米国配当株投資

【FOMC開催間近】利下げは本当に正しいのか?

連邦公開市場委員会(FOMC)が9月17日から開催されます。

そして、その場で連邦準備制度理事会(FRB)が4年半ぶりの利下げが行なうわれることが確実視されています。

FF(フェデラル・ファンド)先物市場*では、9月の会合で利下げが実施される可能性は100%で、

50ベーシスポイント**の利下げの可能性は14%とされています(執筆時点)。

*FRBが誘導目標とする、FF金利の将来水準を想定して取引されているため、市場の金利に対する見通しを確認できる

**1ベーシスポイント=0.01パーセントポイント

 
では、このタイミングでの利下げは正しいのでしょうか?

分析してみましょう。

米国で暮らす人々は未だに高い物価に痛みを感じているものの、

インフレはある程度制御されています。

特に8月に発表された2.9%のインフレ率は、FRBが定めた2%には達していないものの、

1914年以降の平均値である3.3%を下回っています。

数年にわたる高インフレの後、物価はようやく安定を取り戻しました。

しかし、堅調な経済においては、利下げは商品やサービスの需要を押し上げ、物価を押し上げることになります。

そのため、年末までに金利が1ポイント低下すれば、2025年末までにインフレ率は再び4%を超えることになるかもしれません。

さらに、利下げは住宅ローンを多少安くする可能性があります。

 

一方で、既に多くの米国民が手が出ない住宅価格をさらに押し上げることになるでしょう。

住宅バブルはさらに膨張し、初めて住宅を購入する人が住宅を購入することはほぼ不可能となり、その結果として家賃も上昇しかねません。

そのため私は、今利下げを実施する理由は、「雇用の伸びの鈍化」にあるべきだと考えています。
 

しかし、ここで問題なのは、米国では依然として雇用が「増えている」ということです。

もちろん、コロナ後の回復期ほどではありませんが、米国では8月に14万2,000人の雇用が生まれ、年間賃金は4.8%増加しました。

新規失業保険申請件数は22万7,000件。

これは、2年前とほぼ同じ水準です。

今年1月に最低となった19万4000件よりは増加していますが、

過去3か月間の最低水準に近い値です。

2023年6月にはその数は26万1,000人に上っていたことを考えると、

改善傾向にあると言えるでしょう。

7 月の求人数は 約767万件でした。

これは 1 年前の 880 万件より減少していますが、

失業者に対する求人数の割合は、1人に対し1.1倍です。
 

つまり、雇用は猛烈なペースで進んでいるわけではない一方で、

解雇や一時解雇も増加していないということです。

米国のGDP成長率が3%であることを考えれば、

近い将来に雇用状況が急激に悪化することは想像しにくいでしょう。

これらのデータを見ると、今が利下げの最適なタイミングであるとは言い切れません。
 

また、米国経済の過去の平均を見てみると、GDP 成長率は 3.2%、インフレ率は 3.3%、失業率は 5.7%、10 年国債の利回りは 5.9% となっています。

現在、GDPは前期比で3.0%成長、インフレ率は2.9%、過去3ヶ月の平均失業率は4.2%、10年国債の利回りは3.7%を下回っています。

工場受注も7月に前月比で5%増加し、2020年7月以来の最大の増加となりました。

この状況で利下げに踏み切るべきなのでしょうか?
 

過去数十年間、私たちは異常に低い金利に慣れきっていました。

そのため、金利が上昇すれば経済に急ブレーキがかかるのではないかと恐れる傾向があったのは事実です。

しかし、最近の一連の利上げではそのような事態は明らかに起きていません。

私は、インフレ率が利引げの第一の理由であるべきではないと考えています。

金利は最大限の雇用を確保するために引き下げられるべきであり、景気後退の懸念を払拭するためではありません。

失業者よりも求人数が多いことを考えると、たとえ減速しているとしても、労働状況は依然として堅調であるはずです。

過去を振り返ってみると、利下げの際に、引き下げ幅が大きすぎたり、そのまま低すぎる金利を長期間維持したりしたことが見て取れます。

それが、過去数年間に経験したほぼ2桁のインフレの原因です。
 

つまり、適切な金利でなければ、インフレを再び招くということ。

そして、それを抑えるために再び金利を引き上げざるを得なくなります。

このような金利政策の行き来は経済に甚大なダメージを与えるでしょう。

なぜなら、経済を直接的に担う経営者たちは、将来の計画を立てて投資するため、経済情勢がどうなるかを大まかに把握しておく必要があるからです。
 

しかし、金利が上下に変動している場合は、資本を投入する前に身を潜めて情勢が落ち着くのを待つ必要があります。

もちろん、今後雇用情勢は悪化するかもしれません。

もしそうなったとしても、将来的に金利を引き下げる余地は常にあります。

しかし、必要のないときに今金利を引き下げれば、弱まってきたインフレの火に油を注ぐことになりかねません。

今後もFRBの判断に注目していきましょう。
 

P.S.

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Marc Lichtenfeld(マーク・リクテンフェルド)

Oxford Club チーフ・インカム・ストラテジスト。ウォール・ストリートを含め25年の経験のある配当投資の専門家。「Get Rich with Dividends(邦題:日本人の知らない秘密の収入源 年100回配当投資術)」著者。2013年に配当投資の専門誌Oxfordインカム・レターを創刊し、世界中に読者を持ち有料購読者は8万人を超える。FOX、CNBC、Forbesなどの有名メディアはもちろん、BloombergやBarrons、The Wall Street Journalといった権威ある金融専門メディアにも多数出演。 マークの記事一覧 ≫

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