって、銀行は増配するのでしょうか?FRBが増配の制限を解除したと仮定して、銀行に増配の余地があるかどうかを検討してみます。
銀行の財務状況を分析する際、主要な指標は純受取利息(NII)です。銀行のNIIは、貸出金等による利息収入と、預金等に対する利息支払の差になります。
JPモルガンのような銀行の場合には、投資銀行業務などのように、NIIに影響を与えない別の収入源を持っていることは確かです。しかし、NIIは、私たちが判断できる最も保守的な指標になります。
NIIを分析して配当が安全だと判断されれば、他の収入源があれば更に安全であると言えるでしょう。
JPモルガン・チェースのNIIは、2019年の572憶ドルから2020年には546億ドルへとわずかに減少しました。
2020年はパンデミックの影響で、多くの企業で業務の縮小・停止が余儀なくされました。このため、労働者への給料支払いを維持するために政府が行った「給与保護プログラム(連邦中小企業庁による給与保護プログラムPaycheck Protection Program)」以外の融資が落ち込んだことを考慮すれば、もっともな結果といえるでしょう。
引き続き、JPモルガン・チェースの2021年NIIは2020年とほぼ同額になると予想されています。
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NIIが上昇傾向にないことは良いこととは言えませんが、そう悪いことでもありません。でも万一、同行のNIIが下落した場合も配当の支払いは可能でしょうか。
2020年、JPモルガンは127億ドルの配当を支払いました。2021年の配当支払いは、106億ドルと僅かに減少することが予想されています。しかし、これには、FRBが銀行の配当規制を解除した場合に想定される、増配分は考慮されていないようです。
2021年の予想が正しければ、JPモルガンは株主に対し、NIIの20%ほどしか配当を支払わないことになります。もし仮に、同行が配当を2倍に増額したとしても、NIIの半分にも満たないのです。
さらに、NIIのほかに、非金利収入や非資金利益があることも忘れてはなりません。JPモルガンは、イーサリアムなどの暗号資産の貸出しを行っているわけではありませんが、暗号資産やその他事業から、非金利収入を得ているのです。
(編集部注:非資金利益とは、銀行業における資金運用利益以外の収益のことです。取引手数料などがこれに該当します。)
JPモルガン・チェースは10年間連続して増配しています。現在の配当は、2008年から2009年の間に発生した金融危機以前の配当の2倍以上です。
NIIの伸びは鈍いですが、配当性向が低いことと増配実績があることから、同行の配当安全性は非常に高いといえます。FRBが銀行の配当制限を緩和した後、JPモルガン・チェースが11年連続で増配を行うことを期待しています。
配当安全性格付け:A
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マーク
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