金融情報

パンデミック時の投資を考える:100年前のスペインかぜから学ぶ投資家の動き方

所要時間: 3分.

この記事のポイント

  1. 市場に恐怖が蔓延している時こそ、冷静になることが重要

  2. パニックになり底値で売るのはチャンスを逃すことにつながる

  3. 株式市場には「前向きなメカニズム」が働いている

    一時的に厳しい局面はあるが、大局を捉えるのが「できる」投資家


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「退職金を、今こそ積極的に運用しよう!」なんて投資家は、今この瞬間には全くいないと言っても良い状況でしょう。なぜなら、世界的流行となったコロナウイルスの影響を、株式市場も例外なく受けているからです。連日このような話をすると、私たち投資家は何もできず、ただウイルスの終わりを待つだけと思ってしまうでしょう。

しかし、このようなときだからこそ、私たち投資家はすべきことがあります。それは「歴史を振り返る」ことです。このような状況と同じ出来事はなかったか?そういった視点で歴史を振り返ると…現在の状況は、約100年前に流行した「スペインかぜ」と類似しています。つまり、約100年前この時期の投資家たちが、どのようにその恐ろしい状況を乗り越え、株式市場で何が起きたかを見ることで、私たちが今何をすべきか?が見えてくるでしょう。

世界人口の25%が感染…


今、コロナウイルスの影響によるニュースは、とても辛く苦しいものです。私がこの記事を執筆している時点で、世界の死者数が20,000人を超えました。あまりにも多くの命が失われました。ですが、約100年前…1世紀前は、もっと辛く苦しいものでした。推定では、世界中で5億人以上がスペインかぜに感染し、少なくとも500万人が亡くなっています。これは恐ろしい数字です。

しかも、この時期の世界人口は20億人未満でした。つまり、地球上の25%が病気にかかり、5%はスペインかぜが原因で亡くなりました。このスペインかぜで特長的であったのは、年齢を問わず全世代に影響があることでした。これは致命的でした。米国での死亡の90%以上が65歳未満の人々でした。そして、死亡者のほぼ半数は20〜40歳までの若年成人でした。

しかも、このときは玄関から外に出た全ての人が、この病気にかかり、命の危機に瀕していると信じていたようです。そのような心理状態の中、経済を維持し続けるのは、相当難しかったでしょう。想像してみてください。とはいえ、経済の基幹であった青年たちが、どのように経済の維持に挑んだのかは分かりません。

また、このとき最も辛く苦しい統計が、妊婦たちに与えた影響です。集団感染の発生中に入院した妊娠中の女性を対象に行われた13件の研究のうち、死亡率は23%〜71%の範囲でした。生き残った妊婦のうち、25%以上が子供を亡くしました。このことからも、恐怖が蔓延していたことが容易に想像できるでしょう。

「スペインかぜ」で株式市場はどうなった?


この非常に多くの命が失われるウイルスが蔓延する中、株式投資に関する議論をするのは不謹慎かもしれません。しかし、私たちは投資家として存続しなければならず、100年前に起きたことほど明確な証拠はありません。1917年にスペインかぜが発生し始めたとき、NYダウは、100近くで取引されていました。6ヶ月後、株式市場は66で底値に達し、33%減少しました。

当時の投資家にとって、この33%の減少は恐ろしいものだったと私は確信しています。ただ、世界が直面している状況を考えれば、それは悪かったとも言えないのではないかと思います。しかし、ここで注意しなければならないこともあります。それは、このスペインかぜが蔓延するずっと前にも株式市場の底があったということです。

1918年と1919年の大流行の間、米国での死亡は2回急増しました。1918年10月は、最も致命的な段階でした。

1917年終盤の底値近くのパニックに陥り、投げ売りした投資家は、株式市場の歴史の中で最も大きな数十年のうちの1つを逃しました。1918年10月のパンデミックヒットの最悪の時までに、株式市場はすでに底から35%を回復していました。約10年後の1927年12月に、NYダウは3倍以上になりました。

投資家へのメッセージは「落ち着け!


現在、この世界的感染が発生してからわずか数か月で、その期間で株式市場は、すでに 33%減少しています。これは、スペインかぜのときの暴落と一致しています。まだ、株式市場が底打ちしたとは言えません。これは誰にも分かりません。しかし、歴史は私たちに、そのヒントを与えてくれています。いつが底値かは分からないものの、接近はしていると考えられます。

私たちに日々届くニュースは、しばらくの間、投資家である私たちの意思決定を邪魔する情報になることでしょう。このコロナウイルスの症例数と死亡者数は増加し、経済は歴史的な打撃を受けています。それを考慮すると、第2四半期の経済データは、これまでのチャートを下回るでしょう。これまでに、経済活動が、これほどはやく停止したことはありません。

しかし、100年前からの教訓は、株式市場は「前向きなメカニズム」であるということです。まだ底打ちしたとは断定できませんし、再び下がったときは、大きなニュースになるでしょう。ですが、株式市場は、前向きに動いていることを忘れないでください。そして、ニュースは、株価が再び下がったときに強調しないでくださいと願いたいものです。

結局のところ、この株式市場の落ち込みは、今はとても大事ですが、時間の経過とともにマイナーな兆候の一つになるでしょう。それくらい、株式市場は前向きに動くメカニズムだということです。だから、私からのメッセージは「投資家よ、落ち着け!」です。今は、一時的に厳しい局面かもしれませんが、このメカニズムを忘れずに、株式市場が前に進むのを、落ち着いて待ちましょう。

良い投資を!
ジョディ


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