OxfordClubマガジントレンド投資投資情報

投資情報 | ウォール街、史上最も荒れ狂った展開へ


10兆ドルの衝撃と歴史的な株価回復


10兆ドル。

にわかには信じがたいこの数字は、2025年春、米国株式市場がわずか3か月で取り戻した時価総額の合計です。

強気派でさえ目を疑い、弱気派は「これは一時的な狂騒にすぎない」と眉をひそめ、 果たして、これはただのラリーなのか、それとも本物の「復活劇」なのか──。


誰も予想しなかった展開


2025年上半期が終わろうとする今、投資家たちはまだ状況を整理しきれていません。

S&P500種株価指数とナスダック総合指数は米国時間4月8日までに20%の急落を経験しました。ところが、それ以降は一気に史上最高値を更新するという、まさに「V字回復」を超えた異常な動きを見せました。

米国時間4月9日の記録的な上昇

      • ダウ工業株30種平均株価(DJIA):一日で約3,000ポイント上昇
      • S&P500種株価指数: :9.5%の急騰(2008年の金融危機以来)
      • ナスダック総合指数: 12%上昇(2001年のドットコムバブル崩壊以降、最大の上昇率)

     

 

米国時間4月8日からのわずか数週間で、S&P500は23%以上上昇し、テック株はなんと32%も値を上げました。

市場に長く身を置くベテランたちですら、この乱高下に戸惑い、「次に何が来るのか」見通しがつかない状況です。


この混乱を生んだ張本人


この目まぐるしい展開の中心には、一人の人物がいました。

そう、ドナルド・トランプ大統領です。

米国時間4月2日、トランプ大統領は突如「リベレーション・デー(解放の日)」と称して関税の大規模強化を発表しました。

株式市場は即座に反応し、S&P500は3日間で10%超の下落、原油は5日で15%以上も暴落しました。

しかし、1週間後の米国時間4月9日、トランプ大統領は手のひらを返すように「90日間の関税一時停止」を宣言。

前日まで市場を混乱に陥れていた関税政策は凍結され、そこから歴史的な株価の反発劇が始まったのです。
とはいえ、これはまだ“第一幕”にすぎません。


「リベレーション・デー2」の波紋


注目すべきは米国時間7月9日

「リベレーション・デー2」として、再び大規模な関税政策が発動されるのか、株式市場が固唾をのんで見守っています。
※編集部:米国時間7日、各国に対する新たな関税率の通知がありました。同時に交渉期限を7月9日から8月1日に延長する大統領令が署名されています。

財務長官スコット・ベセント氏は、「9月のレイバー・デーまでに18か国と新たな貿易協定を結ぶ見通しだ」と語っていますが、現状トランプ大統領は強硬な姿勢を崩していません。

一方で、すでにいくつかの動きもあります。

たとえば、米国は中国との「半導体戦争」において、水面下で休戦に踏み切っています。

EDA(電子設計自動化)ソフトの対中輸出禁止を解除し、市場に大きな安堵感を与えました。

上昇した半導体銘柄:

  • エヌビディア (Nasdaq: NVDA)
    過去最高値を更新し、「世界で最も価値ある企業」への道を突き進む
    政策転換による最大の恩恵企業
  • ケイデンス・デザイン・システムズ (Nasdaq: CDNS)
    売上の約12%が中国市場に依存
    中国のEDA市場で70%以上のシェアを保有
  • シノプシス (Nasdaq: SNPS)
    売上の約10%が中国市場に依存
    EDA輸出禁止解除により中国市場への再アクセスに成功

これらは中国のEDA市場の70%以上を押さえるテックジャイアント企業であり、政策の転換によって彼らは再び中国市場へのアクセスを得ることに成功しました。

シノプシスの売上の約10%、ケイデンスは約12%が中国市場に依存しており、今回の「融和」は、企業にとってまさに命綱となったのです。


【まとめ】戦争はニュースを作り、平和は利益を生む


貿易戦争はドラマティックな見出しを提供してくれます。

しかし、実際に投資家の利益を育てるのは「平和」です。

株式市場が落ち着きを取り戻す中、真に鋭い投資家たちは、 この新たな「協調の波」に乗る企業や国を見極め始めています。

半導体戦争の幕が閉じつつある今、 本当の意味での投資チャンスが静かに、そして確実に立ち上がってきています。

この物語の続きを書くのは市場だけではありません。

私たち投資家自身なのです。

歴史的カムバックの「第2章」が、いま始まろうとしています。その展開が、スリラーなのか成功譚なのかは、まだ誰にも分かりません。

ただ一つだけ確かなのは、退屈な展開にはならないことです。

マシュー・カー

〜編集部〜

P.S.マシューのX(旧ツイッター)はもうご覧いただけましたか?

マシューのメールマガジンは週に1回の配信ですが、Xではほぼ毎日情報発信しています。

ぜひご覧ください。

マシューのXアカウントはこちら

以下のQRコードから、スマートフォンで簡単にアカウントをご覧いただけます。

 

P.S.

今回の記事はいかがでしたか?

あなたの資産形成に少しでもお役立ていただければ幸いです。

Oxford クラブでは、このような記事を33万人のメールマガジン会員様に毎日無料でお届けしております。

公式サイトからでも1週間にお届けする7つの記事のうち4つはお読みいただけますが、3つはメールマガジン会員様に宛てたものとなっております。

毎日2分メールをお読みになるだけで、少しずつ米国株による資産形成のコツを身に付けていただけるでしょう。

『米国Oxford クラブのNo.1ストラテジストアレックス・グリーンが教える人生を変えるたった一つの銘柄』

20年前にアップル、アマゾン、エヌビディアを見つけ出したアレックスが選ぶ 7つの銘柄
次のマグニフィセント・セブン

→メルマガ登録で無料プレゼント

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

関連する記事

Back to top button