投資情報

ゲノム編集技術から生まれる新たな投資機会

前回のメルマガでは、今後さらなる発展が期待されるゲノム編集技術がどのようなものなのか、簡単にお伝えしました。(前回のメルマガはこちらからご覧いただけます。)

以下は簡単におさらい。

  • ゲノム編集技術「クリスパー・キャス9(CRISPR/Cas9)」は、発表からわずか8年でノーベル化学賞を受賞するほどの画期的な技術
  • 健康・医療のみならず、食糧、環境など幅広い分野で活用され始めている
  • 一方で、倫理的問題など課題も存在

前回の内容を踏まえ、今回はゲノム編集市場の成長性や参入企業についてみていきたいと思います。

 

市場は2兆5,000億円規模へ


ゲノム編集の市場規模は、2031年までに約190億ドル、日本円で約2兆5,000億円にまで拡大すると予測されています。

市場規模

(出所:GIIレポートよりOxford クラブ作成)

市場成長の背景にあるのは、前回お伝えしたように健康・医療のみならず、食糧、環境など幅広い分野で高い需要があること。

さらに、この高い需要に応えるために、さまざまな企業が継続的に多額の投資を行っていることも市場の成長を促進する重要な要因になっています。

 

医療分野では研究協力が主流


近年、大手製薬企業は研究協力の形でゲノム編集企業への投資を拡大し始めています。

元々大手製薬企業は、ゲノム編集といったリスクの高い治療製品への投資には慎重な姿勢をとっていました。

しかし、

  • 難治性疾患の治療薬開発に対するゲノム編集技術への期待
  • ゲノム編集企業の成長が長期的な脅威になること

これらを踏まえ、ゲノム編集企業への研究協力という形で投資を行っています。

ゲノム編集の分野では、大学などが特許を保有し、ゲノム編集企業にライセンスを供与する形が一般的です。

そのため、製薬会社はゲノム編集企業と研究協力関係を結ぶことで特許の利用が可能になり、一方でゲノム編集企業は、製薬会社の技術的ノウハウを活用できるほか、さらなる研究開発を進めるためのマイルストーン収入(新薬開発の進展に伴って支払われる一時金)やロイヤルティ収入を得ることができるような関係性になっています。

こちらが2022年に発表された主な研究協力です。

研究協力している会社

(出所:各社公表資料よりOxford クラブ作成)

 

食糧分野は大手とスタートアップが競争


動植物に関するゲノム編集についても、スタートアップ企業のみならず、農業・バイオテクノロジー分野の大手企業が積極的に投資を行っています。

その背景は人口増加による食糧需要の増加という点が大きいですが、さまざまな環境に耐えられるゲノム編集作物が市場に広がるにつれ、除草剤や殺虫剤への長期的な需要減少が考えられるから、といった理由もあります。

また、動植物などのゲノム編集は、ヒトのゲノム編集と比較し、運用上でも技術上でも投資が少なくて済むため、参入コストの低減により多くのスタートアップ企業がしのぎを削っています。

ゲノム編集に取り組む企業

(出所:各社公表資料よりOxford クラブ作成)

 

実現性・収益性の見極めが肝


市場成長が期待できるということは、投資機会としても有望だと考えられます。

しかし、市場が成長するからといってどの企業でもその恩恵を受けられるわけではありません。

ほとんどのゲノム関連ビジネスを行う企業は、研究開発が先行している状態です。

また安全性の確保の観点から、市場で販売するには米食品医薬品局(FDA)の承認を得なければならず、これも大きなハードルとなっています。

このように、今後成長が期待される市場でしのぎを削っている企業においては、なんとなく成長するかな、という投資ではなく、研究開発を行っている対象が市場で販売できるのか、また研究開発に費やした費用の回収を含め、将来的に利益を生み出す可能性がどれだけあるのかなど、通常よりも細かく分析する必要があります。

日本の情報ソースで米国のスタートアップ企業の細かな情報を入手することは難しい部分もありますが、もし成長企業への投資を行う場合には、成熟企業への投資以上に情報収集を行うといった意識を持っていただくことをお勧めします。

小島璃子

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小島 璃子

金融業界歴12年。大学卒業後、メガバンクに約12年間勤務。中小企業~大企業(自動車セクター担当)まで、営業として幅広く担当。メガバンク系証券会社に出向し、投資銀行部門にてM&Aや資本調達などを経験。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会へ出向し、大会開催サポートを経験。メガバンクに戻り、ESG関連のリサーチ・コンサルティング業務に従事。2021年12月Oxford Clubシニア・ストラテジストに就任。 著者の記事一覧≫

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