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市場が荒れている理由を知り、 どうすべきかを知る

最近どこに行っても、「株式市場で突然何が起こったのか?」と人々から聞かれます。

もっともな質問ですね。

パンデミックから2年も経過しているし、オミクロン株が米国でピークに達したのはすでに過去のものとなっています。

景気は減速していますが、主要エコノミストの予測では、今年はさらに4%の力強い成長を遂げるとされています。

また米国は完全雇用に近い状態で、賃金は過去数年で最も速いペースで上昇しています。

それではなぜ市場動向は急に荒れる展開となったのでしょうか。

その答えは、インフレ、金利、バリュエーションにあるのです。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

#1:インフレ


過去40年間、インフレ率は歴史的に穏やかでした。

しかし現在、生産者物価は年率10%、消費者物価は年率7.5%で上昇しており、1982年以来の高水準となっています。

以前にも述べたように、インフレの一因はサプライチェーン問題です。しかしインフレが高まった背景には、別の要因も潜んでいるのです。

まず、政府が問題に対して何をすべきかと考える前に、その問題を引き起こした政府が何をしたのかを問うことから始めましょう。

2020年のパンデミックによる不況(米国史上最も急激な不況)に対応して、米政府は大規模な赤字支出を含む前例のない措置を取りました。

その結果、国内総生産に対する債務の比率は136%に膨れ上がり、過去最高を記録したのです。

連邦準備制度理事会(FRB)は、新規発行された国債の多くを買い上げて利回りを抑制することで、この行動を支援しました。

その結果、マネーサプライ(市場全体に流通している通貨の供給量)は2020年の15兆ドルから、昨年11月には21兆ドルに急増しました。

FRBはまた、長期戦略を大幅に変更し、「物価の安定」という議会の命題を投げ捨て、インフレ率が従来の2%目標よりも高くなることを明確に許容したのです。

近代史上最大の世界的なサプライチェーンの混乱の最中に、政府が経済に資金を投入し、短期金利をゼロに抑え、債券利回りを抑制したらどうなるでしょうか。

答えは、生産者物価が10%、消費者物価が7.5%上昇するのです。

しかし驚くべきことに、中央銀行はいまだに短期金利をゼロにし、毎月何十億ドルもの国債や不動産担保証券を買入れています。

しかしこの状況は一変します。

 

#2:金利


FRBは短期金利を引き上げ、国債購入プログラムをテーパリングする予定です。そして「ビルド・バック・ベター(より良い再建)法案」は可決されずに終わるでしょう。

金利の上昇は、もちろん株式市場にとってマイナスです。

消費者や企業にとって借入コストが高くなり、そして投資家の資金を株式と取り合うことになるからです。

さらにFRBのプット(損失や市場の大幅な変動に見舞われた場合、FRBが状況を和らげるために支援に動いてくれるという考え方)はもうだめだという認識も広まっています。

投資家は通常、中央銀行が金融市場をバックアップし、深刻な景気後退から守るために必要であれば金利を引き下げることを期待しています。

しかし今回はそうはいきません。

消費者物価上昇率が7.5%に達し、FRBが出遅れたとの批判が広がる中、中央銀行はよほどのことがない限り、手を引くことはないでしょう。

このことが市場を最も不安にさせています。

しかし重要なのは、株価指数の枠を超え、表面下で何が起きているかを見ることなのです。

 

#3:バリュエーション


グロース株(テクノロジー株など)は、平均より高いバリュエーションになる傾向があり、打撃を受けています。

バリュー株(生活必需品や石油・ガスなど)は、平均より低いバリュエーションになる傾向がありますが、うまく持ちこたえたり、高くなったりしています。

リスクに対する再評価が行われつつあるのです。

より投機的な資産は削減され、人気薄の銘柄は愛され注目を浴びてきています。

この傾向と市場のボラティリティは今後も続くと思われます。

しかし2つの重要なポイントを心に留めておく必要があるでしょう

1つ目は、最近のような市場の変動は、歴史的な標準だということです。

2020年1 -3 月期以降の順風満帆な株価は異常だったのです。

2つ目は、景気拡大が持続し、企業や家計のバランスシートが堅調で、パンデミックが衰退しそうなので、中央銀行が利上げを実施すると認識することです。

最終的に、それは売上高や業績、株価にとってプラスになるのです。

 

良い投資を。

 

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Alexander Green(アレクサンダー・グリーン)

Oxford Club チーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融・投資関係の4冊のベストセラーの著者で、40年のキャリアがある。米国で金融・投資のニュースレターであるOxfordキャピタル・レターを20年以上執筆しており、ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト社はこのニュースレターをここ10年以上もの間、最もパフォーマンスの高い投資ニュースレター・ベストテンに選出している。 アレックスの記事一覧 ≫

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