未来予測の間違い
人類が誕生して以来、当たり前のように進歩や繁栄が続いてきたという誤解がよくあります。
しかし歴史を振り返ると、そうではありません。
例えば、紀元前50年に生きていたローマの政治家キケロ。
彼が、その1800年以上後に生きている第3代目大統領トーマス・ジェファーソンを訪問したとしましょう。
ジェファーソンは、米国バージニア州モンティチェロにいるため、まずキケロはバージニアに向かうでしょう。
彼は馬で最寄りの港に向かい、風に吹かれた船に運命を託します。
数か月後、キケロがモンティチェロに到着すると、そこには見慣れた光景が広がっていました。
それは、ジェファーソンの家は古代ローマ同様、冬は暖炉の火で暖められ、夏はドアや窓が大きく開け放たれていたからです。
ジェファーソンは18世紀前のローマ人と同じように、ロウソクの明かりで本を読み、自分で育てたものを食べ、納屋を使い、奴隷を従えて生活していました。
そしてキケロは、ジェファーソンの6人の子供のうち、ほとんどが若くして亡くなったことを知ります。
これは何も特別なことではありません。
人類の歴史の大半を占めていることなのです。
印刷機、火薬、コンパスなど、いくつかの注目すべき技術革新を除いては、1800年の生活は2000年前の生活とほとんど区別がつかないものでした。
しかしそれ以来、人類の進歩と繁栄は爆発的に増大するのです。
経済史家のディアドラ・マクロスキー氏は、これを「大いなる豊かさ(Great Enrichment)」と呼んでいます。
それは200年以上前に始まり、今もなお加速度的に富が創出されている時代のことです。
このことは、交通機関の質、通信のスピード、多くの省エネ機器…
そしてボタンをクリックするだけで手に入る商品、サービスにはっきりと表れています。
トーマス・ジェファーソンは、
- 電気
- 自動車
- 電車
- 飛行機
- 電子レンジ
- ラジオ
- テレビ
- スマートフォン
- コンピューター
- 抗生物質
- ワクチン
- MRIスキャン
- 遺伝子治療…
その他無数の救命につながる技術革新にアクセスすることはできませんでした。
さらにもう1つ知っておくべき事実があります。
それは我々が使っている商品やサービスは、時間とともに(インフレのおかげで)より高価になる一方、それを手に入れるために必要な労働量は少なくなっているということです。
これは、マリアン・L・トゥーピー氏とゲイル・L・プーリー氏による優れた書籍『Superabundance』において、私が深く直感的に、しかし重要なポイントとして感じた点です。
著者らは、2世紀にわたる何百もの商品、財、サービスの価格を分析し、人口が増加するにつれて、資源が不足するのではなく、より豊富になることを発見しました。
特に前回のメールマガジンで話した「時間価格」、つまり人々が何かを買うためにどれだけ働かなければならないかを調べたときに、そのことを明らかにしたのです。
普通はドルやセントで表されますが、時間価格は時間や分単位で表されます。
例えば、原油1バレルが90ドルで、時給が15ドルだとすると、時間価格は6時間です。
もし原油のコストが100ドルに上がり、時給が20ドルなら、時間価格は5時間になります。
ドルやセントのコストは高くても、それを買うためにどれだけ働かなければならないかという時間価格は低くなるのです。
時間価格は、人間の幸福度の時間的な上昇を測定する優れた方法になります。
特に時間軸のどの時点でも現在の物価と賃金が使われるため、インフレ率を誇張したり、過小評価したりすることができません。
筆者らは1980年から2000年の間に50品目の商品のコストを測定した結果、
石油、天然ガス、小麦、
綿花、大豆、牛肉、
トウモロコシ、豚肉、砂糖など…
これらのコモディティの平均的な時間価格下落率は、なんと75.2%だったのです。
つまりブルーカラーの労働者は、これらの商品を同じ量だけ買うために、75%少ない労働で済むということです。
さらに、調理用具は51%、食器洗い機は62%、洗濯機は65%、紳士服は72%、自転車は74%、掃除機は83%、フードプロセッサーは86%も価格が下がりました。
もちろんノートパソコン、スマートフォン、薄型テレビなどは1980年には想像すらできなかったので、価格下落を測定することは不可能です。
住宅価格はいつも高く感じられますが、特に今日はその傾向が強いと言えるでしょう。
しかし住宅価格も時間価格で見ると低下しています。
例えば、1970年の1平方フィートの住宅の平均価格は15.33ドル。
米国のブルーカラーの時間給は3.93ドルで、1平方フィートあたり3.9時間の時間価格であることを示しています。
2019年、1平方フィートの住宅の平均価格は88.89ドル。
ブルーカラーの時間給は32.36ドルで、1平方フィートあたり2.75時間の時間価格を示しています。
つまり、住宅の時間価格は30%近くも低下したのです。
また今日の住宅はエネルギー効率が高く、多くの家電製品が搭載され、セントラルヒーティング*や空調、キッチンでは花崗岩のカウンタートップといった近代的な設備がほとんど備わっています。(*1箇所でつくった熱源を各部屋へ送り込み、室内と家全体を暖めるという仕組み)
2022年のこれまでのところ、消費者物価が賃金よりも速く上昇しているのは事実です。
しかし年単位で見ると、賃金は物価よりも速く上昇し、米国人はより少ない労働でより多くのものを購入しています。
これは、主要メディアが伝える現代経済の全てに反していると言えるかもしれません。
実際、ジョージ・メイソン大学のドナルド・ブードロー教授は、『Superabundance』の著者が「中流階級の停滞という神話を粉々に打ち砕く」と述べています。
スケプティック誌の発行人マイケル・シャーマー氏は、この本を「過去の時代と比較して、我々の生活がいかに優れているかということを思い出させるもの」であると評価しました。
また、ノーベル賞受賞の経済学者アンガス・ディートン氏は、この本は「悲観論者が過去について常に間違っていたように、未来についても間違っているという希望を与える」と述べました。
世界は長く繁栄し、これからもそれは変わらないでしょう。
この事実をあなたは知っておくべきです。
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