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あれから1年。ゲームストップ事件の重要な教訓

投資アナリストはしばしば、自分の意見が後になって間違っていたと判明した時のために、いろんな対応策を用意しています。経済学者も同様です。

だから米国の大統領だったハリー・トルーマンが「片腕の」経済学者を連れてきて欲しい、と懇願したのは有名な話です。彼は専門家が、「一方ではこうだが、他方ではこうだ」というのを聞き飽きたのです。

ほとんどの大人は、将来、いわゆる「予見可能な将来」でさえ、せいぜいぼんやりしたものでしかないことを認識しています。

しかし昨年のミーム株*ブームがどのような結末を迎えるのかに関しては、誰にとっても明らかでした。

(編集部注: ミーム銘柄とは、インターネットの掲示板やSNS上で発信された著名人の発言などをきっかけに個人投資家の取引が大きく膨らみ、株価が激しく動く銘柄のことです。)

私は以前書いた記事で、ブームに巻き込まれた何万人もの購読者に対し、そのことを明確にしました。

これまで私は、「株式市場に確実なものはない」とよく言ってきましたが、今になってそれが間違いだったことに気付きました。

ゲームストップ(NYSE: GME)やAMCエンターテインメント・ホールディングスNYSE: AMC)など、2021年天文学的な上昇を遂げたいわゆるミーム銘柄が暴落することは、間違いなく100%保証されているのです。

熱狂に巻き込まれた人々は、暴落が近いことに対する警告を喜んで受け入れ、安心したのではないかと思うかもしれません。

しかしそうではありませんでした。かなりの冒涜や批判が私たちのところに届きました。

ここでは、このミーム株に何が、どうして起こったのかを振り返り、教訓を得ることにしましょう。

 

一体何が起こったのか?


2021年1月28日、ゲームストップの株価は一時483ドルの高値をつけました。そして1年後の2022年1月27日、その株価は80%以上も安くなっています。

同じ記事で取り上げたAMCエンターテインメント・ホールディングスとブラックベリー (NYSE: BB) も同じように急落しています。

そう、ほとんどの銘柄は最近下落しているのです。

一方、S&P500種株価指数は同じ期間でおよそ15%も上昇しています。

早期に参入し、ソーシャルメディアを利用して、典型的なショートスクイーズ*でゲームストップ (やその他の企業) を上昇させたトレーダーは、賢く、機知に富んだ人物でした。

(編集部注:マーケット(市場)が売り持ち(ショートポジション)に傾いている時に、大きく買いを仕掛けることで、相場を一気に上昇させること。)

これはハイリスクな戦略でしたが、成功しました。

しかし株価が本来の企業の価値から完全にかけ離れた後でも、企業が大規模な売出しで株主を希薄化させた後でも、インサイダーが数百万ドル分の自社株を売却した後でも、ヘッジファンドや空売りはとっくにいなくなった後でも、この苦境に喘ぐゲームストップ社の株を人々は買い続けました。彼らは何を考えていたのでしょう?

あるいは何も考えていなかったのでしょうか?

もちろん、早々に退散した人もいれば、長く居座る人もいました。

今日もなお、希望を持ち続けている人もいます。

私は、「ダムマネー(愚かな資金)」という言葉は、この最後のグループには適切でないと思っています。

差別的な意味ではなく、私はそれを「知恵遅れマネー」と呼びたいと思います。

彼らは最近ゲームショップを訪れたでしょうか?店舗がどれほど古くて色あせているかを見たのでしょうか?店を訪れる人が少ないことに気づいたでしょうか?

勢いのある会社との比較をしたいなら、お近くのアップルストアに足を運んでみてください。

 

ミーム株から得られる2つの教訓


ここには2つの大きな教訓を含む、学ぶべきことがあります。

1つ目は、私がここで定期的に述べているように、ストーリーではなく数字に投資することです。

経験豊富な株式投資家は、売上高、業績、利益率、業界の健全性、競合の質などに着目し、企業の短期および長期の事業の見通しを分析します。

彼らは、「どこまでも値上がりする(It’s going to the moon!)」や「永遠に買い続けて、決して売らない(Buy forever. Sell never.)」などという言葉に騙されません。

それは誇大広告の言葉なのです。

2つ目のポイントはなんでしょう。このような地雷原を避けることが出来れば、長期的に資産を築ける可能性がはるかに高くなるのです。

すべての投資家がそうであるように、私も投資で失敗した経験があります。しかし私は賢い方法でリスクを取り、損失を最小限に抑えました。

ドットコムバブル、住宅バブル、ミーム株バブルで私は全く損失を出しませんでした。

そしてそれぞれのバブルについて、わざわざ読者に警告してきました。

今度の暗号資産バブルの暴落でも、私は損をすることはないでしょう。

良い投資を。

アレックス

Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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