
バブルの本質と見抜く力
私はOxford Clubのチーフ・インベストメント・ストラテジストを、24年間務めています。
その間、多くの投資が成功しました。
そしてもちろん、うまくいかなかったアイデアもありました。
ですが、ひとつだけ誇りに思っていることがあります。
それは、金融バブルに関して常に的確な警告を出してきたことです。
金融バブルとは、「価格が正当化できないほど高騰すること」です。
私はこれまで、ドットコム・バブル、住宅バブル、サブプライムローン・バブル、ゼロ金利やマイナス金利時代の債券バブル、大麻関連株のバブル、ミーム株バブルなどについて、いち早く警告を出してきました。
そして2023年の初め、「これまでで一番信じがたいバブル」について警鐘を鳴らしました。
それは中古車価格です。
「新車で買って走り出した瞬間に価値が下がる」
それが当たり前でした。
なのに、新車がコロナで不足すると、中古車市場が異常なまでに高騰したのです。
ディーラーが、1年前に新車を買ったばかりの客に電話をしてこう言いました。
「今、買ったときより高い価格で売れますよ!売りませんか?」
そんなこと、人生で聞いたことありますか?
異常な価格とその顛
当時、息子と一緒に大学用の中古車を探していたのですが、価格はまるで冗談のようでした。
4年落ちの走行距離多めのスバルが38,000ドル(約600万円)なんて…。
友人に「君はお金あるんだから気にしなくていいじゃないか」と言われた時、私はこう返しました。
「もしハンバーガーが150ドルだったら、金があるかどうかじゃない。バカげてるから買わないよ」
同年4月、私は読者にこう伝えました。
「今の中古車バブルに手を出せば、数年後に手放すとき、大きな損をすることになるでしょう」
でも、もし本当に車が必要だったら?
私は3つの解決策を提案しました。
▼3つの解決策
- 今の車を乗り続ける
- 公共交通機関を使う
- UberやLyftを使う
さもなければ、今の異常な価格が落ち着けば、手放すときに痛い目を見るかもしれませんと警告しました。
そして2024年の秋。
ウォール・ストリート・ジャーナルがこう報じました。
「ローンを組んで車を買った人の約3分の1が“ローン残高の方が車の価値より高い”状態に陥っている」
つまり、車の価値よりもローン残高が大きく、数千~1万ドル以上の赤字になっている人が大勢いるということです。
バブルだったと気づくのは、いつも終わってからです。
【まとめ】次なるバブルに備える視
では、なぜ今この話をしたのかと言いますと、もう中古車バブルは崩壊しましたが、他のバブルはまだ続いているからです。
たとえば、暗号資産(仮想通貨)を見てみましょう。
ビットコインを持っている人は多いですが、それで実際に「何かを買った」経験のある人はほぼいません。
スピードも遅く、使いづらく、値動きが激しく、ほとんどの店で使えない15年物のデジタル通貨が、まるでこれからの世界を変える主役かのように語られているのは、ちょっと不思議に思いませんか?
あるいは、ジョークとして作られた「ドージコイン」が、2カ月でなぜ3倍になっていたのでしょうか?
先日、暗号通貨推しの人に「それってバブルじゃないの?」と聞いたら、こう笑われました。
「バブルは風呂に入れるもんでしょ」
私はこう返しました。
「風呂では“バス(bath=損失)”も浴びることになる」
今、熱気に包まれている市場にも、いつか“水をかけられる日”が来るかもしれません。
それがぬるま湯で済めばいいのですが、そうとは限らないのがバブルの怖いところです。
P.S.
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