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投資情報 | 利下げに備える「3つの選択と1つのアイデア」

 


利下げと投資環境の変化


FRBは今月のFOMCでほぼ確実に利下げを行うでしょう。

その理由は、雇用統計が予想より低い結果を示しているからです。
(7月の雇用者数の増加は予想を下回り、5月・6月分についても下方修正されました。)

インフレも全体的に鈍化傾向です。
(まだFRBの目標である2%を上回っていますが、長期的には落ち着きを見せています。)

さらに、景気刺激や国債の利払い負担軽減を狙い、政治的にも利下げ圧力が高まっています。

その結果、FF金利先物市場では「来月の利下げ確率96%」と見られており、株式市場、債券市場が大きく上昇しました。
※FF金利:アメリカの銀行同士が一晩だけお金を貸し借りする時の金利

ですが、あまり喜べないのは「貯金している人たち」でしょう。

今年は、4%以上の“リスクなし利回り”を受け取ることが出来ましたが、年末までに0.75%程度の利下げが実施されると、この利回りは消えてしまいます。


インカム投資家の3つの選択


では、配当・利息重視のインカム投資家はどうなのでしょうか。

ここでは3つの常識的な選択肢と、1つの少し変わったアイデアを紹介します。

1. 安全第一なら「定期預金」で金利を固定

いわゆるCD(Certificate of Deposit=譲渡性預金)です。
日本でいう定期預金に近く、あらかじめ決められた期間(例えば2年)お金を預けることで、金利を固定して受け取れる商品です。

米国では、今なら2年もので 年4%以上の金利をロックインできます。

2. 多少の値動きを受け入れるなら「長期債」や「債券ETF」

債券は、国や企業が発行する借金の証書のようなもの。長期のものは金利変動の影響を受けやすいですが、その分利回りも安定しやすいです。

ETFは、複数の債券をひとまとめにして売買できる投資信託のような仕組みです。

例:iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF(AGG)

米国の投資適格債(安全度の高い債券)を幅広くカバーしていて、利回りは約4.3%。

3. 高利回り+ドルヘッジなら「アクティブ債券ETF」

より高い利回りを狙うなら、積極的に運用するタイプの債券ETFもあります。

例:iShares Flexible Income Active ETF(BINC)

複数の高利回り債券に分散投資しながら、ドルの為替リスクもある程度抑える設計。

利回りは約5.25%とやや高めです。
※ここで紹介している商品はすべて米国市場に上場しているETFや預金商品です。

日本から投資する場合は、証券会社を通じて「米ドル建て」で購入する必要があり、為替リスクや税制の違いがあります。
※また、利回りは執筆時点のもので、今後の金利変動や市場環境によって変わる点に注意が必要です。

一般的には「利下げ局面では長期債の利回りを固定すべき」と言われます。

ただし、長期債に寄せすぎるのは危険です。

なぜなら、金利が上がれば、債券の値段は下がるからです。

今の流れを見る限り「これからは下がっていく」と思いがちですが、相場はいつだって“想定外”に動くものです。

突然インフレが再燃したり、国債利回り(FRBが直接コントロールできない部分)が跳ね上がることもあり得ます。


【まとめ】債務リスクへの備えと1つのアイデア


特に注意すべきは「米国の債務問題」です。

数年以内に債務が臨界点を迎え、インフレと金利が急上昇する可能性は十分にあるでしょう。

そうなると、長期債や公益株、さらには長期のTIPS(物価連動国債)まで打撃を受けることになります。(TIPSは元本と利息がインフレ連動しますが、金利上昇局面では価格が下がるためです。)

そこで有効なのが 「短期TIPS」

▼短期TIPS

  • 米国財務省から直接購入
  • または Vanguard Short-Term Inflation-Protected Securities Index Fund(VTAPX)などのファンド経由

さらに「国際分散TIPS」も選択肢にするのも良いでしょう。

SPDR FTSE International Government Inflation-Protected Bond ETF(WIP)です。

このETFはイギリス、日本、イタリア、ブラジル、メキシコなど20か国以上のインフレ連動国債を組み入れています。

通貨リスクは主要通貨でヘッジされており、為替変動で利回りが消える心配も少なめです。

▼ WIP

  • 現在の利回り:4.5%
  • 保有債券の実質利回り:約2.9%(米国10年TIPSの1.8%より魅力的)

地域ごとのインフレや財政政策を取り込めるため、真の分散投資効果が期待できます。

特に、予期せぬインフレや地政学リスク(資源ショック、貿易摩擦、サプライチェーン混乱など)の時には強みを発揮します。

しかも、WIPは米国株や社債と値動きがあまりかぶらないため、ポートフォリオのクッション役になります。

コストは0.5%と、この規模の国際ETFとしては妥当であり、取引量も安定していて、スプレッド(売値と買値の差)も小さいのでコストを抑えることができます。

つまり、WIPは「購買力の維持」「収入源の多様化」「米国債の偏ったポートフォリオのバランス調整」に役立つ存在です。

これは特別な選択肢ではなく、これからの時代に欠かせない守りの手段と言えるでしょう。

そして、もし米国の債務問題が本格化した時には、この投資がきっとポートフォリオを支えてくれるはずです。

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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