トレンド投資

第2のゴールドラッシュがやってくる

1848年1月24日、朝、ジェームズ・マーシャルは、製材所の鉱石くずの中に、いくつかの「輝く小石」を見つけました。

彼はすぐに、それが金だと気づきました。

マーシャルとパートナーのジョン・サッターはこの発見を秘密にしておこうとしました。ですが、事業家でジャーナリストのサミュエル・ブラナンが、製材所の労働者から話を聞きつけ、新聞に取り上げられました。

この瞬間に、ゴールド・ラッシュが始まりました。

1848年、カリフォルニアの金の生産高は500万ドルでした。これが、1849年には、10万人の金採掘者たちがカリフォルニアに殺到し、一獲千金を狙って掘り始め4,000万ドルに上昇、1851年までに5,500万ドルまで増加しました。

ただ、残念ながら、ほとんどの探鉱者は生活費を稼ぐのがやっとでした。

マーシャルとサッターの製材所は、雇っていた労働者達が金を求めて辞めてしまったため、閉鎖。街の人口も次第に200人まで減少し、ブラナンの新聞社は倒産しました。

そんな大変な時代の中でしたが、挫折を乗り越え、ブラナンはゴールドラッシュ時の最初の億万長者となりました。

そして彼はカリフォルニアでツルハシとシャベルを手当たり次第に買い占め、サッターズ・フォートの彼の店は月に15万ドル、今で言えば400万ドル以上売り上げるようになりました。

彼はサン・フランシスコで最も裕福な人になったのです。

ブラナンは、マーク・トウェインの名言「ゴールドラッシュの間は、ツルハシとシャベルの商売が絶好のチャンスだ」を体現しました。

この話は「ゴールドラッシュ」で利益を得るための、私たちのお気に入りの手法の1つを要約してくれています。そして、もう一つ別のゴールドラッシュが迫っています…。

 

5兆9千億ドル規模の「ゴールドラッシュ」


私たちは昔から「ツルハシとシャベル戦略」が好きです。

私たちは、クリーン・エナジー、電気自動車、従来のコモディティ(商品)など、こういったチャンスを頻繁に取り上げてきました。

そして長年にわたり、Oxford クラブの読者はベーカー・ヒューズ (NYSE: BKR)、FMC (NYSE: FMC), カダント (NYSE: KAI)、コマツ (OTC: KMTUY)、レーベン・インダストリーズ (Nasdaq: RAVN) などの企業から大きな収益を上げてきました。

しかし、今、私たちが注目しているのは、もう一つのゴールドラッシュです。それはとても重要で、必要とされているものです。

そして、繰り返しになりますが、利益を得ようとしている大手企業は「ツルハシとシャベル戦略」を実践しています。

米国経済は、まさに、道路、鉄道、港湾、配電網のネットワーク上で成り立っています。しかしこのインフラは崩れかけ、大きな負担を強いられています。

土木技術者たちは安全性への懸念を示しています。そして米国政府は今後10年間でインフラ整備に5兆9千億ドル投じる必要があると考えています。

実際、この状況は非常に差し迫っており、米国土木学会は2025年までにインフラ投資をGDPの3.5%に引き上げることを勧告しています。

こういった投資により、建設業界は格別に大きく成長できるのです。

 

注目すべき2つの企業


インフラ関連の「ツルハシとシャベル戦略」と言えば、多くの投資家は、キャタピラー (NYSE: CAT)、 ディーア (NYSE: DE)、ジェイコブズ・エンジニアリング・グループ (NYSE: J) といった確実に信頼できる企業を思い浮かべるでしょう。

しかし、投資家の皆さんに注目してもらいたい企業が更に2社あるのです。

一社目は、ファステナル (Nasdaq: FAST) です。

同社は、建設および工業用品の最大手の代理店で、あらゆる建築プロジェクトで固着に必要なダクトテープ、ナット、ボルト、ネジ、スタッドなどを販売しています。

着目すべきは、顧客の15%が政府、教育、輸送関連であること。さらに、顧客の23%が重機メーカーだということです。

同社は2021年第1四半期(1 – 3 月)において、一株当たり0.37ドルの収益かつ14億1,000万ドルの業績を発表しました。

建造物と橋を固着するための重要な金具であるファスナー(編集部注:ボルトなど接合部に用いる金具)は、四半期売り上げの32.5%を占めていました。個人用保護装備への需要拡大により、安全製品の売り上げは業績の21.5%まで伸長しました。

ウォール街は、2021年、同社は一株当たり1.55ドルの収益、58億7,000ドルの業績になることを予測しています。

二社目は、セメックス (NYSE: CX) 。同社をあなたのウォッチリストに加えて下さい。

同社は、世界最大のコンクリート製造業者の一つです。同社にとって米国は最も重要な市場であり、業績のおよそ30%を占めています。

2021年第1四半期(1 – 3 月)において、純売上高は34億1,000万ドルに増加、利益は15倍になりました。そして年内には、業績が飛躍的に改善するため、売上高は143億6,000万ドルまで伸長すると同社は予測しています。

セメックスとファステナルは、まさに全てのインフラ建造物を固着する製品を生産しています。そして建設業界の明るい未来に私たちは投資することになるのです

2021年7月、米国下院は陸上輸送、水道向けインフラ整備に向けて7,150億ドル規模の法案を可決することで幕を開けました。これは、9月までに包括的なインフラ投資計画を推進するための最初のステップとなります。

さらに、上院で打ち出された超党派グループによるインフラ投資計画の枠組みは、1兆2,000億ドル規模に及びます。
長年にわたって、歴代大統領はインフラ投資を増大する約束をしていました。ですが、多くの議論がなされても、実際に私たちは何かが可決されたことをほとんど見てきませんでした。

しかし、今回は違うようです。いくつか進展も見られます。再び、ツルハシとシャベルで商売をするのに適した、第2のゴールドラッシュがやってきているようです。

ハイリターンを願って

マシュー

Matthew Carr(マシュー・カー)

Oxford クラブ・ジャパンのチーフ・インベストメント・ストラテジスト。金融業界で20年のキャリアを持つ。 企業の中ではある一定のサイクルで株価が上下する銘柄があると言われており、マシューの専門はそのサイクルを見つけ出すこと。 彼の専門領域は石油・ガスといった伝統的な産業から、AI、5Gといった最先端テクノロジーなど多岐にわたる。 マシューの記事一覧 ≫

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