最近、私の講演で「今までの取引の中で最も大きな失敗は何ですか?そしてその経験から何を学びましたか?」と参加者から聞かれました。
私は、ある経験からとても多くのことを学んだので、今日はそれをあなたにも共有したいと思います。
ITバブル全盛の約20年前、私はキャリアを始めてわずか3年で、オンラインスポーツのビデオ配信企業であるQuokkaの株を購入しました。
(ちなみにこの企業はもう存在しないので、検索しても情報は出てきませんよ)
同社は、当時ニッチな市場だったスポーツ番組をライブ配信する企業であり、オリンピック競技では3大ネットワークが放送しないカヤックなどの競技の放映権を獲得しました。当時は素晴らしいテクノロジーを持っている企業だと思っていましたが、ビジネスとしては評価に値しないほどでした。
またその頃はブロードバンドがあまり普及しておらず、ほとんどの人達はダイアルアップ形式でインターネットに接続していたので、ビデオを見るのは大変でした。
そのような状況は理解していましたが、当時インターネットは好景気。他の人と同じように同社の株をほんの少しの間持って、株価が上昇したら売却して利益を上げるつもりでした。
私が考えていたカタリスト(株価上昇のきっかけ)は、オリンピックで「カヤック競技の放映がメディアで取り上げられる」ということです。
これが実現すれば、同社の株価は確実に上昇し、私はきっと大きな利益が得られるだろうと考えていました。
しかし、私は必要以上にその銘柄を買ってしまい、株価がどうなるか気になり、夜が眠れなくなってしまいました。
株価はあっという間に2倍になりましたが、そもそも買いすぎてしまっていたことに気づき、リスクを下げるために自分の投資資金を半分に減らし、 残りは貯金から捻出したいと妻に相談しました。
しかし、当時は家を建てるために貯金をしており、そのお金は置いておきたかったようで、妻に反対されてしまいます。
なので私は、株価が上がり続ければ、家を建てるための頭金として十分な額になるかもしれないと言ったのです。
しばらくお互いの意見が合わなかったのですが、彼女は私の頑固な決意を何とか認めてくれ、結局その銘柄を保有し続けました。
私は、“Quokkaを7ドルで購入し、15ドルになったら持っている株の半分を売る”と決めていました。
しかし、2倍になっていた株価は12ドルまで下がります。その時、私は「また戻るだろう。15ドルになったら売ろう」と考えました。
株価はさらに10ドルまで下がります。
その時、私はどうしたと思いますか?
そうです。「12ドルに戻ったら売ろう」と考えたのです。
残念ながら株価はさらに下がります。
購入した時と同じ7ドルまで下がった時、こう思ったのです。
「ちょっとでも利益を上げないと…8ドルになったら売却しよう」と。
しかし、その後は…
株価が5ドルまで下がる→「7ドルに戻ったら売却しよう」
株価が3ドルまで下がる→「5ドルに戻ったら売却しよう」
結局、株価がゼロになるまで、その銘柄を保有し続けることになったのです。
もしあなたが同じような経験をしたことがあるなら、この3つの教訓を覚えておいてください。
1. 出口を意識する
短期間で利益を上げるという具体的な目標があったにもかかわらず、私は長い間、その銘柄を保有してしまいました。自分の判断が間違っていることに気づいたら、すぐに売却するべきでした。
もしトレーリングストップを設定していれば、株価が上昇すれば保有し続け、下落しても大きな損失を出さずに売却することができたでしょう。
2.許容範囲を超えたリスクを負ってはいけない
私は特定の銘柄を買いすぎました。睡眠不足になるほどストレスを感じるような投資をしてはいけません。
3. 夫婦で意思決定をする
夫婦で銘柄の選択までする必要はありませんが、どのように投資するのかといったことは話し合うべきでしょう。
相手が不快感を抱くような投資判断をしてはいけないと思っています。特にどちらかがリスクを取りすぎていると感じている場合、そのことから金銭的な問題につながり、結婚生活に大きなストレスが生じてしまう可能性もあります。
夫婦それぞれが何に対して抵抗感があるかを事前に理解しておけば、ストレスを軽減することができるでしょう。
さて、今日は、私がしてしまった最悪の経験とそこから学んだ3つの教訓をお話ししました。
過去の投資家と同じように、高い授業料を払いはしましたが大切な教訓を得たので、あなたにお話しすることを恥ずかしいとは思いません。
ただし、授業料がこれほど高くつかなければ良かったのに…と思っていますが。
良い投資を!
マーク
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