米国株入門

米国株Q&A:なぜ、彼は株を買ってもらうのが仕事なのか?

読者の皆さんからいただきましたご質問に「Q&A」形式でお答えするこのコーナー。米国株のことに少しでも興味をもっていただいたほうが資産形成の成果が出やすいので、さっそく回答させていただきたいと思います。

今回いただいたご質問はこちらです。米国株と日本株の違いに関するご質問です。前回は「そもそも、米国株と日本株は、何が違うのでしょうか?」ということについてご質問をいただきました。

単なる国の違いに見えそうではありますが、実は、その違いを理解することが非常に重要だということを少しでもお分かりいただけたかと思います。株価は本源的には企業の業績が反映されるもので、日米問わず、業績を伸ばすには「実績をあげる社長」が必要。

その社長の違いが、私たち投資家にとって、投資の意思決定をする材料として、思った以上に影響することがすっと腹落ちして頂いたのではないでしょうか?そこで、今日はこの話をより詳しくお話ししたいと思います。なぜなら「なぜ、日本株よりも先に米国株なのか?」の理由がより分かるからです。

 

米国の社長~3つの特長~


米国の社長は

  • 経営のプロの
  • 投資家からの質問には一人で回答できる社長
  • 投資家の目線を考えている社長(投資家と社長の利害が一致している)

という3つのポイントがそろっていることは前回お話ししました。その一人の例として、バッグで有名な「コーチ」を挙げました。

ちなみに、私がこれまで機関投資家として、10年以上にわたり累積1000回以上、上場企業の社長や戦略専門家、投資銀行などとミーティングしてきた経験を踏まえると、本当にこれは一例にすぎません。

やはり、米国の上場企業の社長は、何よりも「全員、経営のプロ」です。年俸も高いし、野球でいうFA選手みたいなもので結果が出なければ即(本当に即)お役御免になります。

日本では、まだまだ外部から社長を招へいすることは少ないです。どちらかと言えば、社内一筋のエリートが内部昇格するイメージでしょう。

「限界まで努力したくない、でも外部から来た社長にクビにされたくもない」と考えている、ぬるま湯体質の会社が多いからかもしれません。社員にとってはいい環境だけど、投資家にとっては、首をかしげざるを得ない状況。

一方、米国は外部から「経営のプロ」を招へいするのが一般的です。そして、これが背景となり、日本の社長と米国の社長で決定的に変わってくるのが「投資家とのコミュニケーション」です。

 

なぜ「投資家とのコミュニケーション」が重要なのか?


日本の社長は、自分自身の会社の中身はよく知っていますが、「社外向け」のコミュニケーション、特に投資家とのコミュニケーションは米国に比べ乏しい傾向があります。だから、株主第一というよりは、会社と社員第一というイメージでしょうか。

一方、米国の社長は、経営のプロとして、投資家とのコミュニケーションの優先度が高く重要度も非常に高い傾向があります。そして、常に「投資家は、どのような尺度で自社を評価しているか?」などを気にかけ、投資家とのコミュニケーションをより良いものしようとしています。

だからこそ、彼らは「投資家が何を聞きたいか、どの程度まで会社の中身を理解しているのか、何を答えるべきなのか」を瞬時に判断し回答していきます。これは、私の過去の経歴の中で、米国と日本の社長の違いとして痛感した部分でした。投資家とのコミュニケーションを取るのに、適切なトレーニングを受けています。

あのコーチの例のように、日本の投資家と会うときは、社長一人か、多くても財務担当役員の2名で来日するケースが大半です。とても身軽な印象です。質問に対して回答を嫌がることもなく、細部まで、しっかりと回答します。

 

社長の大きな仕事とは?


おそらく、その背景には、彼らの達成すべき大きな仕事の一つは「投資家に納得していただき、株を買ってもらうこと」です。投資家の立ち位置というのは、資本主義社会ではとても強く、リスペクトされるものです。だから、自ずとそれを達成するために、投資家とのコミュニケーションを重視したり、質問への回答が細部にわたるのでしょう。

もちろん、これは前回と同じで、日本の社長が悪く、米国の社長が良いということを言いたいのではありません。(日本企業がグローバルにもっと活躍してほしい、とは切に願っています)あくまでも「投資家の目線」で見ると、日本株と米国株にはどのような違いがあるかということです。

投資家の目線で見ると、できるだけ、同じ景色を見ている社長が経営する会社のほうが、投資をしやすいのではないか?という考えのもとでお話ししています。特に株式投資初心者の方は、同じ景色が見えていない日本の社長の経営する会社への投資判断をするのは難しいのではないかと思います。

 

経営者と投資家は同じ船に乗ってる米国株


日本には「呉越同舟」という言葉もあります。そういった視点で日本株と米国株の違いを見ながら、チェックしてみると面白いと思います。日本株投資が悪いわけではなく、そもそも株式投資自体、日本米国問わず、どんどん広がってほしいと考えています。

なぜなら、ゼロサムゲームでしかない為替市場と違い、株式投資は、付加価値を追い求めるもので可能性は無限大だからです。

日本株でも無限大の可能性を追求することは可能ですが、米国株ではその対象がより広いし、経営者と投資家は同じ船に乗っています。

ぜひ、あなたも人類の成長、明るい未来、楽しい生活をイメージしながら、ボーダレスに情報を入手・選別し、その奥にある深層の情報を読み取ってみてはいかがでしょうか?

ー志村 暢彦(しむらのぶひこ)


いかがでしたか?
少しでもこのアメリカの強い株が「いいな」と思ったら1株からでもいいので買ってみてください。(アメリカの株は日本と違って1株から買うことができます。)

ちなみに…このブログで紹介している株はもちろんいいのですが、それよりもたくさんの配当を出す企業ばかりを集めて、毎月レポートしてくれて…「買い」「売り」の具体的なアクションをあなたへお届けする、「Oxford インカム・レター」はこちらからお試しすることができます。

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志村 暢彦

Oxford Club Japan チーフ・ストラテジスト 助言統括者。金融業界歴24年。業界経験としてはファンドマネージャーとしての期間が最も長い。2019年Oxford Clubチーフ・ストラテジストに就任。日ごろより、金融力は国力そのものであると考えおり、金融業界の心臓部や裏側で働き、政官財を含め、日本の金融の実態を見てきた経験をもとに、日本の金融リテラシー向上と、個人の理想的な資産形成の実現について、情報の収集と発信をしている。 著者の記事一覧 ≫

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