隙間風が吹くオフィス街の不動産状況
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この記事のポイント
- 危機的状況にあるニューヨーク・オフィス不動産の異端児
- 大盤振る舞いの配当は見栄か?それとも…
- 減配ペナルティーの期限は10年
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大小さまざまな企業がオフィス・スペースを手放している現在、「ニューヨーク市最大のオフィス向け不動産業者」は大苦戦していると思われているでしょう。
だとしたらはSLグリーン・リアルティ (NYSE: SLG)は極めて例外といえます。
この不動産投資信託(REIT)は昨年12月に約3%増配して3.64ドルにしたのに加えて、普通株1株あたり1.7ドルの特別配当まで行いました。
更に、従来の計画に5億ドルプラスして計35億ドルの自社株買戻しを行うことを発表しています。
SLグリーンは有望なニューヨーク不動産業者の一つなのでしょうか?それともニューヨークの大人気クラブに入ろうと列に並ぶ見栄っ張りのようなものでしょうか?
早速、その実態を確認してみましょう。
SLグリーンはマンハッタンに93棟のオフィスビルを所有しています。その総床面積は4,060万平方フィート(およそ377万平方メートル:東京ドーム約80個分に相当)に及びます。
現在、ニューヨークのコンクリート・オフィスビルはガラ空きで、すきま風が吹いています。しかしSLグリーンの年間の純利益(NOI)はわずか1.6%下落しただけでした。
(注釈:純利益(NOI:Net Operating Income)は、保有する不動産の家賃収入から管理費や固定資産税など実際にかかった諸経費を差し引いた実際の純粋な収益額のことです。現金の支出に関係ない減価償却費や銀行への支払利息、税金などは差し引かないため、その不動産が生み出す純粋な収益力を測る指標として用いられています。)
ウォール街は、REITのキャッシュフロー指標であるFFOは2019年の6億500万ドルから2020年には5億800万ドルへと減少すると予想していました。
(注釈:FFO(Funds From Operation)は不動産投資信託(REIT)が賃料収入からどれだけのキャッシュを獲得しているかを表す指標です。REITの当期純利益から不動産を売却して得た利益を除き、減価償却費を加えて算出します。FFOを発行済み投資口数で割った1口あたりFFOの値が大きいほど、収益力が高いとされています。NOIは保有している不動産のキャッシュフローに着目するのに対して、FFOはREITとしてのキャッシュフローに着目しています。)
しかし先月、SLグリーンは2020年のFFO(発行済み株式約7,900万株)が一株あたり7.11ドル、総額5億6,270万ドルになったと発表しました。
さらに2021年には、FFO(発行済み株式約7,060万株)が1株あたり6.30ドルから6.70ドルになる見通しであると発表しました。その場合、FFOは約4億5,900万ドルとなります。
2020年のSLグリーンの配当性向は約50%でした。
2021年のSLグリーンの配当総額は、発行済株式数の減少を受けて、2億7,700万ドル程度になると予想しています。経営陣の予測通りであれば配当性向は約60%になりますが、増配の余地は十分にあります。
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配当性向は、キャッシュフローから支払われる配当金の割合です。
10年の増配実績
SLグリーンは2010年に減配を行いました。しかし、セーフティーネット・プロ(Oxfordクラブ独自の格付ツール)では10年以上前の過ちは許容します。
それ以降は、SLグリーンは配当株の模範生となり、毎年増額してきました。
ニューヨーク市の経済危機にもかかわらず、SLグリーンは2021年も配当の支払は確実なようです。
配当安全レーティング:B
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よい投資を!
マーク
いかがでしたか?
少しでもこのアメリカの強い株が「いいな」と思ったら1株からでもいいので買ってみてください。(アメリカの株は日本と違って1株から買うことができます。)
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