有名配当貴族、AT&Tが配当評価において格下げ。減配の懸念は?

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記事のポイント
- 経済の低迷を危惧し、配当安全性予測ツールの評価方法を調整
- 調整結果が反映され、AT&Tの評価が大幅に格下げ
- しかし、36年間増配し続けてきた同社の減配を予測してはいない
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原油価格の暴落に始まり、経済は大混乱の最中だ。ホワイトハウスの経済顧問は、今年の第2四半期、米国の国内総生産が20%〜30%の大幅な減少になると予想している。また、大恐慌レベルの失業率も予想されると言う。
そのため、*SafetyNet Proの本部では、より保守的なスタンスを採用するように評価の調整を行った。
*SafetyNet Proとは?
SafetyNet Proは、高精度で減配を予測できる、私たちの使用する画期的なツールである。これにより約1,000銘柄の配当の安全性を判断することが出来る。安全性は、A ~ Fの順番で評価される。
その調整とは、例えば、「A」または「B」と格付けされた企業が減配しないことを保証するため、企業の*配当性向の閾値が33%引き下げられた。
*配当性向とは、利益をどれだけ株主に配当するかという割合。当期純利益に対して配当金支払額の占める割合の式で表される。
配当性向(%) = 配当金支払額 ÷ 当期利益(当期純利益) × 100
通常は、*フリーキャッシュフローの75%を配当金へ支払っている企業を心配する必要はない。しかし、今日の状況下では、特に高額の負債を抱えている場合には不安要素となる。
*フリーキャッシュフローとは「自由に使えるお金」という意味です。企業が事業活動を通じて得た資金のうち、自由に使える額を意味します。
これらの厳格化されたガイドラインを採用した結果として、有名な配当貴族が大幅に格下げされた。
AT&T(NYSE:T)は過去、政府によって分割され、地元の電話会社(「ベビー・ベル」)を別会社として創設することを余儀なくされた。しかし、以前の独立した会社であった時代から、毎年配当金を上げてきた。
配当貴族とは、少なくとも25年間、毎年配当金を増やしてきたS&P500指数に含まれる企業のことである。AT&Tは、1985年から36年に渡って毎年配当金を増額している。
ここからが同社にとって難しい局面となってくる。
同社の今年のフリーキャッシュフローは、14%減と予想されている。SafetyNet Proは、企業のフリーキャッシュフローが減少すると評価を下げる傾向にある。
しかし、格下げの一因にもなっているのは、現在SafetyNet Proが採用している配当性向の厳格化だ。
2019年、同社はフリーキャッシュフローの51%を配当金として支払った。これは、50%の新基準値をわずかに上回っている。以前の基準は75%であったが、配当性向が50%を超えるとSafetyNet Proにおいて株式の格付けが下がる。

今年の配当性向は58%と予想され、これもまた格付けへ影響が出ている。
半年前であればこの数字は問題ではなかったが、この半年で多くが変化した。ビジネスの世界を含め、世界は大きく変わっている。
そして、前述したように、このメルマガを読んでくれているあなたには配当金の減額や停止で油断して欲しくはないので、私は保守的な見方をしている。
最後に、AT&Tの負債は1,440億ドルである。これは、同社の*EBITDAと比較するとあまりにも大きすぎる数字だ。
*EBITDAとはEarnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。
その結果、AT&Tの配当の安全性評価は「D」となったのである。(Dは評価上、減配の危険性有)
では、私はAT&Tが減配すると予想しているかと言うと、答えはNoだ。AT&Tには36年間の増配の実績があり、同社はそれを維持したいと思っているはずだ。さらに、配当性向もとりわけ高くはない。
しかし、この新しい環境下では、同社がほんの数ヶ月前と同じくらい安全性が高いとは考えられない。 配当金の安全性評価:D

良い投資を。
マーク
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